築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

築地にらっしゃい! こんなところに築地!その3:月島

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前の記事、佃島編とシリーズです。
実は月島(月島駅・晴海通り南側エリア)には、それほど築地との由来があるものは見つかりません。今はすっかり「もんじゃタウン」となっている月島ですが、佃とは非常に近しい。もちろんもんじゃだけではなく、飲食店が多いので、築地から仕入れているお店もあるでしょう。
 
そして、再開発の危機にさらされている、という嬉しくないところで、築地と月島はつながりがあります。地理的にもアクセスとしても事業内容としても、築地から月島、勝どき、豊洲は、湾岸再開発(バブル期のウォーターフロント・ブームを思い出しますね。思い出さない方はお若いので、バブルって怖いよ、と思っておいてください)と、オリンピック便乗の都市計画で、セットにされているフシがあります。ディベロッパーの視点で見たら、そりゃあこれだけのエリアをまとめて一気にやりたいでしょう。
 
トップ写真は筆者が製作時間1時間、制作費0円で作った市街模型! です。縮尺はいいかげんなので、概念図としてごらんください。
これが佃(北)側から見た月島地区です。
手前のリバーシティ(住宅公社)をはじめ、赤で塗ってあるのが、すでにあるタワーマンションや高層ビルです。緑の公園を隔てて、隅田川から引きこんだ水路のところに残るのが、佃島の地区(佃1丁目)。晴海通りをはさんで緑の道(アーケードのつもり)がもんじゃストリート(西仲通り)。手前から4街区にわたって南に伸びています。写真右上の隅田川の対岸は築地市場です。
さて、ひときわ目立つこれが、現在着工開始と、計画中の巨大タワマンです。
月島全体がタワマンだらけですが、この2本はもんじゃストリートのアーケードのあるところから街区丸ごとの計画です。

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左の「月島一丁目西仲通り地区第一種市街地再開発事業」は、32F建ての121mのビル。住居のほかに公共施設が入ります。これはすでに着工していて、もんじゃストリートの現在の状態がこれです。ここから清澄通りまでぶち抜きで高層ビルになります。
右の「月島三丁目地区第一種市街地再開発事業」は、近隣最大59F建て、199mのギガ・タワマンです。低層でデイサービスやグループホームが入るようですが、住居は1120戸を予定。今、反対運動もあるそうですが、できてしまったら、月島の街は完全に変わります。このビルがすべて、みたいな街になるのではないでしょうか。

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模型でわかるように、現在にぎわっている商店街・もんじゃストリートは左右のビルの影で覆われます。
そして、たとえば、これはこの「三丁目」の建設予定地ですが、こうした路地。風情ある路地、下町の魅力として多くの人にも愛され、隠れた名店などもある路地。すでに解体されてしまった「一丁目」の街区にも、何本も、この風景と生活がありました。それは、すでに失われています。
 
もんじゃストリートの表に面していたもんじゃ屋さんなどは現在移転しており、ビルができたらテナントとして入るのかもしれません(1番地はそうなっている)。
けれども、多くの観光客が「下町らしさ」と感じる風景、元々の住民が親しんできた街並は、ものすごい勢いで一気に失われてしまっています。
 
今、下町らしさや路地、市場などの風景が人々を引きつけるのは、単なるレトロ趣味だけではありません。毎日の都会の生活の中に、こうした温かみのある環境を求めているからこそではないでしょうか。もちろん、タワマンに住みたい人もいるかもしれませんが、こうした歴史ある風景は壊してしまったらもう手に入らないものです。
 
築地市場がもし移転したら、場外の風景も一変してしまうでしょう。それと同時に佃や月島が、同じように変貌していく。これは、もしかしたら、首都圏の他の多くの街でも、同時に起きることかもしれません。
江戸の都市計画を担った佃・月島の現在、大正時代からの東京の食を支えた築地、街並を散策しながら、これからの東京がどんな街になるといいか、考えてみませんか?