築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

淀橋青果市場に行ってみよう。

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都内には11の中央卸売市場があります。
築地以外の市場も見てみよう、ということで、前回は東京最大・大田市場(青果・鮮魚・花き)をレポートしました。この3部門が揃うのは大田だけ。鮮魚は他には築地と足立が取り扱っています。
大田市場が神田や荏原などの青果市場を統合してできた経緯があるように、以前は都内にももっと多くの青果市場がありました。野菜は近郊にも産地が多く、商店街の青果店も多かったため、地域ごとの細かい流通に対応する必要があったからです。現在、野菜はスーパーでの流通も多くなっていますが、消費者の青果店への信頼は根強く、また近所の飲食店のニーズに応えているのも路面の青果店です。
 
新宿から各駅で一駅、大久保駅からすぐの線路沿いという絶好の立地にあるのが、今回紹介する淀橋青果市場です。電車から見たことのある方も多いのではないでしょうか。規模は小さいながら、東京西部からのアクセスがよく、大都会の消費ニーズに対応した市場です。
 
アクセスは大久保駅東中野駅の中間ですが、大久保からだと北口に出て、線路沿いの細い路地を通っていって、山手通りに出るとすぐです。築地のような場外はありませんが、業務用の青果などを取り扱う店が通り沿いに何軒か見られます。
大田のような見学コースはないので、山手通りにある正門の警備員詰め所で見学希望のむねを伝えると、あとは自由見学です。12時近くなっても大型車両の出入りも多いので、気をつけて見学しましょう。
 

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正門の裏には稲荷神社と、市場を創設した「内田秀五郎」の像があります。現在の西荻窪駅のある井荻村の村長で、沿線の開発を推進した人物として有名です。
 
淀橋市場は卸は「東京ベジフル」1社、仲卸は16社。正門側のほとんどの面積は野菜や果物の倉庫状態となっており、一番西側(東中野寄り)の建物が仲卸棟です。

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仲卸店舗はすべて同じつくりで、通路沿いに事務所をかまえ、裏側に商品を積み、その先の道路に搬出の車が寄せられるようになっています。
実際はあまり品物を店舗には並べず、荷下ろし場から直接買出しの車両に運搬しているようでした。小売店向けの青果はとにかくロットが大きく、同じ商品のダンボールがいくつもまとめて購入されるからです。それでも店舗に入る品物もあり、「ハコ単位なら個人でも購入可能」とのこと。縁日や学祭とかでスイカやキュウリ、焼きそば用のキャベツが大量に必要な人にはいいですね。

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運ばれてきた商品は、東側(正門近く)から土モノ(ジャガイモやかぼちゃ)、玉ねぎ、キュウリやなすなどの常温の商品、ビニールカーテンで定温を保った中にはトマト、仲卸棟近くには果物と分類されています。それぞれに香りがあり、大量の柑橘から芳香がただよっています。

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その間を移動するのは、ターレ、ではなく、マイティ・カー。面積が狭いからか、ターレは使用されておらず、この電動台車が活躍しています。搬入搬出のトラックは中まで入ってきて、当然、ウイングを開けて作業できるようです。
線路側には買出し人駐車場があり、仲卸の売り場に寄せて積み込み、退場できます。狭いということもありますが、出入り口も多く、効率的な動線になっています。

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線路側の南門から大久保側に伸びている、ちょっとわかりにくい場所にある建物が関連棟。マイティ・カーとフォークの修理屋さんや、なぜか床屋さんがたくさんあります。二階は事務棟のようです。階段がしぶい。

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飲食はここに二軒(と、自販機コーナー)。
ラーメンあづま家と、某グルメ・ドラマで取り上げられた人気店「伊勢屋食堂」
南門からは入りやすく、伊勢屋には近くの会社員風の人たちが列を作っていました。店内は狭いですが、メニューがけっこう多い。豚肉の定食が代表的ですが、日替わりの魚メニューも充実していて、お刺身が入荷する日もあります。小鉢もいろいろ。
筆者は、5月に行ったので、季節メニューの「豚肉とわらびの卵とじ」750円に、トマトの黒酢漬けを追加。トマト半個を漬けた豪快な漬物で、100円。

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市場外のお客さんに対しては「ごはんは丼が普通サイズですが、どうしますか?」と聞いてくれたり(写真は半ライス)、食後にショップカードをくれたり。

自家製の糠漬けは、何種類かあって、お盆から選ばせてもらえました。市場の人の食事が終わって、空いている(でも一般の人で並んでいる)時間だからかもしれませんが、いろいろ気配りをしてくれます。

 

ここはドラマ出演の効果もあるのでしょうが、どこの市場でも、こうした場内のお店は、市場で働く人たちの毎日を支えるだけでなく、「食に関わる人たちが食べているものだから」ということもひとつのブランドとなり、外からも食べに来る人が多い。
 
築地市場「うおがし横丁」は、ランチタイムには連日大行列ができています。これが豊洲に移転したら、これらのお店の損失ははかりしれません。
また、豊洲で用意されている飲食店のためのスペースは築地の現状と大きく異なり、設備投資や従業員の増減などの負担を強いるものです。なによりもオフィスビルの一角のような店舗は、市場グルメとしての魅力を持ち合わせておらず、「ここでは営業できない」と、移転を前にすでに廃業してしまった場内の飲食店も出ています。
築地市場においしいランチ、風情あるお店を求めてくるみなさん、場内の飲食店を応援してください。近日当サイトでも、「うおがし横丁」特集をアップする予定です。おいしかった、楽しかった、と、SNSで発信する、食べログ、4Travel、Tripadviserなどの口コミサイトに投稿する、そうした声が増えれば、必ず力になります。市場グルメは、築地にあってこそ。
SNSには#築地でええじゃないか#savetsukijiをお願いします。
 
築地の話になってしまいましたが、もちろん伊勢屋食堂や淀橋市場もたいせつな市場の仲間です。お近くの方は、ぜひ足を運んでみて、生活に密着した卸売市場を感じてください。
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豊洲市場は現在「安全宣言」に基づいて、農林水産省認可申請を出しています。
農水省は食の安全と、流通の安定を守る義務があります。
豊洲市場を認可しないで」。
農水省に声を届けましょう。
100-8950 千代田区霞ヶ関1-2-1
農林水産省 消費・安全局 消費者行政・食育課
FAX:03-3502-0594
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引き続きこちらもよろしくお願いします。
 
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