築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

水神様はまだ豊洲には行っていません。

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築地の神社といえば、先日の獅子祭で賑わった場外の波除神社。
そしてもうひとつ、波除神社とも切っても切り離せないのが、場内の水神社です。
 
先日6月27日、豊洲新市場への移転計画として、この水神社の「魂抜き」が強行されてしまいました。要するに、神様の立ち退き。
しかもこのやり方が、人間社会の通念としても大変に乱暴なもので、大いに問題となっています。

 

水神社は、後述するように神田明神の水神社の分社・遥拝所であり(神田にいる神様をここから拝む)、ふだんは無人です。お祭のときには神田明神から神職さんが来てくれます。しかし、ここはれっきとした築地市場の守り神であり、いわば築地で働く人たちが氏子。そして崇敬体(氏子会みたいなもの)は「魚河岸会」といって、多くの関係者が属しています。
先日の獅子祭で波除から水神社に遥拝に入ったときでも、このとおり。

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今回の魂抜きは、そうした人たちの合意はおろか、知らせることもなく闇討ち的に実施されました。立ち会ったのは卸と仲卸の会長。

遥拝所といえ、85年の由緒あるお社の、しかも築地のような大きな街で大勢の人たちが信仰して支えているものを、まったく非常識・非礼なやり方です。
場内では移転するとしても、水神社は9月、といわれていて、ほんとうに今回の件は寝耳に水であったそうです。10月までの三ヶ月、「神様なし」で商売をしろというのです。
神様というと、一見非合理的で迷信じみているかもしれませんが、日本では、築地のみならず各地の市場はもちろん、老舗の百貨店や企業のビルにも屋上に神社があり、商売を守っているとされています。迷信だというなら、築地市場だけではなく、日本の企業・商業文化そのものが迷信深いのです。
 
しかも前回2017年11月移転が決定していたときは、魂抜きの儀式を(ある程度は周知の上で)行おうとしたところ、突如水神社の上の架け屋根が破れるという事態が発生。結局水神社に触れる前に移転が延期になったという顛末があります。
今回の闇討ちはそのせいなのか? 神様にまで告知なしで強行したのかもしれません。
 
では、水神様は今どこに?
今回は築地に分祀した水神様が、神田に「お帰りになった」という儀式がなされています。
豊洲新市場にはまだ水神様の遥拝所がないからです。ちゃんと設計に組み込まれているかどうか、謎ですが。できたとしてもお手水がないとか梵鐘があるとか、とんでもない欠陥がありそうな気がしてなりません。
 
そこで、今回は水神様が「里帰り」している神田明神の水神社についてです。
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   築地の水神社と同じ波の文様。

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   水盤に「魚がし」の文字。

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   水盤の縁どりも見落とせない。

ご存知「お江戸の総鎮守」神田明神は、当初は大手町にあり、神田神社という名称でした。そこに、江戸時代初期・16世紀に開設された日本橋魚河岸の守り神として、水神社が設けられ、「大市場交易神」と呼ばれていました。
元和年間(17世紀初頭)神田神社が現在の外神田に遷座し、さらに昭和8年、築地に魚河岸が移ったあとも、江戸・東京のひとびとの食を支える市場の守り神として、水神様の本殿は神田明神にあります。
江戸の鎮守の時代から現代まで、都民の食を守っている。神田明神築地市場だけでなく、旧・神田市場(歴史ある青果市場・やっちゃば)の氏神でもありました。

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   神田明神の大鳥居。明神様にちなんだものではなく、波の文様で作られているのも、水神社の占める地位がわかる。

 
しかし、築地と江戸文化はさらに深い関係があり、水神様の由縁には、日本を代表する"あの"由緒正しきご一族が関わってくるのですが、それはまた次の機会に。
 
これほどまでに江戸・東京にとって重要な神様を粗末に扱った今回の一件。豊洲新市場のずさんさ、東京都民の食をも粗末に扱おうとする体質を露呈しているのではないでしょうか。
 
水神様は、まだ神田にいます。豊洲には行っていません。築地を再整備して築地の水神社もきれいになったところに戻ってこられるのが、一番よいのではないでしょうか。 
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