築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

「豊洲市場を認可しないで」農水省に声を送りましょう。

豊洲市場は現在「安全宣言」に基づいて、農林水産省認可申請を出しています。
農水省は食の安全と、流通の安定を守る義務があります。
豊洲市場を認可しないで」。
農水省に声を届けましょう。
100-8950
農林水産省 消費・安全局 消費者行政・食育課
FAX:03-3502-0594
 
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還してくれよ!水神様!


還してくれよ!水神様! byジョニーH

「タコの歌うたいさん」でおなじみ、ジョニーHさんが、築地場内の水神様

の"拉致問題"について新曲を作りました。

 

水神様に関してはこちら。

築地は水の街 - 築地でええじゃないか! かわら版

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水神様は7月上旬に氏子である魚河岸会全体にも告知されることなく、突如「魂抜き」が行われ、神様は本宮である神田明神に還っています。

元々水神様は江戸時代からの魚河岸の守り神として、神田明神にあったのですが、築地市場にはその伝統を引き継いだ「遥拝所」が設けられました。

 

なお、前記事で「水神様は日本のやんごとなきご一族と関係が深い」と書きましたが、ここでそのご一族について紹介します。

成田屋:市川団十郎です。

屋号の由来は成田山新勝寺(真言宗不動明王)から来ており、豆まきに成田屋一門が並ぶことでもおなじみですね。

ところが、神田明神成田山に対する江戸からのカウンターとして建てられたというもともとの由緒があるそうで、もちろん現在ではそんなことはないのですが、その中で、なぜか成田屋一門は水神様にだけは参拝する習慣があったそうです。

宗教史的には神仏習合とか、いろいろな経緯もあるのですが、芸能史においては、この結びつきの理由は、市川家の「十八番」である「助六(助六由縁江戸桜)」に関係しています。

助六は「曾我兄弟もの」という時代歌舞伎ですが、主人公である吉原の遊び人:助六(曾我五郎)らは江戸時代当時の最先端の風俗をまとったアイコンとして、江戸の町の人気を博したキャラクターです。そのファッションの中に「赤い蹴出し」を見せるという、男性としては特殊な着こなしがあります。いわゆる「かぶいた」格好の代表とされますが、これはもともと実際に江戸魚河岸(日本橋)の男たちがしていたもの。魚河岸衆は威勢のよさが売りなので、江戸のファッションリーダーとして新しい風俗をいろいろ発信していたのです。

そんな魚河岸リスペクトとして造型された助六を演じるときには、下座音楽も魚河岸の旦那衆(江戸時代の素人の、いわゆる旦那芸にはプロレベルの人がいた)に頼むという伝統もあり、当然、上演時には神田の水神様に遥拝することになっているのです。

また、これは魚河岸由来とは断定できないのですが、ヒロインである花魁の揚巻は、水引の巨大な伊勢海老を前につけた帯をしているという、これまたとんでもないファッションです。魚河岸風ファッションの助六に対して、海老を対にした、とも考えられます。

そして海老といえば、団十郎丈の「前の名前」であるところの、市川海老蔵

当代海老蔵丈、最近も息子さんとともに話題になっていますが、この方は場内では有名な築地贔屓であるらしいです。なにせ歌舞伎座からも演舞場からも近いですから、場内の魚がし横丁のお店でお鮨を召し上がっているところを、ちょこちょこSNSに上げているようですよ。

 

海外セレブに大人気の築地ですが、もちろん日本を代表するセレブリティも、築地とは関わりが深いのです。

 

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号外発行! 8.11かわら版くばりまつりin築地4丁目!

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豊洲市場の安全安心宣言、まさか誰も真に受けてはいないでしょうが、誰も信じないような「安全」が出されたまま、事態が進むことがとても異常です。
と、いうことをテーマにかわら版号外を作成しました。
先日の8.4波除神社アピールから使用しています。
裏面は従来の英語・中国語・地図のものと組み合わせています。
 
引き続き今週も、短時間ですが築地で配布します。
 
8.11 築地でええじゃないか! かわら版くばりまつり in 築地4丁目交差点
 2018年8月11日(土)
11:30~30分程度
築地四丁目交差点付近(本願寺側を予定)
 
