築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

学習会・報告会・お買い物ツアー/3月のおしらせ

都議会の紛糾を受け、築地/豊洲問題がメディアでもクローズアップされてきました。以下の取り組みに、ぜひご参加ください。
 
[1]
3月20日(水)12:30開場~15:30 豊洲市場・7街区管理棟1F講堂
築地市場営業権組合主催・学習会(一般買出し人を含む市場関係者対象)
「卸売市場条例業務規定の改定でセリ全廃の動き/仲卸業は存続できるのか
~築地市場の移転と卸売市場法の改正、その真の目的は何か~」
特別講師・菅原邦昭(仙台中央卸売市場・水産仲卸組合事務局長)
 
[2]
3月23日(土)11:30開場 12:30~15:00 豊洲市場・7街区管理棟1F東京都会議室
築地女将さん会・築地パレード実行委員会・全国一般東京中央労働組合主催・緊急報告集会
「開場5ヶ月、豊洲市場は今?! 築地はどうなる?!」
築地女将さん会、土壌汚染研究者、消費者、労働者の代表が参加。
 
[3]
築地市場お買い物ツアー」3月16日(土)の実施確定です。
13時築地市場正門前にお集まりください。
詳細・直前状況は右記「みずのやさんのTwitter」でご確認ください。
 
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Tsukiji wholesale market / 1930年代合理主義の遺産


Tsukiji wholesale market The legacy of the 1930's Rationallism

 

お待たせしました!
築地市場お買い物ツアー」3月9日(土)の実施確定です。13時正門前にお集まりください。
詳細・直前状況は右記「みずのやさんのTwitter」でご確認ください。

 

また、お買い物ツアーと、主要メンバーである仲卸・村木さんについて、永尾俊彦氏による読みごたえある記事が出ました。ぜひお読みください(前後編)。

築地市場の「のれん」で小池都知事と闘う人々 - 永尾俊彦|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト

 築地市場の「のれん」を発展させる「解放区」 - 永尾俊彦|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト
 
なお、3月9日(土)は9:00~11:00「足立市場の日」もあります!
いつも一般も買える足立市場ですが、この日はさらにお買い得!
足立市場は南千住or北千住から。築地まで日比谷線で一本なので、市場のハシゴはどうですか?某・成田屋さんに「えっ、これだけですか?」と言われた、豊洲市場の土曜マルシェに行くより、絶対楽しいですよ!
 
トップにリンクしたYouTubeでは、築地市場の近代建築としてのすばらしさと、耐震構造補強を提案するすばらしい映像作品をご紹介します。
Tsukiji wholesale market / The legacy of the 1930's Rationalism
子どもたちの未来へのおくりもの
提案者の今川憲英氏は構造設計の第一人者であり、横浜赤レンガ倉庫の再生で知られる方です。ビデオ制作の入江経一も建築家であり、築地の開場時や鉄道の様子などの貴重な写真や映像を、解説画像などもまじえてわかりやすくまとめています。
 
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「まちづくり方針素案」のパブコメはお出しになりましたか?
出しそびれてしまった、まだ書き足りないことがある、という方は
 
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守ろう、築地場外!!

お待たせしました!
築地市場お買い物ツアー」2月16日(土)の実施確定です。13時正門前にお集まりください。
詳細・直前状況は右記「みずのやさんのTwitter」でご確認ください。
 みずのや (@mizunoyak) | Twitter

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      波除神社前。比較的新しい店が。

そうして築地にいらしたみなさん、ぜひ築地場外の現状を見て、東京都のパブコメに投書をおねがいします。
2月21日が締め切りです。
 
築地では今、「まちづくり」という名の再開発事業が始められようとしています。
東京都は場内の土地を市場会計から一般会計に移し(みなさんの税金で築地の土地を買って、豊洲新市場の赤字を補填します)、この場所では中央卸売市場を開設できないようにしようとしています。
そしてその利用計画として、今年に入って唐突に打ち出されたのが国際会議場などの複合施設MICEの建設です。予想ではIR(カジノを含む統合リゾート施設)が入るとされ、小池知事は否定も肯定もしないという不透明な応対をしています。
 
