築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

第二回豊洲市場習熟訓練レポート(後):コールドチェーンは嘘?

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去る5月16日に豊洲新市場で、第二回目となる「習熟訓練(水産部門)」が行われました。
今回はそのレポート後編・豊洲の売りである「閉鎖型」はほんと? というお題でお届けします。
 
この訓練は、ターレやフォークリフトを搬入しての、デモンストレーションでの実演など。
7街区(大卸)①搬入→②積下→③移送→④分荷・仕分け→⑤配達
315線下連絡通路(アンダーパス)でのターレ、小車のレーン交差実演を経て
6街区(仲卸)①店舗陳列→②積み込み→③4F積み込み場への配送→④3F、7街区飲食店への配送
のトータル2時間半のプログラムを、8時からと10時からの2セット行いました。
前記事では仲卸棟店舗までをリポートしました。
 
次は③の4F積み込み場への配送(④は省略された)、あの、ウワサのターレスロープのヘアピンカーブの出番です。

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と、思いきや。
「デモンストレーションを見る方はエレベーターで4Fに行ってください。ターレもエレベーターで上がります」とのアナウンス。
あのスロープに習熟しないで、何に習熟するというのでしょうか。

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    参考:築地で現在運用されているターレにつける台車。これは空荷の状態ですが、この台車を三連につなげて全部に荷物を山積みして走ることもザラです。

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スロープの問題のみならず、エレベーターも台数が少なく、渋滞するのではないかと予想されていますし、ターレで乗降するときは、いちいち下車してエレベーターの呼びボタンを押すのも気になりました。物流のエレベーターは壁と手前の柱と両方に操作ボタンがあって、乗ったまま押せるものも少なくないと思うのですが。
 
たぶんターレに台車をつけるのも豊洲では禁止、なんでもゆっくり、ちょっとずつ運ぶというルールで運用する前提なのでしょう。ただし、モノは魚です。

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4Fの積み込み場への出入り口もこの狭さ。それは、ここまでがコールドチェーンで屋内の空調を維持するためだそうです。
 
しかし、1Fから4Fまで、ひっきりなしに荷物の搬出入を行っていると、ドアは結局開きっぱなし。大卸棟は大物(マグロ)から鮮魚、特殊、活魚まで建物の中は壁なしでつながっています。
 
そもそもこの「コールドチェーン」、設定温度は何度だと思いますか?
生鮮食品の鮮度を保ち、安全に取り扱う、というと、冷蔵・冷凍の温度を想像しますよね。
しかし、豊洲の「コールド」は摂氏25℃です。全体を25℃に安定して保つために、トラックを縦付けし、狭いシヤッタードアからフォークリフトを出入りさせ、出入り口を極端に少なくしているのです。25℃といえば、真夏日です。もっとも、オフィスビルの冷房設定は28℃とされていますから、そうした感覚で決められた可能性もあります。
たとえば冷凍のマグロをセリにかけるための下見に出すときには、箱から出してスノコの上に置かれます。築地の卸見学でよく見るあの絵ですね。セリは早朝なので、夏でも20℃を超えることは現在のところありません。

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そして築地全体の運用においては、各種の魚介類は発泡スチロール箱の中に氷とともに入れる方法で「コールド」を保っています。
豊洲には、氷を作る施設がありません。当初から指摘されていましたが、いまだに解決はされていません。
 
コールドチェーンは嘘だ」と、見学していた仲卸さんからも発言がありました。
 
さらに、閉鎖型市場で衛生的、といわれていますが、出入りするのは空気だけではありません。
ターレ自体が、屋外を走行してきたトラックのバースを走るため、結局屋外の土やほこりは持ち込まれてしまいます。どうやら設計当初はそのことが見落とされていたらしく、この積み込み場出入り口には後付けで「消毒マット」が置かれることになりました。
しかし、その消毒マットのスペースがこの状態です。

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4Fのトラックバースからはスロープで下の道路に降りることになりますが、出入り口はこのとおり。湾岸の景色が眺められて楽しい、とかではなく、結局
フルオープンなので、土もほこりも落ち葉もすべて吹き込んできます。そして吹き込んだものは中に留まります。

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別日の都民見学会に参加した人からも、靴の上にビニールカバーをさせられたのに、そのカバーのまま屋上に出て、また入るコースになっていた、という証言がありました。しかも、習熟訓練の日はビニールカバー等なしで全館を自由に歩き回ることができました。衛生をうたっている割には、とにかく杜撰な単純ミスが目立ちます。
気がつけば、わざわざターレ走行のためにビニールシートを貼った仲卸棟の通路に、大量の土が落ちていました。
豊洲は床に水を流すことができず、排水溝もきわめて浅い、と指摘されています。
 
仲卸店舗内での業務ひとつとっても、さばいた魚から大量のウロコや脂が出ますが、まな板をざぶざぶ洗うことができません。
敷地内には「実益者(スーパーや大手外食など)の要請により」新たに「加工パッケージ棟」が作られていますが、これはいまだに未公開です。そして仲卸のフロアにある仲卸用の加工スペースが「使えないくらい狭い」という声も上がっていました。
 
さらに、吹き込んできた土がそのまま滞留するようなこの「閉鎖型」コールドチェーンはどうやって清掃するのでしょう。
そもそも土壌が有毒で、地下水が上がってきており、それをモニタリングし続けながら運用する市場が「衛生的」といえるでしょうか?
 
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