築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

運営協議会レポート(後)

前記事に続き、東京都中央卸売市場取引業務運営協議会(10.28東京都庁)について傍聴レポート後編です。7番目に発言した、中澤誠委員(水産労組)vs都・長嶺事業部長のバトルを再現。

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(参考:砂町銀座商店街・今年2月に閉店したお店)

中澤氏は「これが通れば、そうだな、ざっと予想すると3年で個人経営の魚屋がなくなります。5年で個人経営の飲食店の大半が退場を余儀なくされると思う。薬屋・酒屋がなくなったように」

と、ツイッターで発信。都内の業者・小売・飲食のみなさんもこの条例改定に無関心ではいられないと思います。
 
発言のことば遣いなどには一般的にわかりやすいよう補足・改変してあります。(←)は筆者のツッコミです。
 
会議資料はこちら。
 
中澤:規制緩和には「時代の進歩」と「野蛮への逆行」の二つの面がある(←カッコいい!)
まず、都はせり人試験をなくすつもりなのか。試験の合格率は6~8割、一昨年は6割程度。つまり不合格の2~4割の人が講習だけでせり人になれてしまう。
 長嶺:せり人については卸からの届出とするが、何年かにいっぺんの講習義務を設ける。現行は試験を一回受ければ継続できる(←試験は5年ごとでは?)合格率は8割程度と理解している(←ミスリード
 中澤:東京都は住んでいる人が自給自足できない自治体だ。目利きのせり人は都民にとっての財産。組合にはせり人も所属しているが、レベルを保ち、ステータスを維持してほしいという意見だ。
 
中澤:次に、卸、仲卸の小売を認めるかという点について。
長嶺:市場施設内では今までと同じ。
中澤:法改正で開設区域はなくなる。
長嶺:市場の外においては規制はない(←認めてる)
中澤:実態と違うことになるのではないか。場外に卸が小売店を開くことが可能になってしまう。
長嶺:一律に規制をするというのは馴染まないと考える。情報共有をし、話し合いの枠組みでやっていくことになる(←これがよく出てくる情報共有すればオーケー論。特にこの問題は、共有したからって何?)。
 
中澤:公正取引について。
条例案は49~80条を全部廃止するというものだ。その中には重要な規制がたくさんあり、現在は例外規定で実施されている状態。
資料3「公正な取引環境の確保について」(←この資料やばい)では、公開すると言っているが、この条例で運用すると実態が見えなくなる。
商物分離原則の廃止。卸が品物を市場に入れても、入ってないことにすれば、手数料は随分違ってくる。
資料3では相談窓口を設けるというが、品物が見えなければ我々は不正を見つけられない。こんな相談窓口とかちゃんとできるんですか?
長嶺:商物分離や第三者販売には実績報告(←事後承諾、しかも本人申告)をきちんと求めていく。抜き打ち査察や相談窓口の整備も行う。
規制緩和によって多様で大量の品物が東京に集まることが、卸・仲卸にとってのメリットとなる。

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 中澤:業務許可の条項で、卸と仲卸の兼務禁止が廃止される。ここにいる伊藤さん(水産卸会長)が仲卸やりたい、と、言ったらできるということか?
長嶺卸・仲卸それぞれの強みを活かした取引をすることが、産地・実需者に資するものと考える。ひぐち委員の発言にあるように、都は具体的なサポートを行う(←規制緩和した新業態のサポート、とも取れる。長嶺部長は結構ボロを出してるというか、開き直って、そうよ、卸の好き放題させるわよ、と、認めている感じ)
 
中澤:市場の価格形成というのは、卸と仲卸、立場が反対の人をぶつけて成立している。卸と仲卸が同じでは価格形成の不公正が起きる。
長嶺:価格の公表義務があり、引き続き適正に果たされるものと考えている。
中澤:そんなウラで手を握ってるような価格形成は信用できないなぁ…。証券取引所でこれはあり得ないでしょ。今回の条例はインサイダー取引の奨励をしてるみたいなもの。

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中澤:卸と仲卸は立ってる場所が違う。じゃあ早山さん(水産仲卸会長)が大々的に直荷引きするから、って言ったら、広いスペースくれるんですか?(←卸の賃料は500円/㎡、仲卸は2000円/㎡。この格安は都民の食糧供給という公益に資する業務だから、という)
長嶺:そういう話ではないと思うが…
不公正を取り締まるために、差別的取扱い禁止条項もあり、他の法律、独占禁止法などで(←そしたら条例も法に準じた中身にすべきでは?)商行為の全般が規制されている。
 
中澤:規制が作られたのにはそれぞれ理由があるはず。
即日上場の規定は、昔の卸が品物を隠したから作られたという。条例は「何が不公正なのか」を定めるもの。
例えば独占禁止法改正前は持ち株会社は犯罪だったのに、今はホールディングスだらけ。
この条例案では、今「不公正」なものが正当化されて「公正」だとされてしまう。
長嶺:市場業者からは「不公正なものがわからなくなる」という意見も聞く。資料3にあるように、何が不公正かは具体的な事例をもって示すこととしている(←ミスリード。それが、今「犯罪」なものが、新条例で「公正」になるってことでしょ)
 
伊藤:卸と仲卸は市場の仲間であって、対立関係ではない(←!そういう話じゃない…)
仲卸からこういうものを集荷してほしいという提案があったり、卸から産地の提案を伝えたり、意見交換をして交流をしている。
自分は早山さんのように、マグロのひとつひとつの部位の説明ができるとか、そうした知識はないので、仲卸はできない(←個人ができるかどうかじゃない!)(←できなければ、できる人・会社を買収合併すればいい)
卸と仲卸が相互に交流し、もっと連携してこれからの市場のあり方を作っていく。「対立」とか「ウラがある」とか、そうは思わない(←当人だからね)
また、この条例案で廃止の条項は多いが、現行ではいちいち「書類を出せ」ということになっていて、それが負担だ。今回の改正案でも、取引の発表の義務が、かなり卸にとっては負担である(←隠す気満々!)。
 
中澤:自分は反対の立場を明らかにする。今日の議論はまったく不十分。流してほしい。
 
 
しかし東京都は11月5日にほとんど予告期間を置かず(したがって傍聴にいけませんでした)
を開催、そこでは運営協議会の案件について、都議を含めた委員への「報告」という一方的な形が取られました。しかも批判意見については回答せず、賛成する意見にはなぜか回答するという「報告」だったそうです。
(また、あいかわらず「都民にPRしよう」の意見が出ており、どさくさにまぎれて豊洲の「賑わい創出」事業を継続させる言い訳となっているおそれがあります)。(マルシェの最新写真はこちら↓)
 
7月の第四回条例改正準備会議で都側が一方的に出した(これまで三回の議論を踏まえない内容で、突然出てきた)条例改正案が、ほとんど審議もされず、事業者の意見を取り入れず、そのまま成立しようとしています。
 
これは、事業者・各市場などと30回以上の話し合いを設けた京都府
や、前記事・あぜ上委員の発言でも紹介された100回以上の議論を重ねた上で、国の市場法で損なわれた条項を条例で規定しなおすことでほとんど復活させた札幌市
のみならず、全国的に見ても異常なまでの強引な決め方です。
今後、市場関係者にはかることはなく、前記事・藤島委員が「業者がひとりも入っておらずイオンが入っている」「市場担当でなく、政策局がレクをしている」と、指摘した
にかけられる、というのも、都のロコツな姿勢が現れています。
 
そして東京都はこのまま押し切って12月の都議会で採択をはかる予定です。

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