当初の市場移転計画「築地は守る、豊洲は活かす」で、市場業者も希望者は築地に戻れる、と言っていた「食のテーマパーク構想」は影も形もありません。それは市場業者にとってだけではなく、まさに現在「食のテーマパーク」として発展してきた築地場外市場のお店にとっても、大きな衝撃でした。
 
築地は場内と場外が一体化してひとつの街を作っていた稀有な場所でした。
もともとは場内に買いにきたプロたちが、そのほかの品物を買い揃える店が立ち並び、場外が広がっていきました。大江戸線開通あたりから観光客が増え始め、飲食店は「市場直結」を売りにし、また、仲卸の場外直営店やプロ向きの食材・道具の店も小売客に対してアピールをした結果、場外は都内有数の商店街となったのです。
 
なりたちの根幹ともいえる、「市場」がなくなって「場外」はどうするのか。
 
これは移転計画がではじめた頃から、すでに考えられていたことですが、結果として答えがでないまま、市場の移転は強行されてしまいました。
もちろん現在でも観光客のニーズには応えているし、一方、築地魚河岸は買出し人向けに強化したリニューアルを行いました。
それでも、市場を見られなくなったための観光客の減少、そして多くの人が指摘する「籠やクーラーボックスを提げた人」が見られなくなったという事実。区議会議員の聞き取りでは、実感としては1~2割の売り上げ減少という商店主もいるそうです。
 

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今、築地場外を歩いてみて目立つのは、飲食の点では食べ歩きフードの増加です。
波除通りの玉子焼き店は、これまでも行列はありましたが、移転後になぜか大きく伸びているようです。
また、海鮮丼のお店なども店頭でのスナック販売を強化しています。

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100円から500円程度で軽く食べられる商品が大幅に増えました。

最近もっともメディアに取り上げられることが多いのは、東通りの築地DELIでしょうか。近江屋牛肉店によるローストビーフおにぎりと酒粕ミルクの店で、スタンディングのイートインです。しかし、こうした新しい店ができるのは、一方で閉店や縮小したお店があるからで、築地DELIは漬物屋さんの事務所がなくなって、そこを店舗として広げたものです。

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また、築地は「朝からお寿司」「午後2時に来ても閉まっている」というのが文化でしたが、「ふつうの」飲食店のように、夜間や休場日の水曜・日曜の営業を拡大したり、バーなどをオープンしたお店もあります。ただし、それができるのは資金力・体力のあるお店に限られるでしょう。
 
こうして「市場直結」というアドバンスを失った築地場外市場が、「場外市場」という名のふつうの商店街になっていくことが、果たして生き残るための道なのでしょうか。
市場に直結していなくても、プロユースと観光客向けを両立させて人気のある京都・錦小路や、大阪・黒門市場といった成功例はあります。最初は手探りでも、場外のこころみがこれから伸びていくことは期待したいと思います。
 
ただ、現状において、立ち食いや食べ歩きの増加は、これまで衛生に気を使ってきた築地場外の街路の様子を変えつつあります。

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観光客の質も変わったのかもしれませんし、単純に商品を見ていると、客単価は下がっているだろうと思われます。
これまでほっといても行列のできていた高級店が、最近では価格を全面に出したメニュー片手に呼び込みを続けている風景もあちこちで見られます。
 
そして、築地が「普通の商店街」を目指す場合、今後、高級店や観光客向けならば銀座と、近くの会社員などが毎日利用する居酒屋ならば新橋と、とても近い立地で対抗しなくてはならないという不利もあります。
 
もっとも深刻なことには、築地場外が生き延びるための対策の時間は、決して多くありません。
東京都とディベロッパーが進める「まちづくり」は当然オリンピックと築地の解体と連動しており、その再開発のターゲットは場外にも広がるのは明らかだからです。
 
そして場外に空き店舗が増えていくと、今後の地上げはたやすくなります。
波除神社付近の仲卸の作業場や事務所がなくなりつつあり、また市場で働く人や買出し人、トラックドライバーなどの利便のためのお店が消えています。
NHKのドキュメントで取り上げられて話題となった、立ち食いそば屋が今月で閉店というウワサもあります。

