築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

環状2号と鉄道。

まずはお知らせ。
築地市場は営業してます!
築地市場[自立営業]お買い物ツアーは、現在は火・土13:00~14:00の営業です!!
次回・11月13日(火)は波除神社の二の酉もあります。ぜひ場外でも楽しんでいってください。
築地市場場内で「営業」を行うため、仲卸さんたちは豊洲でめちゃくちゃ苦労して仕事をされてから築地に移動(それも渋滞)してきます。予定は急遽変更になる可能性があることをご了承ください。最新情報は右リンクみずのやさんのツイッターで直前に確認してください。
 
さて、そうはいっても、築地市場はフェンスで囲まれ、解体工事がはじまったかにみえます。「もう壊しているんでしょ」と心ないことを言い放つ方も多いのですが、実際は本体の解体スケジュールはまだ先です。工事手順としては、まずアスベスト対策を各ブロックごとに行っている段階。
扇形の築地市場の建物にはまだ手はつけられていません。
本当なら文化財価値としての調査(築地市場隅田川橋梁とともに日本遺産)や、「所有権放棄」を東京都に迫られたものの撤回した業者さんが多数いる「残置物(店の什器や看板など)」の持ち出しといったことも必要なはずです。そして、農水省が「廃止」を認可せず、業者が「営業」を続けている以上は、築地市場を廃止することはできないはずなのです。
ただし、豊洲でさんざん非合法なことをしている東京都が、築地解体において非合法なことをしないという保証はどこにもない、というか、やるであろうことが問題なのですが。
 
誰も立ち入れなくなってしまった築地市場の現状。がんセンターの隣にある新聞社が上から見て、正しく報道してくれればいいのですが、そうもいかないので、一般の人誰でもが状況を確認できる場所をご紹介します。
ここです。

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これはカレッタ汐留46Fスカイレストラン展望ロビー(無料)からの眺め。入り口がわかりにくいのですが、B2Fカレッタプラザからの専用エレベーターでアクセスします。
雨の日(10月23日)の撮影分ですみませんが、ここからは浜離宮築地市場から環状2号線を経て、豊洲新市場までが一目瞭然。

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現在工事が進んでいるのは、築地市場青果門のところです。見てのとおり、解体工事ではありませんね。
これは環状2号線のトンネル出口と換気塔(右側・敷地外)と、2020年開通予定の暫定路ステップ2(青果門内側)です。
 
もともとは戦後復興のときから計画があり、2003年に事業化されたものの、なかなか工事が進まない環状2号。築地市場が邪魔だからだ、という論調も見受けられますが、そもそも東京の都心中の都心、地価も高く、既存の施設が機能している地域に、そう簡単に壊して道路を作るのが無茶というもの。
したがって計画は一部を地下化したり、迂回させたりとややこしいものになっています。虎ノ門から汐留を経て、築地の区間が地下トンネル。その出入り口がこの工事区画にあたります。
 完成予定は2022年。
「オリンピックに必要なのに、築地移転が遅れたせい」と、言われています。
 
しかし、どうでしょう。11月4日、暫定路・築地~豊洲間が開通しました(青果門のところの下り線入り口)。

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これは移転のときに、ターレが築地大橋を大移動したとニュースになったまさにその区間(写真は10月6日築地大橋にのぼっていく中央魚類のトラック)。
そして現在、青果門のところで、のぼり・下り車線が分かれてはいますが、そのままの暫定路で開通しています。つまり、市場を壊さないでも、2020年のオリンピックには暫定路が使えるのです。
 その後もこの迂回路をそのまま整備拡張すれば充分ですが、なぜか東京都はここで無駄な「ステップ2」なる計画を出しています。
 
 
現在の暫定路(2車線)を使わず、2020年に築地の青果棟のところを通る新暫定路(2車線)を開通。さらに2022年に向けては、トンネルからのルート(4車線)を再整備。わずかな期間のために、壊しては動かし、の繰り返し。これでは「ゼネコンを儲けさせるため」「築地市場を壊すための道路計画」といわれるのもムリはありません。ちなみに都民の税金です。
 
ところで、現在の、新橋から伸びて、築地市場の外から扇形に大きくまわりこむ暫定路、なにかに似ていませんか。
築地市場ができた当時の、鉄道・東京市場です。
 

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自作ペーパークラフトで説明しましょう。
 
左が現在の新橋駅。一番右が隅田川、画面手前の黄緑が環状2号です。
オレンジで立体化してる部分が、鉄道遺産
もともとの「汽笛一声新橋を」と歌われた新橋駅は、もう少し海側、現在の汐留シティセンターパナソニックミュージアムの敷地内にある「旧・新橋停車場(1872年開業)」です。旧駅舎はきれいに復元され、資料室となっています。プラットフォームと0哩標識もあります。

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1914年に東京駅が作られ、貨物専用駅となったのち、1923年には駅舎は関東大震災で焼失。その後1935年に作られたのが築地市場です。
そして先のカレッタ汐留の場所こそが汐留貨物基地

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ここから引込み線(1.1km)が、現在の青果門の位置から築地市場に入り、あの扇形の建物の外周がプラットフォームとなる国鉄東京市場駅」が同時に開業しました。
前記事にも載せたカスタマーリさんの「築地でええじゃないか」に使われている写真でも、駅の雰囲気がわかるので再掲します。
 
60年代から、運輸の主力がトラックに移り変わり、1984年に路線は廃止されましたが、鉄道は大正・昭和の食品流通を支えた大切なインフラ。九州から東京への鮮魚直行便・国鉄「とびうお号」というのも走ったそうです。そしてトラック輸送になっても、築地市場の搬入ルートとして、この扇形の建物の構造が活かされていたのです。

 

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現在、旧・鉄道路は銀座郵便局から朝日新聞の南側を抜ける細い道路となっており、郵便局の横には「銀座唯一の」踏切が遺されています。
鉄道遺構、産業遺産だって価値のあるものはちゃんと遺すのです。それにひきかえ、築地市場の建物をなんの文化的調査もしないで破壊を決めるのは、前例のない異常な政策ではないでしょうか。
 
築地に汐留方面から到着するトラックは環状2号から青果門や正門にアクセスしていました。
しかし、この環状2号暫定路を見ていると、これでこのまま築地市場に入ることができたら、さらに築地市場の機能が増すのではないか、と思えてきます豊洲新市場のトラックのアクセスの悪さは完全に証明されています。それに比べて、環状2号を作っても、逆に築地のほうが効率もアップします。
ここは暫定路を活かし、築地を再整備してオープンする方が、東京の安定した食品供給にも、ひいてはオリンピックの選手村への提供や期間中増加するとみこまれる需要にも対応できるのではないでしょうか。
 
次回は「環状2号暫定路・築地大橋を歩いてみる」を計画しています。
 
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引き続きこちらもよろしくお願いします。
鉄道好きな方もぜひ。
 
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