[ご注意]
連日の猛暑です。
日陰のない場所なので、今回は短めです。
ムリのない範囲で参加してください。
あまりの酷暑に築地に限らず、買い物・行楽客そのものが東京に少ないです。
だからあまり枚数はまけないかもしれません・・・
 
雨天中止です。
中止のときは、当日10:00までにこのサイトで発表します。
ちらしは紙なので、小雨でも中止する可能性が高いです。
 
プラカードは築地関連のものだけでお願いします。
浴衣や祭衣装、魚かぶりものなど、暑さが危険でない範囲で、目立つ格好も歓迎です。
でかいトラメガはご遠慮ください。小さいのは可。
対象が通行人の方々なので、動画・写真撮影はご遠慮ください。
 
ひとりでもやりますが、大勢来てくれたらうれしいです。
人数がいれば、交差点の対岸とか複数で展開したいです。
 
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営業権で、移転を止める。(後編)

 

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小池都知事が「豊洲市場の安心安全」を宣言(かなりあいまい)、8月1日に農林水産省に開場認可申請がなされました。
 
同日、築地女将さん会、営業権組合なども農水省に対し「認可申請を受理しないよう」要請行動。受理しないことは不可能なようですが、農水省側も丁寧に話を聞く姿勢を持ち、会談の中で「仲卸に営業権は存在する」ということも認めたそうです。
また、この時点で営業権組合加入は149人に。築地場内・場外において、確実にその正当性が評価されてきています。
 
今回は、前回に続いて
7月21日場内講堂で行われた、第三回学習会「営業権で、移転を止める」(基調講演:明治学院大学・熊本一規名誉教授)のレポート後編。
営業権はどのような場合に主張できるのか、根拠となる豊洲の「減益」の要素となる欠陥問題などでさまざまな立場からの意見が出た、質疑応答部分です。
 
Q:営業権組合に入ったら、東京都から築地市場内での「電気・ガスを止められる」というウワサがある。
A:組合に入ったせいで不利益を与えてはいけない。電気・ガスは個別に契約しているので、特定の店だけ止めることはできないし、万が一東電が止めても、自由化されているので他社に切り替えればよい。
 
Q:「仲卸に営業権は存在しない」として、八代屠場の最高裁判決の例を出して言いふらしている人がいる。
A:同判決は移転についての補助金が適正かどうかのもので、営業権とは関係ない。
 
Q:場外でトラックを入れる業者は営業権を請求できるか?
A:場外は営業権の根拠である「許認可」を受けていない。もう一つの条件である「暖簾」があることを証明できれば。
 
Q:茶屋は東卸ではない別の組合。茶屋は営業権組合に入れるのか?
A:豊洲は茶屋そのものがない。市場としても必ず問題が起きる。同業を集めて、ぜひ加盟してください。
 
*豊洲における「茶屋」の問題*
「茶屋」とは買出し人がそれぞれの仲卸や関連で買った荷物を集積して預かる機能。これによって限られた時間に多様な商品を仕入れる効率的な動線が可能となっている。築地市場の全体図で見ると、扇形の建物から張り出した「くし型」の部分。鮮魚仲卸からターレや小車などで茶屋までの配送は平均2分。
豊洲では当初まったく茶屋機能がなかったが、仲卸棟4F買出し人駐車場にプラットフォームを設置。1F仲卸からの配送は(ターレスロープのヘアピンカーブなどで問題がなかったとしても)4~5分かかる。

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 (豊洲の駐車場に作られたプラットフォーム。習熟訓練のときの様子) 
 
前記事参照
 
それ以外の問題も、この場で茶屋業者さんから指摘が。
1:築地は半分以上茶屋でまわっている。豊洲では駐車場で代替するというが、そもそも駐車場自体が足りない(ピークのAM6~8時は絶対に不足する)。
 