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市場に近いエリアだけではなく、一等地のもんせき通り。以前火事があって10軒近いお店が焼けましたが、その後移動を経て元の場所に仮設店舗を出して、ビルができたらここで正式に再スタートする予定になっていました。
その1軒、「コーヒー花豆」や「まぐろ金ごま」などが観光客にも人気だった、菊屋中村は、元の場所に建てられた新しいビルに入居契約をしていたのに、突然1月末での立ち退きを言い渡され、築地から実店舗がなくなってしまいました。何十年も続いたお店が、です。
新しいビルには、これまで築地になかったファストフード的なお店が出店予定の貼紙を出しています。
 

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 そして、築地を愛してきたこれまでの顧客たちが、築地離れをしている最大の理由は、これではないでしょうか。
市場が壊されていく築地から、人が離れていく。モノも、お金も離れてしまう。

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そこに、「あの豊洲市場を作った」東京都が進める「まちづくり」が降ってきたら、どうでしょう。
 
再度のお願いです。築地はみんなのものです。一般の消費者・都民・観光客の視点でもかまいません。築地がどうなってほしいのか、どうなってはいけないのか、どんどんパブコメを送りましょう。

「築地まちづくり方針(素案)」ご意見募集|東京都

 

参考:宇都宮けんじ/希望のまち東京をつくる会パブコメを呼びかけ、提出したパブコメの公開をしています。

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「築地」が「移転」できるという幻想

前記事・土曜マルシェに引き続き、観光客にとっての豊洲新市場の状況についてのレポート、今回は6街区仲卸棟についてです。

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東京都は豊洲新市場の賑わいを強調しており、現在のところ、人数的には「観光客が殺到している」といってよい状態です。
ただし、土曜マルシェは盛り上がって売れ行きがすごい、とは言いがたいし、1月から始まった早朝のマグロのセリ見学(築地と違ってガラス越しのデッキから)は、応募倍率こそ抽選になりながら、当日蓋を開けてみると定員半数ほどがキャンセル、という状態です。そもそもゆりかもめの増便もされないまま、一般客の駐車場はなく、朝5時に豊洲新市場に来るのは至難の業です。
 
また、築地との最大の違いは、外国人観光客の少なさ。場内に入れなくなってからは、築地場外も外国人観光客が減少していますが、それでも場外市場の飲食店や築地ならではの食材は人を惹きつけています。
五輪を前に、インバウンドを打ち出している東京都。銀座でもスカイツリーでも、今や東京や全国の観光地は海外からの人気なしでは成り立たなくなっています。
だから豊洲も、といっても、海外の人には移転そのものが評判が悪い。
 
では、現在殺到して、飲食店に大行列している国内観光客にとって豊洲はどうなのでしょうか。
 
まず、ゆりかもめ・市場前駅を出て、みんな戸惑う。どっちに行けばいいか、どこまで歩けば目的地かがわからない。観光バスやゆりかもめ利用のガイドツアーで来る人も多いのですが、個人で来た人は、たいていどこで何をするのかわからずに困っています。
これは案内板などの不足も原因ですが、そもそも来た人たちが、ここに何があるのか知らない様子です。何を見に来たのかわかっていない。とりあえず新しく大きな施設ができたらしい、というだけ。
長い連絡通路を歩いていると、こんな声が。
 
「なんだかんだ言っても立派なものができたわね。お客さんもたくさん来てるから収入になるし」
 
こうした認識の人は少数ではありません。
市場の「お客さん」は、自分たちのような一般消費者ではなく、その収益は卸売で成り立つものだということを、市場にいるのに忘れている。
そして実際に来てみても、社会科見学でパネルの説明を受けるならともかく、豊洲で、卸売市場とは何をしているのか、見学コースと飲食店エリアから体感することはほぼ不可能です。
 
築地ではガイドツアーは禁止でしたし、見学者のための説明は「おさかな普及センター」くらいでした。
しかし、ただ中を歩いているだけで、活き活きとした市場の様子を感じ取ることが、誰でもできたのです。
仲卸では巨大なマグロが目の前で捌かれ、水槽の中にイセエビやアワビが動き、氷の箱の中にふだんは目にしないような多種類の魚介が並ぶ。そんなプロの現場を一般の人も間近で見ることができました。
 
