築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

ほかの市場はどんなとこ?昔も今も首都圏の流通の入口・横浜市中央卸売市場(本場)

COVID-19感染拡大防止のため、現在首都圏の中央卸売市場は一般の立ち入りを禁止しています。もちろんそれによって食糧供給の拠点である場内の安全管理を保つことが必要なのは、いうまでもありません。
しかしそのことで、観光客に依存する傾向の強かった豊洲市場の飲食店が苦境に追い込まれています。都内の街のお店には不充分とはいえ、休業要請協力金の制度がありますが、卸売市場内のお店は、市場が操業しているため、適用されません(豊洲場内のお寿司屋さんなどは緊急事態宣言以前から休業しています。本来の場内で働く人向けではない何千円もするお寿司には見学者がいない今、ニーズはないからです)。この観光客依存は築地から続く傾向ではありますし、お店の営業戦略としてとっていたものといえますが、特に豊洲に移ってからというもの、東京都が「賑わい」を連呼して旗を振った結果であることも事実です。
その「賑わい創出事業」であるところの千客万来施設」は、2023年に開業がずれこみ、それまでの暫定施設として今年江戸前場下町」がオープン(休業中)。さらに「千客万来施設」のための立体駐車場の工事が進められています。
本来の市場のお店が窮地にあるときに、「賑わい」や「観光」がいつ元のレベルに戻るかも不明なのに、こうした付帯施設の整備に予算と労力を裂いているのは矛盾していませんか?

 

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さて、今回は昨年秋に見学にいった、首都圏最大の市場のひとつ、横浜市中央卸売市場(旧・北部本場)をとりあげます。
もちろん現在は一般立ち入りはできませんが、ここの飲食街はお寿司や海鮮丼が破格の値段で味わえる横浜の穴場として、観光客にも知られているところです。と、同時に市場のひとのニーズにも応える本来の役目も果たしています。
卸売市場本体は今も毎日食の安定供給のために活躍してくれています。それを応援する意味で、少し古い情報ですが、記事をアップします。
 
横浜市では、以前アップした、南部市場が「民営化」したため、現在は「旧・北部本場(ほんじょう)」が唯一の中央卸売市場です。
場所は二ヶ所に分散していて、水産・青果・花きが横浜駅神奈川駅のあいだ、精肉が生麦駅近くの、どちらも埠頭に立地しています。第一京浜沿いでもあり、まさに流通拠点のここは、旧東海道沿いでもあり、開港からの食品流通を担ってきた伝統を感じることができます。

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水産・青果には横浜駅からバスが出ていますが、神奈川駅からだと徒歩15分程度。
第一京浜を越えると、途中に業務用食品店などのある場外に相当する地区が少し展開しています。チーズケーキのアウトレットや、某芸能人の実家のノリ屋さんなどが有名。店頭にはヤバイよ~とパネルも立っています。関連大手のヨコカンもあり、一般小売もしていますので、まとめ買いにどうぞ。
このあたりから、すでに旧・引込み線もあり港の雰囲気がまんてん
 
滝野川を渡ると、右手が水産物部、左手が青果・花き部です。水産の一番手前が関連棟。入り口であいさつしてから入りましょう。
川沿いには神社があります。「伏見市稲荷大神」。

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関連棟は縦長の通路一本の建物。
手前側に食堂が並び、奥には精肉や資材関連の店舗が入っています。入り口に近い寿司清が有名で、行列ができていました。これで1200円、すごいですよね。
なぜか蕎麦がメニューに入っている店が多い。それと、飲む雰囲気がかなりできている。

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一般が入れるのはここだけ。毎月第一・第三土曜日は水産の一般開放があり、買い物もできます。

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そしてもう一ヶ所、海のほうに進んでいくと「厚生食堂」があります。ここはいかにも市場内向けですが、一般も利用してもいいそうです。BBQもできますよ。

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道路をはさんでの青果棟とは陸橋で連結されています。
海側に進むと船着場が確認できました。
 

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そして離れた大黒埠頭にある精肉部。周辺はロジ関連の拠点が集約されていて、大型トラックがひっきりなしに通る場所です。ブタの生体搬入のトラックも見られました。
こちらも第一京浜からすぐの好立地。生麦駅からいくと、途中にキリンビールの工場があり、試飲もさせてもらえる工場見学が人気です。

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精肉は特に衛生管理が厳しいので、立ち入り禁止。敷地の一番海側にあるPR館だけが立ち入り可能。資料展示のほか、ハマモツや焼肉のタレなどが買えます。
 
(水産・精肉とも、現在は休止中です。緊急事態が解除になっても、衛生施設なので、すぐの公開再開は難しいと思われます)。
 

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生麦駅の東側、花月園前駅(花月総持寺に改名)には「生麦魚河岸通り」という道があります(旧東海道)。残念ながら、特に魚河岸関連の店はなく、ほぼ住宅街になっています。

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しかし、水産・青果も精肉も、歴史ある土地に立地しており、周辺には「市場のある街」の雰囲気が色濃くただよっています。
それは港町として発展し、現在も海運の拠点である横浜ならでは。工業原料や鉄鋼業、エネルギー資源などはふだんの生活からは見えないところにありますし、卸売市場とそれにつらなる食品流通もそうです。
 
しかし都市に近接した港である横浜では、ときどき目に見える形でグローバリズムを考えるニュースが入ってきます。
最近ではカジノ問題。米サンズ社が撤退を表明したものの、横浜市長からは撤回の決定は出ておらず、今後も予断を許しません。ただし、現在のCOVID-19での世界的な人の移動の制限は今後も続くはずなので、横浜・大阪、そして東京も海外のカジノ業者は敬遠するでしょう。
そうなると、小池都知事の語る築地市場跡地をコンベンション・センター、ホテルやカジノにする「まちづくり」は早い修正が求められるところです。このまま進めて、事業者が手を挙げない状態では、ほんとうの廃墟になってしまいます。
 

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ちなみに横浜・大黒埠頭といえば、あのダイアモンド・プリンセス号が停泊していたところですが(写真は関内の大桟橋から)、客船ターミナルがあるのは、市場よりもずっと先の埋立地です。
 
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今こそ、都庁に声を。
 
豊洲市場の問題を検証してください!
築地の再開発を見直し、場外市場が維持できる方向に切り替えてください!
食の安定供給が必要な今、市場の機能をそこなう新・卸売市場条例施行は延期に!
飲食店の休業・減益に補償を!
仕入先にも補償を!
 
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