2:4F駐車場には水道も氷もない(豊洲にはもともと製氷施設が設計されておらず、後付で作られたがまったく足りていない。外から買ってくるということになっている)。商品の保管だけでなく、魚を置いていた場所なのに毎日水で掃除することができない。築地は(大卸・仲卸もすべて)海水で掃除することで、ゴキブリ・虫の発生を防いでいる。ネズミがいるといわれるが、ネズミは食品を扱うところならどこでも出るし、防ぐこともできる。豊洲はまちがいなくゴキブリだらけになる。
*建築エコノミスト:森山高至さんからの指摘「豊洲の仲卸店舗を見てきてわかった問題。壁や床の構造が弱く、配管を埋めることができない(それだけでもアウト)。配管を床に這わすと、壁との間に隙間ができる。自分の家を掃除するとわかるでしょう。こういうところにゴミが溜まるのが厄介。しかもここで取り扱うのは鮮魚。ウロコもアラも大量に出る。これが詰まったら一日で腐る」豊洲コールドチェーンでもないし、HACCP認証すら取れない」
 
3:今は一日の単位で動いているが、豊洲では駐車場に置くのは30分単位で料金が変わる(仲卸等の方たちはその事実を知らされておらず、場内どよめき)。茶屋からは荷物が揃わないと出せないので、トラックをまわすこともできない。こんなことをどうやってお客さんに説明すればいいのか。
 
4:駐車場に茶屋を作っても機能しない。豊洲の物流は建物そのものを壊して建て替えない限りムリだ。
 
小揚(場内の配送)業者さんからの意見:小揚の中でも、豊洲に行って機能するとは誰も思っておらず、行きたくて行くものはいない。まがりなりにもここ築地でやることに誇りをもってやってきたのだから、移転するなら、自分は辞めるしかない。もし行く場合でも移転費用は全額補償されるべきだ。

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  (豊洲習熟訓練における小揚の実演。実際はこんなものではない、と声が上がっていた)
 
 
Q:店舗の保険の更新時期と重なっている。豊洲の店舗に「床にヒビがある」「従業員の交通事情が変わるので、手厚くしたい」などの条件を言うと、保険屋さんがシブる
別の会社に交渉しようと、東京都に図面を要求したが「直接渡す」などと言って、間に入ろうとして図面を出してくれない(え~、と声)。埋立地だと保険の扱いも変わるらしい。
A:(会場から。保険会社がシブるであろう豊洲の諸問題について)
減益の予想:移転が最初決まったとき「向こうは埋立地、築地を売ったらお釣りが来るでしょ」と言ったら「汚染を浄化するので赤字になる」と言われた。
周辺環境の汚染:今、築地では隅田川から取水しているが、当初東京都の説明は「汚染があるので豊洲の水は使えない隅田川からパイプラインを引くしかない」だった。事情を知っている人からは「豊洲の土地は、東京ガスの工場を作る以前の埋立で、環境基準が低く、何でも放りこんでいた」という。
従業員の健康被害の予想:移転したら事業者の健康被害はまず、なんとなく具合が悪い、いろんなとこの体調が崩れる不定愁訴の形で出てくる。関連が証明できず、これは補償されにくい。
こんなことでは保険会社も手を引くしかない。
 
そしてもっともエキサイトした質疑が、「実際に築地に残る」という態度を取ったらどうなるか、というもの。
 
Q:もし仲卸が築地でこのまま営業すると言ったら、大卸6社(+塩干1社)はどうするのか?
A:たとえば仲卸200社が残った場合、仕入れを半分残せ、と大卸に要求できるし、向こうも無視できない。(残る事業者の)数が必要。
 
Q:仲卸のうち350社が移転、200社が残ったら、お客さんはどうするか。お寿司屋さんや5~6店舗で展開する小口のスーパーなどは「豊洲は入場に時間がかかる」「災害時が心配」といった利便性から豊洲に行けないと言っている。
A:(中澤誠・東中労執行委員長)卸売市場の「大卸→仲卸→小売」という流通の原則を切ってしまうことこそが、本当の営業権の侵害だ。(今国会で改悪された)卸売市場法はそれをやっているが、新法の施行は2年後。それまでに「これまでの市場法でやる」と業者がやってしまえばいい。
A:(小揚)大卸の従業員も豊洲についてネガティヴな話しかしない。不動産取引で儲かる上の人は知らないが、現場はそう。特に上から(豊洲の運用の)具体的なことを聞かされていないのが不安だ。自分たちは特殊課(量の少ない鮮魚の取り扱い)なので、特殊は仲卸がなくなると商売にならない。仲卸が声を揃えれば、必ず勝てる。
A:(菅原仙台中央卸売市場組合長)日本を代表する築地が、従来の市場法を守れば、新法は機能しなくなる。築地を守ることは、改悪された卸売市場法改悪を使わせない、ということで、それは必ず全国の市場に広がる。
 