豊洲では、延々歩いて仲卸棟の3Fに入り、「築地の写真」の前で記念写真が撮れるような通路の先にあるのが、このわずかな見学窓です。

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ここに来ても、これに気づかないで進んでしまう人もいる一方、築地に来たことがあって、仲卸を見ることを期待していた観光客からは「これだけですか?」と、警備員さんに質問が相次いでいました。
窓からのぞいていた人たちの感想は「何も見えないね」「入れないのかな」「通路狭い」「ターレがぶつかるらしいよ」「築地では買えたのに」など。特に「狭い」は、多くの人が驚いている様子でした。
 
それでは、築地と同様にうおがし横丁という名を残し、一般客も市場で買いものができる関連はどうでしょうか。
6街区仲卸棟4F、仲卸棟の見学コースからエスカレーターで上がっていくのが関連・物販店舗です。

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このエスカレーターがすでに「殺風景なデパートみたい」と、言われていますが、フロア全体も同じような通路が交差して見通しが悪く、なんとなく殺風景。
見通しが悪いのは築地のうおがし横丁でもそうだったのですが、違いはお店の開放感。築地の関連は店の前に空間があり、そこに平台を出して展開している店も多かった。
豊洲では、仲卸店舗の通路への「はみ出し禁止」の不合理なルールがあり、実状は崩壊していますが、関連ではまさに壁で仕切られた箱の中に店が収まっています。

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この風景を、みなさんのご存知のデパートやショッピングモールと比べてみてください。
ふつう、商店街というものは、なるべく仕切りの存在を消して、通路を歩いてくる人に商品をアピールし、近づいてみようという気にさせる、それこそ「賑わい」を感じさせるディスプレイをしています。
店をのぞいてまわる観光客も、手に購入品を持っている様子は少なく、「小分けのものとか少ない」「場外ならいろいろ買えるのに」などと、しどころがなく困っている人もいます。

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また、豊洲で象徴的なのが、この「はね鯛」のお弁当。
飲食店が高くて行列するので、市場の業者に人気がある、として業界紙で紹介されていましたが、観光客でもこれを買って、レンジで温めている人もいました。
どこで食べるのかわかりませんが、「コミュニケーションルーム」なる小さな休憩室がこのフロアにある他は、豊洲の「一番の目玉」である屋上は飲食禁止です。

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ゆいいつ行列ができているのが、玉子焼きの丸武と大定

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有名人の実家ということでメディアにも多く出ている丸武は、そもそも築地では場外のお店です。
大定も場内のほかに場外では丸武と同じ波除通りに店があり、今、築地でもこのエリアの玉子焼き店にはつねに行列ができています。

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結局、築地でも買えるものにしか人が集まらず、しかも、この店の雰囲気の違い。同じ店の同じ品物に並ぶにしても、築地場外にある「特別な感じ」が、豊洲にあるでしょうか。「お客さんいっぱい来ていて収入になる」と、いう実態は、100円の玉子焼き串の行列です。
 
いみじくも、若い女性が「これはこれで楽しいね。でも活気がない」と、喋っていました。
この矛盾した感想が、豊洲の関連の雰囲気をすべて表しているのではないでしょうか。
この方も含め、おそらく多くの人の結論は「もう来ない」
 
豊洲新市場は、築地の場内・場外の賑わいを「移転」しようとして、失敗しています。
それは場内と場外という稀有なつながりをもった街を、ビルの中に再現しようとしたからであり、伝統や文化が、場所に根ざしたものであることを無視したまま「移転」を強行しているからです。
そして、なによりも、観光客が「本質」である市場と接することができない。市場に来ても市場が見られず、味わえず。
 
飲食や買い物だけなら、ここよりも大規模だったり、目新しくオシャレな施設はいくらでもあります。
むしろ豊洲よりも、今ならまだ「市場」が味わえる、築地場外市場なら400店以上が活気をもった有機的な独特の街並みを形成している。豊洲新市場がつまらなかったからその足で場外に行った」という声が多いのも当然でしょう。
 
