築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

ところで築地はどうなってるの? 2021秋/その2 場外と本願寺周辺

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波除神社のすぐ前、東京促成青果ウラの空き地に、ホテルが建とうとしています。気づけば、6丁目、7丁目もホテルやマンションが雨後のタケノコのごとく。2013年のオリンピック招致、18年の市場移転あたりが契機になっているようです。
中央区街並み誘導型地区計画には20年ほど前から指定(日本橋までの広範なエリア)されていますが、19年に「高度利用型」が導入。この中には「ホテルの場合は容積率規制緩和(p.10)」なども書かれています。
 
 
気づけば高い建物ばかりになる築地を視察し、街並み模型を作ってみました。わかりやすくするために、高さを4倍のスケールにしてありますので、ペンシルビルみたいになっていますが、白はマンション、黒はホテル(古いものも含む)、緑は新規建築のものです。
トップ写真は隅田川側より。まずは、その手前左側の築地4丁目。場外市場のエリアです。

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右が隅田川。真ん中の空間は波除神社裏の市場駐車場。一番手前が東京促成の裏の新築ホテルです。
・4丁目23番:ホテル11F建て/37.99m/23年7月開業予定

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工事現場の様子。なぜか木の手すり?がついた鉄板になっています。
もともと場外にあったのは、タイの絵で有名な東急ステイ/10Fと、晴海通りをはさんだ本願寺に隣接した3丁目のホテルBAN/11F。早朝に築地に来たい観光客にはもっとも便利なところです。
 
さらに、この近くには2本のマンション計画が。1Fは商業施設になるそうです。
・4丁目16番:マンション第一リアルター10F/30.24m/23年3月開業予定

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このへんは、仲卸の事務所などが多い通り。その事務所が閉店していることも多く、これから一気に売買が進むのではないでしょうか。

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晴海通りをはさんだ築地6丁目。こちら側にも市場関連の建物がとても多いエリア。
晴海通りにはトラックドライバーなどに人気があったラーメン屋さんが並んでいますが、一店は移転の直後に閉まっていますね。今は駐車場で、大和地所が抑えています。
 
このエリアのホテルは
・KOKOホテル築地銀座/10F/21年9月開業
・ホテルSPATIUM銀座:5F/Y&Jグループ有一居/(訪日外国人向けライトホテル(小規模)/2018年
の二軒です。どちらも時期的にはオリンピックの観客狙いであったと思われます。

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注目は小型のSPATIUMで、この有一居というグループはホテルを直接運営するのではなく、フランチャイズ募集みたいな感じです。大型の開発ができない土地でも、コンパクトでオシャレなホテルを建てられるノウハウを提供するようです。
また、名前が「銀座」であることも注目。ほかのホテルやマンションも「築地銀座」とか「東銀座」というのが増えていますが、番地はれっきとした築地です。
 
マンションは
・WILLROSE/14F/12年
・FRENCIA/12F/21年1月/Resident First(三井グループ)賃貸
・PARK LUXE/12F/10年/賃貸
など。
 
東隣、明石町・あかつき公園につながる築地7丁目には大型のマンションが目立ちます。「エリア最大級」と名打って開業したのが
・アトラス築地/11F/161戸/21年/旭化成

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ですが、圧倒的に目立つのは
・Premist東銀座築地アークコート/エッジコート/14F/21年/ダイワハウス分譲/
のほうではないでしょうか。通りをはさんだ二棟で、一階にコンシェルジュ・デスクの見えるガラス張りの豪華な建物です。
ほかには
・イニシア築地レジデンス/12F/21年/コスモスイニシア大和ハウス
・Park Homes/14F/12年
も大型で、
・7丁目12番にマンション建設中/11F/高さ31.76m/22年11月開業
ホテルは
・APAホテル築地駅前/11F/11年
そして、賃貸のデザイナーズオフィスビル
・The Terrace築地/7F/19年/(旧日刊スポーツ別館)/賃貸オフィス
が、築地川公園前の細長い敷地に壁のように建っています。日刊スポーツも部署の統廃合や、建物の縮小をしているようで、もう一ヶ所、商業施設に転用しようとしているところもあります。
 
 
本願寺東側の築地3丁目、新大橋通りを渡った2丁目
新大橋通り沿いにメトロ築地駅の東側出入り口を作ると同時に進んでいた巨大工事が、19年に開業。
ANESIA築地ステーションレジデンス/15F駅直結/19年/トヨタホーム分譲
はその名のとおり、駅と一体化した事業。
 
駅改修はさらに二丁目側に5F建て駅舎が23年3月開業予定。隣は今年閉店したキムラヤパンです。駅舎が5F建てとは、なにか商業施設でも作るのでしょうか。
 
ほかに3丁目のマンションは
・LIONS FORSIA/10F/20年三井レジデンス分譲
ホテルは2丁目にはもともと、京急EXイン東銀座/17FとリブMAX/11Fがありましたが、3丁目には
ホテル庵築地/7F/17年
も訪日客を狙った感じのホテルチェーン。
 
たしかに、新型コロナウイルスの感染拡大という想定外の要因はありますが、それ以前からの日本の、東京のインバウンド頼みの景気浮揚施策は危ういものがあったのではないでしょうか。
訪日客爆増の根拠は、オリンピックというわずか20日間のイベント(結局それがコケた)で、そのために築地だけでなく、ホテルを建てまくってしまった。
そして何度でも書きますが、訪日客をおもてなししたければ
築地市場を潰してはいけなかったのです。
新大橋通り沿いにはもう一軒、
・ホテルファースト・キャビン/8F/15年/カプセルホテル(デザイナーズホテル)
がありました。まさにペンシルビルですが、ファーストキャビン・グループは昨年破産しました。新型コロナの拡大、オリンピック延期があったわけですが、それですぐ破産するというのは、もともとビジネスとしての体力に欠けていたのではないでしょうか。
 
現在の東京のホテルの乱立は、この先どうなるのか。
訪日客の回復がいつになるか見通せず、GOTOなどを打っても国内消費は収入減少で落ち込む一方です。
マンションも供給過剰となっており、晴海の選手村が三井不動産等によってタワマン化することで、ますます飽和していきます。また、投機目的でのマンション取引が増えても、空き家ばかりの暗い街になってしまうのではないでしょうか。
 

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これは築地1丁目。祝橋交差点から隅田川の方をのぞんだ様子です。手前にピンクで表記したのは、現在解体中の巨大な空き地です。
ここにあったのは、60年代、前のオリンピックの時期に丹下健三の設計で建てられた電通旧本社(本館と別館で3区画)電通は汐留のビルを売却することが話題になっていますが、同時にこの旧本社も取り壊しをはじめました。住友と大成建設の事業です。

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築地と電通、そしてオリンピックと都市計画の関係とは。
次回に続く!
 
 
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