
東京都が築地市場跡地の再開発について、環境評価書への意見募集を行いました(2026.9.17で終了)。
「築地地区まちづくり事業」環境影響評価書案が提出されました。|縦覧及び意見募集等一覧|東京都環境局
「東京の未来について。高層ビル信仰からの脱却」
2017年に移転・廃止された東京都中央卸売市場・築地市場は、近代建築の精華であると同時に、未来の都市についてのビジョンでもあった。
人間の活動と都市化によって、現在、地球環境は壊滅的な危機に陥っており、しかし、東京都をはじめとする行政や、大企業はその危機感に則った行動をしているとは、到底言い難い。
現代のそれよりもずっと頑強で質のよい鉄骨とコンクリートで作られ、その簡易な構造から壊れにくく(東日本大震災でもまったく損傷せず、翌日から営業していた)、この先も充分に市場として機能しえた築地市場を解体したことは、大量のアスベストを含む産業廃棄物、解体におけるCO2排出、移転先の豊洲の立地による市場業者の車からのCO2排出増加など、環境面においても、重大な瑕疵であった。
市場移転において、築地市場の建築としての先進性が鑑みられることはなく、いたずらに破壊したことは、東京都だけではなく、地球環境にとって大きな損失である。
築地市場は低層で、壁のないオープンな列柱構造であるため、海からの風を遮らず、(地区計画により高層建築に規制をかけている)銀座の街並みを通して、都心部から山の手地域への風の通り道を確保し、東京のヒートアイランド現象への緩和となっていた。市場機能としても、非常に先進的な環境配慮がなされており、建設当時、ヨーロッパを視察して最先端の発想を取り入れたことは、100年たっても古びてはいない、どころか、現代の高層ビル志向で環境破壊している東京の街並みよりも、はるかに優れたものであった。
自然光を取り入れるノコギリ屋根、水産市場における清掃時の海水使用(害虫の発生も防ぐ)、流通のための動線を最大効率にする設計や場内交通(小揚、茶屋)によって大量のトラックが出入りしても排ガス放出は抑制されていた。海水使用については、塩分を含んだ水で清掃を繰り返しても耐えられるコロ石による床面の施工も奇跡的である。動線については、当初は鉄道引き込みと水運で設計されていたが、自動車よりも鉄道・水運の方が環境影響が少ないことは自明である。トラック輸送に対応しても、その設計が活かされ、効率的な運用を可能にしていた。また、銀座などの消費地に近接した立地は、配送のための車の走行距離を短縮していた。銀座などには仲卸事業者がターレでそのまま配達をしていたのである。
こうした築地市場の先進性をなんらリスペクトすることなく、豊洲という閉鎖型で消費地から遠く、場内の動線にも問題のある市場を開設してしまったことは、東京の環境にとって、悪手であったというほかない。
現在の「築地地区まちづくり」は、東京都による「にぎわい」「国際競争力」のコンセプトのもと、三井不動産等が高層ビル群を建設する、まさに乱開発というほかないものである。高層ビルが海風を遮ることは当然、ヒートアイランド現象を加速させる。

隅田川に計画されている水運であるが、新たにテラスを作るのではなく、なぜ最後まで残っていた水産大卸の鉄筋構造物を活用できなかったのか。あれは構造物として美しく、隅田川対岸や水上バス、勝どき橋から見てもランドマークであり、DOCOMOMO JAPANにも評価された重要な近代建築遺産であった。日本遺産・隅田川橋梁群とも連動し、隅田川の景観を形成していた。
こうしたスクラップ・アンド・ビルドだけを至上の価値観とする発想は、きわめて貧弱な考え方であり、これからの東京の未来を考えるうえで、害悪でしかない。東京の街は、コンクリートで固められた、ビル風が吹きすさび、ヒートアイランドで灼熱となり、そのため密閉した空間でエアコンを使ってさらに排熱し、消費は大規模な商業施設に入るチェーン店や大資本に偏り、小商いを潰し(築地市場移転で廃業した飲食店や魚屋は多い)、都内のどこの街も同じようなビルが建ち、自動車交通にばかり配慮し、タワマン建設に公金を投入して土地も投げ売りする、そんな廃墟にしてよいのか。

築地市場の遺産は、場外市場である。この「まちづくり」は、場外に観光客をもたらし、「にぎわい」を生む、というだろうが、現在、築地場外はオーバーツーリズムの傾向があり、いまさら「にぎわい」を作ってもらう必要などない。なによりもこの「まちづくり」のコンセプトは、ごちゃごちゃした狭隘な道と、低層の古い建物を活用した場外の街並みにそぐわない。今の場外の街並みこそが、人々に愛され、観光客を呼び込むものであり、それにそぐわない高層ビルを隣接して建てることは、場外の魅力を損なうものである。
以上、環境評価にない項目も記述したが、現在の「まちづくり計画」は全面的に見直すべきである、と意見する。
追記・評価書はCrome以外のブラウザで見られず、モバイルでも見られない。情報公開として非常に問題があり、東京の「まちづくり」から都民・住民を排除するものである。































































