しかし、卸売市場を失って、「場内」のない「場外」となっている築地場外市場市場目当ての観光客の減少もあり、また、市場直結というプレゼンスを失って、これからどうなっていくのか。次回は築地場外のレポートです。
 
みなさんもぜひ場外の現状を見て歩き、以下の築地再開発についてのパブコメをお出しください。締め切りは2月21日です
 
 
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市場にいちばん遠い市場:豊洲新市場・土曜マルシェ

お待たせしました!
築地市場お買い物ツアー」いよいよ2月5日(火)再スタート。13時正門前にお集まりください。
詳細・直前状況は右記「みずのやさんのTwitter」でご確認ください。
 

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豊洲新市場では、1月12日から毎週土曜日に「Oishii土曜マルシェ」なるものが始まりました。
東京都は豊洲に「賑わい創出」することに執着しており、地元住民や観光客を呼びこもうとしています。そのため、計画が延期となっている青果棟前の「千客万来施設」用地を利用し、今後もこうしたイベントを計画するそうです。
予算は1億8000万円。
特別市場会計で。豊洲新市場は年間140億円の赤字なのに。
しかも千客万来施設予定地が、市場への本来業務の動線の邪魔をしているというのに。
 
 たしかに豊洲新市場では、築地と違って一般客が市場の品物を買うことができません。年末には一部の仲卸業者さんからは一般開放して売り上げにつなげたい、という要望があったようです。
それでも「閉鎖型」をうたっている以上(実際破綻していても)、また、ターレの人身事故が多発していることをさすがに見過ごせなかったのか、一般開放は実施されませんでした。
このイベントでは「市場にいちばん近いマルシェ」として、鮮魚・青果・関連の売店を出し、またキッチンカーでは豊洲の食材を使ったメニューを提供する、としています。
 豊洲の敷地を俯瞰してみるととても小さいイベントです(トップ写真)。

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飲食は、キッチンカー5台と、飲み物の車が1台。メニューは1台がワンテーマで、シラス鯖丼だけの店、フィッシュ&チップスの店(ビールなし)、スズキのロティ・マルセイユ風の店、というような形です。このテのイベントとしては選択肢が多いほうではないですね。価格は700円台からあります。
筆者が行ったのは1月26日(3回目)、11時にはキッチンカーにはほとんど人は並んでいませんでした。

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豊洲新市場の海鮮丼や寿司の値段がとんでもなく高騰していて、さらに行列が1時間以上という状況ですから、それに困った人たちにはいいかもしれません。中に入ってあきらめて、そのあとこちらに来た人もいるでしょう。

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しかし、市場を観光に来て、市場メシを食べようとしていて果たせず、駐車場で、市場の店ではないキッチンカーで食事。観光客としては、残念な失敗体験になってしまうのではないでしょうか。
 
そして「市場の商品が買える」ことをうたったマルシェ。
これだけです。

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鮮魚の「いなせり」。買い物不便地で見かける移動店舗のようですね。それよりもずっと品数は少ない。

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関連。屋外でも並べやすく、一番買いやすい品揃えだとは思うのですが、単なるショーウィンドウのようです。
 
築地の場内を思い出してください。あるいは場外の賑わいを期待して来た人に、これがどう見えるか。
 

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おしゃれだ、季節感を出している、頑張っている、と、三つの中ではかろうじて評判のいい青果ですら、たとえば都内で人気の高い有楽町交通会館のマルシェに比べれば、規模もアイテムの独自性・専門性も弱いように見受けられました。
 
せっかく企画に協力して努力しておられる市場の業者さんには申し訳ないですが、あまりに規模が小さく、これがどれほど仲卸や関連の売り上げにつながるでしょうか。
豊洲新市場の構造的赤字と取扱量激減(水産が1000t/日を切ることが常態化している)の前で、この出店の労力に見合う効果が得られているのでしょうか。
もちろん、このイベントだけで売り上げを立てることが目的ではないでしょう。しかしマルシェに来た地元住民や観光客が、今後豊洲新市場に益するかというと、それも疑問です。結局、しょせん駐車場みたいな場所の片隅でやってたイベントに来た、としか思えない、それだけではないでしょうか。
 

