築地市場の移転問題は、豊洲の汚染問題や、政治問題だけが突出して報道されてはいないか。そこでほとんど語られてこなかったことは「築地そのものの価値」である。
「築地市場は、本当はまだ誰も気がついていないだけで、とてつもなく素晴らしいものなのではないか」という視点から、築地の価値を思想の立場からとらえる試み。
それが現在発売中の「現代思想・臨時増刊/築地市場」(青土社・1600円税別)である。
文化人類学者・中沢新一氏による責任編集のもと文化、歴史、食、建築・都市、さまざまな分野の築地についての論考が結集。
また中沢氏は実際に築地市場に何度も通い、5月27日には「みんなの市場」と題したシンポジウムを築地市場内講堂で開催(築地女将さん会主催)。現役仲卸・中澤誠氏、建築エコノミスト・森山高至氏、世界のモダニズム建築を評価するDOCOMOMOの名誉会員・兼松絋一郎氏らパネリストのほか、駆けつけた専門家や築地市場や場外で働く人々の発言も交え、充実した内容となった。
(You Tube動画は3分割のパート1。終了後にYouTube画面にて(2)(3)を見ることができます)。