すべての意見を紹介しきることはできませんが、今、この「営業権」という考え方から、築地の事業者、実際に仕事にたずさわる人たちは、それぞれの立場から、築地の機能や役目の重要性、ということを改めて考えています。
また、実際に豊洲に移転準備をしている事業者からは、具体的な検討を進めるにつれ、豊洲の欠陥がどんどん露呈してきて困ってしまっています。これもまた営業権で補償されるべきことです。
学習会では、この日の茶屋さんからの意見のように、他の業種の人には知らされていない豊洲の運用がわかったりします。
営業権組合の学習会は基本的に公開です。ぜひ注目して、実際に参加してみてください。
 
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「営業権で、移転を止める」(前)

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今、築地市場で話題の「営業権組合」
6月21日に仲卸有志と女将さん会により発足した新組合は、問い合わせも相次ぎ、7月20日時点で加入者が100人を突破。
そんな中、7月21日、「営業権で、移転を止める」と題した第三回学習会が、場内の3F講堂で行われました
前後編二回に分けて、その内容をリポートします。
 
会場には、場内・場外から、および一般の聴衆も含めて50人近くが集まり、「卸売市場法改悪」問題について築地と連携を深めている仙台中央市場協同組合の菅原組合長も発言者として駆けつけました。発言だけではなく「この動きを会報に書いて、全国の卸売市場に知らせるための取材」で来た、と意気込んでおられました。また、豊洲の現状については森山高至さん、水谷和子さんもフロアから解説してくださいました。
 
基調講演は前回に引き続き明治学院大学・熊本一規名誉教授原発立地や公共工事による立ち退きに対し、住民の権利を主張して対決してきた方です。
 
築地市場の移転に関して「事業者は営業権を主張できる」とする、この組合のバックボーンとなるのが
豊洲への移転を決められるのは、東卸(東京魚市場卸協同組合)などの既存の組合の総代会・理事会ではなく、各事業者(組合員)である」
ということ。事業者こそが正当な権利者であり、その社会的地位・発言権を向上することが、新組合の目的と定めました。
 
今回の先生の講義は、「東卸の総代会決議と組合員の権利」として、協同組合の定義から豊洲移転についての決定権は誰にあるのか、そして、営業権とは何か、どんな場合に発生するのか、という内容。
 
「協同組合」とは。
 まず、「中小企業等協同組合法」に基づく協同組合である東卸の意思決定は正しくはどうあるべきか、現状の理事会の決定のやり方はどう問題なのか、ということ。
 本来の法的根拠である「協同組合法」では、組合は社員(加入する事業者・個人)が決定するものであり、特に重要なことがらは総会決定が必要とされている。しかし東卸の定款そのものが「協同組合法」に反しており、総会議決の優先を排し、総会の招集のルールや議決の対象となる事項の定義も縮小した「法律違反」である。
 本来、法的には豊洲移転のような最重要事項については総会特別決議で決定されるべき(重要性の高い順に、総会特別決議>総会普通決議>総代会決議>理事会決議となる)であり、東卸が総代会決議で決めたことは「無権代理行為」という、権利のない者が「勝手に声をあげた」にすぎない。
 
こうした決定プロセスの矛盾に加えて、豊洲移転に関しての熊本先生の指摘は「一番理不尽なのは、事実上の立ち退きなのに移転費用も自腹で無理やりやらされること」。
これは移転に賛成(仲卸アンケートによればはっきり「賛成」はほとんどなく、「しかたない」という「移転容認」レベル)か反対か、の立場を越えて、移転の話が出たときからすべての事業者が負担に感じてきたことです。
そこで、上記の協同組合法に基づき、仲卸業者こそが「営業権」の権利者であるという話になります。
 
「営業権」とは。
長年の営業活動により生じた無形の経済的利益(無体財産権)。
であり、
「営業権」に基づいて、廃業や損失に対して補償しなくてはならない場合とは。
1.行政機関から特許または許認可を受けてはじめて営業することができるもの
2.創業以来長年にわたり顧客の信頼を得て築き上げた名声や信用としての「暖簾」
があり、
そのため同程度の同種事業者に比べて「高い収益力=超過収益力」を有する事業者。
 