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ステージ・イベントもあります。かつお一本釣り体験」
重さ3kg(お子さん向けなので仕方ないとはいえ、よく見る「一本釣り」の絵のカツオは10kg近い)のカツオのはりぼてを、ステージ下から釣竿で引き上げる・・・この体験がどう見えるかは、読者の判断におまかせします。
筆者としては、せめて進行役の男性がコートではなくそれなりの格好で大漁旗くらい持てなかったものかと・・・
 
大義名分としては、遠回りであっても、こうして「市場に親しみを持ってもらい」「食の流通への関心を高めて」「食文化を守る」と、いうことなのでしょう。
築地を壊して、売り上げを落としておいて、何をかいわんや、です。
 
それに、東京都がマーケティング会社を使ってわざわざテコいれをしなくても、多くの市場では自発的に「親しみを持ってもらう」取り組みをして、成功しています。
前述の川崎幸市場の「いちばいち」や「足立市場の日」、ほか、各市場でも一般開放が月イチ程度行われており、かなりファンも多い試みです。
 
 
それらと豊洲新市場の最大の違いはこうした「場内からの自発性」が感じられるかどうか、そして「市場にいちばん近い」と言いながら、このイベントに市場そのものがない、来た人たちが市場を見ることが(でき)ない、というところです。
一回30分のガイドツアーもありましたが、豊洲動線では30分では1棟を見るだけでも駆け足、しかも実際に売買しているところは見られません。その場にいるにも関わらず、ヴァーチャルな見学コースしかないのです。その代表が、この仲卸の「見学窓」でしょう。

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卸売市場は、プロのための取引の場であり、観光や見学というのは二次的なものです。
しかし現代において、食品市場には「食育」の役割も求められており、また、市場経由流通を維持するためにも消費者に対するアピールが必要です。
 
しかし、この「土曜マルシェ」だけではなく、今、豊洲新市場に大勢やってきている観光客は、市場に来ているのに市場を見ることがない、見られない構造になっています。
その結果、多発する「つまらない」「もう来ない」という感想は、観光地としての問題だけではなく、消費生活における市場の魅力そのものに関わってきます。
次回以降、豊洲場内の関連店舗や、築地場外の現状をレポートしていきます。
筆者は、豊洲新市場には一般客を排除すべきだと思っていますが、関心のある方はご自身の目と足で確かめることが大切です。おもしろい場所ではありませんが、一度おはこびください。
 
そして、東京都はロコツに築地の再開発を打ち出してきています。報道にあるとおり「食のテーマパーク」もなくなり、唐突な国際展示場、カジノが予想される複合施設。これは場外にも必ず波及する問題です。
まずは、場外におこしください。
そしてほんとうの賑わいを守るため、パブリック・コメント(2月21日締め切り)を送りましょう。
 
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「めききのチカラ」川崎幸市場レポート

お知らせ:築地市場営業権組合による「お買い物ツアー」は、現在メンバーの怪我やインフルエンザのため、2019年のスタートが延期となっています。右記「みずたにさんのTwitter」により最新の情報を確認の上、再開の際はぜひ築地市場正門前にお集まりください。
 
1月12日から、豊洲新市場で土曜マルシェがはじまりました。場外がなく、一般客が仲卸で買うこともできない豊洲新市場で「賑わい創出」のための事業だそうです。
そもそも豊洲新市場が「賑わい」を前提とした施設でないことは、「千客万来施設」があれだけモメて開場が2023年に延期となっていることからも明らかですが。
しかもこの土曜マルシェは千客万来施設用地を使用。ここは青果棟の前の一等地。ここを市場業務のための車が通れなかったり駐車できなかったりすることで、動線に混乱が生じている場所です。そこに本来の用途ではない一般客向けのイベント、しかも市場と関係ないキッチンカーなども参入していては、むしろ仲卸や関連に対する業務妨害?

