築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

下町の台所・足立市場(後編)

まずはお知らせ。
築地市場は営業してます!
築地市場[自立営業]お買い物ツアーは、現在は火・土13:00~の営業です!!
築地市場場内で「営業」を行うため、仲卸さんたちは豊洲でめちゃくちゃ苦労して仕事をされてから築地に移動してきます。予定は急遽変更になる可能性があることをご了承ください。最新情報は右リンク営業権組合のツイッター(みずのやさんツイッターにも引き続きアップされていますが、営業権組合のほうが探しやすくなりました)で直前に確認してください。
 

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年の瀬のお買い物シーズン。やっぱり伝統的な魚河岸がええじゃないか!ということで、今、ひそかにbuzzっているといわれる足立市場のレポート続きです。前回は仲卸棟の機能的な仕事ぶり、築地よりもさらに由緒ある市場の歴史、全体がフレンドリーで一般客もなにげにウェルカムな感じであることをご紹介しました。
 
もちろん築地と比べると取扱い量50t/日(築地は1500t/日、豊洲移転でぐっと落ちて1000tを切る日も)なので、建値市場としての役割はありませんし、大口業者には不足もあるでしょう。
また、電車で買出しに来ていた小口業者にとっては、駅から遠い(東武線・千住大橋からなら3分)こともネックになります。それでも東京北部の飲食店などは、仕入れを足立に切り替えたところも多いようです。
 
一般客目線では(買出し人にとっても)、一番気になるのは「場外がないじゃないか」ということではないでしょうか。
なんといっても築地の唯一無二なところは、400店以上の場外と一体化した市場の街、食の街であったこと。それは、場内と場外、どちらか片方だけでは成り立たないものです。
しかし、年末のお買い物程度なら、ご安心を。
足立は場外がない分、充実の関連店舗があります。もちろん飲食店も。
 
前回ご紹介したように、足立市場は天正年間に端を発する「千住のやっちゃば」の土地であり、北千住駅方面に続く旧・日光街道には青果や乾物の問屋さんもあり、市場近くには包装用度のお店もあります。
 

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そしてなんといっても、ここが市場の街であると感じるのは、旧・日光街道から北千住駅線路脇の飲み屋街にかけての充実ぶりでしょう。大きな海鮮の店も、小さな間口のラーメン屋も、最近増えているこだわりの食材のビストロも、質量ともに都内きっての飲食街が、目下拡大を続けています。
また、南千住駅に向かう「コツ通り」という商店街も昭和の風情が漂う地元のお店がたくさんあります。
こうした街並も市場(と宿場町)とともに作られてきました。
 

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そして場内にも、誰でも買いやすく品揃え豊富な関連店舗(物販)が集まっています。場所は仲卸棟のすぐ向かい。大田市場もそうですが、ちょっとした商店街風のつくりで歩きやすい。築地の残念だったところは、うおがし横丁が屋根がなく、雨の日は混乱していたことですが、ここは安心。
お店はプロユースの鰹節や昆布が買えたり、お得に缶詰や瓶詰が揃ったり、ブランド和牛の肉のアンデス(葛西市場に本店があり、卸のほか小売店も各地に展開)もあります。
 
そして北足立千銀などの青果店の特徴は、地産の伝統つま野菜(穂ジソや木の芽など)の取り扱い。魚市場なので、和食の買出しには欠かせないものです。足立区内で生産された品物を扱う、地産地消は東京の市場としては稀有なことです。
 
入り口看板にも明記してあるように、関連はどのお店も一般客歓迎。参考までに、筆者はあるお店でレトルトカレーやとろろ昆布などを買ったら、かなりおまけしてくださいました(常におまけがあるかは保証しません)。ご近所の方には日常の買い物にも便利でお得ですね。
 
正門に戻ると、詰所の向かいに5軒の飲食店が並んでいます。
寿司の"武寿司"、海鮮丼の"かどのめし屋"(北千住店もあり)、定食の"しいはし食堂"、海鮮丼の"とくだ屋"、そば・うどんの"たけうち"。
メディアで紹介された店もあり、近くの会社員のお昼などにも重宝されているようです。昼時には行列ができます。なんといっても安い。

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とくだ屋は「豪華海鮮丼」でも1300円、この日替わり定食はなんと580円。サゴシの塩焼きと、関連に立派なしいたけが入荷したのでしょう、そのまま天ぷらにした豪快なものです。味噌汁もあら汁。夜も営業しており、市場の食堂だけでなく、街の飲み屋さんとしても活躍しています。

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さらに全体にフレンドリーな下町感をかもしだしているのが、こうした趣味?の品々。そばの"たけうち"では自作の小説やエッセイのプリントアウトがもらえます。
手作りの看板や手書きポップも多く、市場の中なのに下町の商店街そのものです。

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最後に忘れてはいけないのが、この自転車屋さんの隣にある神社。市場にはどこも神社があります。築地は水神様ですが、ここは金比羅さん。水運の神様です。立派なおやしろに、お神輿もあるようです。
 
いかがでしょう。築地とも大田ともまた違った、こじんまりとして気さくな足立市場。それでももちろん、扱う品物はホンモノです。
これが近くにある地元の方たちは、毎日の食も充実し、その食べ物がどこからどう来るのかも体感することができて幸せです。飲食店なら迅速で特徴ある買出しがしっかりとできます。
今、都内各地の小規模な市場は青果市場だけですが、本来であればこのように小回りがきく市場が各地にあり、流通を支えることがほんとうの食の豊かさや、東京の多様性をつくるのです。
「遠くて買出しにいけない」として、小売店や飲食店を閉店させてしまった豊洲市場移転。
失われたものの本質は、足立市場で見つかるのではないでしょうか。
 
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今月16日に豊洲市場仲卸棟のエレベーター内で、猛毒のセアカゴケグモが見つかりました。ターレによる死亡事故も起きています。想像以上に危険な豊洲市場。これが「食の安全」といえるでしょうか。
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