つまり、築地の業者は
1.都から許認可を受けて開設し
2.「築地ブランド」の暖簾、立地がある
ため、営業権がある。
 
 この営業権の補償を定めたものが
「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」
(要綱とは閣議決定で定められたもので、国会で審議された「法律」に準ずるもの。この要綱は憲法29条:財産権に基づくため、重い規定)の31~33条:「営業廃止」「営業休止等」「営業規模縮小」の補償である。
 
営業権組合では具体的に「次のような場合の「補償」をさせることができます」と告知して組合員を募っていますが、その根拠となるのがこの「要綱」です。
 
営業廃止:「本当は営業を続けたかったが、やむなく廃業せざるを得ない」
 「移転費用が捻出できないので廃業を考えている」 
営業休止:「引越しに伴って、休業を余儀なくされる」
営業規模縮小:「交通アクセスが悪く、営業の規模を縮小した」
 「豊洲へ移転したはいいが、売り上げが大幅にダウンした」
 「豊洲での商売に自信がなく、退職金を割増して従業員に辞めてもらおうと思う(このケースは事業者ではなく、離職者への直接補償)」
 
実際、移転の話が持ち上がった2001年以来、迷走する計画や豊洲の汚染や建築欠陥の問題、そしてまさに熊本先生の指摘にある「移転費用自腹」という理不尽さによって、すでに廃業をしてしまった業者さんもあります。これは国が補償の説明をしていない「加害行為」にあたるため、加害があったことを「知った時点」から3年が時効(実際の加害=廃業から、ではない)となるため、すでに廃業した事業者さんも補償が請求できる、とされます。
 
そして、今、混乱の中、豊洲への移転準備をしている事業者さんこそ、営業権を主張すべきであるとして、
学習会の後半は、その「規模縮小」が見込まれる根拠としての豊洲の欠陥について、また、仲卸以外でもどのように、移転によって損失を受けるか(営業権の侵害があるか)という質疑に入っていきます。
 
(後編へ)

「営業権で、移転を止める」今週末です。

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今、場内で話題沸騰の築地市場営業権組合」
第三回学習会
講師:熊本一規先生(明治学院大学名誉教授)「営業権で、移転を止める」
今週末、7月21日(土)12:30~14:00、築地市場3F講堂。
業者でない一般の方も歓迎だそうです。
 
「大変なことになる」とまで脅す人もいるらしいのですが、「豊洲に行って大変なことにならないように」「築地に留まる権利を主張して、大変なこと(移転中止・延期)になるようにしよう」というものです。賛同する業者さんも続々増えているようです。
中央卸売市場は自治体が設立し、業者は認可を受けた店子という扱いにはなりますが、家賃を払って、なおかつ都民の食のために営業をしているのだから、当然、その場所で営業を続ける権利があります。
都内には11ヶ所の卸売市場がありますが、現在黒字なのは築地と大田だけ、と言われています。こんな条件のいい築地から「自腹で」引越し、というのがそもそもムリ筋。
また、17日に中央区役所で開かれた築地の地域向け(場外など)説明会でも、築地市場の解体計画があまりにずさんで(ただでさえ移転は地元にデメリットなのに)、ネズミなどの獣害やアスベスト、粉塵などで、場外がそれこそ「大変なことに」なりかねない、と、大紛糾。移転は、市場に直結している場外のお店の営業権にも関わってくることです。
「築地の仲卸業者が権利を主張するなんて」と思う方もいるかもしれませんが、ご自身の家の「居住権」のことを考えてみていただきたい。賃貸にしても、長年住んでいる持ち家にしても、まったく条件の違うところに「自腹で」引っ越せと言われたら困るでしょう。
 

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前回ご紹介した波除神社の獅子祭ですが、お祭のこんなひとコマにも、築地の便利さ、築地(とその地域)で営業するメリットが見えてきます。
公道でターレを使ってお神輿を運んでいいのは、築地だけです(上写真は場内です)。
もちろん近隣のお店への配達も、ターレで公道を走っていくからこそ、迅速にリーズナブルに運ぶことができます。豊洲からだと、築地場外の「マグロの一尾買い」をしているあのお寿司屋さんも海鮮丼屋さんも、わざわざトラックで(もちろんコストもかけて)配達してもらわないといけません。そのコストは、いずれ価格に上乗せされ、消費者にとっても損です。
 
移転説明会ではターレ2600台がいっせいに豊洲に移動、と簡単に説明されたようですが、引越し業者も決まらない(最大手企業がムリだとして引き受けない)状態で、実現の見通しがあるのでしょうか。
神輿がひとりで歩けるもんではありません。
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引き続きこちらもよろしくお願いします。
連日熱中症のニュースが騒がれ、亡くなる方も出ている今年の夏。
炎天下に子どもを動員しての豊洲イベントなど、都庁の移転事業はすでに常軌を逸しています。
 
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築地は水の街

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6日に「魂抜き」が行われた築地場内の水神様の鳥居が、そんなにすぐやらなくてもいいのに、というほど素早く撤去されています。
 
水神様は文字通り、水の神様。
水というものは、人間にとって恵みであると同時に、御しがたいものであり、ときには人間の営みを破壊するほどの力をもったものである、ということを、このたびまた改めて日本のひとびとは思い知らされました。
 
水が御しがたいといえば、むしろ豊洲新市場。もともとの軟弱地盤に加え、現状の建屋の浸水壁が低いなどの問題から、地下水位が下がらず悪戦苦闘が続いています。「完了した」と言われる追加対策工事では、揚水井戸を増やしたものの肝腎の建物の下には掘れない(建物があるから)という矛盾が指摘され、効果のほども疑問。
逆に恵みの水を利用する点においても、築地では床を海水で洗浄し、衛生管理だけではなく、気温を下げる(打ち水効果。オープンな構造なのに、築地はこの真夏でもひんやりしている)、まさに人間の知恵が活きているのに、豊洲の床は海水が流せない、おまけに床の排水にも問題がある、という欠陥が新しくわかってきています。
だから早く水神様を手にいれたいと思ったのかもしれませんが、水の脅威を過小評価し、利用する知恵も排除した豊洲新市場。これが魚河岸といえるのでしょうか。
 
築地は水の恵みとともに営まれてきました。水産物を扱うことはもちろん、農作物の出来も水によって決まります。水害がおそろしいのはもちろん、農産物の不作や漁業における海難の危険もあり、また現在は少なくなりましたが、水産物や農産物を江戸/東京という都市に運ぶのには水運も大きな役割を果たしていたため、商品の流通のためにも水をなだめることが必要とされていました。そもそも、築地の土地を作ったのは住吉神社を信仰する摂津からきた海洋民でした。
 
今回は6月の波除神社獅子祭から、築地と水の関わりを見ていきます。

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今年は3日目の6月8日に「百数十年ぶり」といわれる船渡御(お神輿が船で川を進む)が開催されたことが話題となり、また、隅田川河岸にお神輿を載せた船が接岸して、水鎮祭がとりおこなわれました。
そのお神輿が船に乗り込んだのが、場内の船着場。今は使われる機会も少ないですが、もともとの「魚河岸」です(ちなみに、ふだんは見学者は入れません)。

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船といっても、いわゆる台船で、タグボート2隻が押して推進したり、絶妙なコントロールで岸に近づけたりします。
お神輿とともに乗り込んだ人々の雄姿、そしてその後ろには場内・場外の顔役の人たちが乗り込んだプレジャーボート。この方たちのうち、何人が7月の水神様移転を知らされていたのでしょうか。
本来なら、きちんとこの人たちにも了承を得て、立ち会ってもらってこその移転であるべきでした。

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今年の獅子祭は、築地だけではなく、東京のお祭としても珍しい大規模な船渡御が実現し、浜離宮に作られたお旅所から戻ってくるという、広い範囲をお神輿が巡って大いに盛り上がりました。
そのエリア、場外や周辺の人たちのいったい誰が、市場がなくなった方がいい、なくなったほうが得をする、などということがあるでしょう。
水神様のみならず、こうした幅広い関係者に対しても、この移転手続きは礼を欠いているのではないでしょうか。
 
  なお、築地本願寺の盆踊りは8月1~4日です。