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もちろん、豊洲だけではなく、どこの市場も「卸売り」が業務であって、「小売」や「賑わい」は本来ではありません。
しかし築地の「賑わい」「観光」がもたらしたものは、単なる経済効果だけではなく、食や流通に対するひとびとの関心を高め、市場経由の食の安全を守る効果もあったはずです。
そして、それは築地だけのことではありません。卸売市場経由の流通が減少している今、各市場は消費者に親しみをもってもらうための取り組みを積極的に進めています。
前回ご紹介した足立市場などは小規模ながら都内屈指の発信力をもっています。ほかの市場も「イチバの日」など、一般開放イベントを実施したりしています。これらは行政やマーケティング会社が「賑わい」として押し付けたものではなく、市場業者の自発的な取り組みです。
今回ご紹介する川崎幸市場(通称。正式名称は川崎市地方卸売市場南部市場)も、毎月「いちばいち」と銘打った市場開放イベントを実施しています。
 

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川崎幸市場(水産・青果・花き)は、南武線尻手駅からすぐ。京浜道路沿いの好立地にあります。電車で行くにしても、尻手駅は川崎から一駅。乗り換え検索サイトでみたところ、新宿からなら45分と、豊洲新市場まで行くのとほとんど同じ。築地場内で年末の買い物ができなかった一般客のひとがここに向かったという話もあります。

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と、いうのも、ここはなんと水産と関連は「小売もしています」と明記。「いちばいち」でなくても、いつでも新鮮な魚が卸売り価格で買え、しかも小売を見込んだ小ロットのものや加工品も充実しているのです。
「いちばいち」ではふだん小売をしない青果と花きも開放。筆者が着いたのが遅く、青果の販売は見られなかったのですが、季節の花や旬の野菜が大変お買い得な価格で、近隣の方が殺到するらしいです。
水産も珍しいアンコウ・アンキモや、季節柄イカや貝類などが充実。ヤマト運輸の発送も利用でき、賑わっていました。

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関連は乾物が数軒と肉、玉子など、ひそかな人気は子ども用スニーカーなども扱う靴屋さん。また、ハーブティのお店や近隣の農家とのコラボ企画を扱う(今後クラフトビールなどもはじめるそうです)ブースなどの新たなこころみもはじまっています。

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飲食は魚河岸仲卸し定食・水喜、中華、チャーシュー丼の店の三軒。水喜にはこの日は行列ができていました。ミックスフライ(780円)、マグロ竜田揚げ(1080円)がすごいボリュームだと評判ですが、この海鮮かきあげ丼(780円)も丼サイズの分厚いかきあげにエビがたくさん。焼き魚や刺身盛りもあります。
 
川崎市にはこの幸区・南部市場と宮前区の中央卸売市場・北部市場があります。
規模は北部市場のほうが大きく、幸市場は敷地32000平方メートル、水産は卸1社、仲卸10社で取り扱い量は10000~15000kg/日程度と、きわめて小さな規模です。

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そして、北部が「中央卸売市場」なのに対し、ここは「地方卸売市場」
もともと昭和32年(1982年)に業務開始したときは、この南部が「本場」で、中原と高津に分場がありました。
北部市場が開場するのは昭和57年。しかし現在は北部が本場となり、平成19年(2007年)に南部は中央卸売市場から、地方卸売市場として認可を改めて再出発しています。
 
「地方卸売市場」と「中央」は認可が都道府県か、国(農水相)か、という違いのほか、地方市場の場合は市町村・第三セクター・民営企業が開設することが可能です。先の国会で改訂された卸売市場法が施行されると、中央卸売市場の開設者も規制緩和されるのですが、地方はさまざまな開設・運営形態がすでにある。
実際、自治体が市場を手放し、「民営化」したケースもありますが、この川崎南部(地方卸売市場になってからは「幸市場」の愛称をおもに使用)は、卸・仲卸事業者がみずから運営しています。
 
そうして地方市場に移行するにあたって、改めて打ち出したのが「めききのチカラ」
これまでの市場としての役割やモラルを守りつつ、より自由度の高い活動をし、市民・一般消費者に直接はたらきかけができるように、市場の中からの改革がおこなわれたようです。

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HPには「幸市場について」の項目で「ビジョン」「めききのチカラ」「活動方針」と、丁寧に説明してあります。
その内容はたいへん踏み込んだもので、現在市場外流通が増えていることや、大手小売店による農業生産への参入などにも触れつつ、「2011年の震災以降、食卓に上る食材のすべてを大手小売店に依存することに小さな疑問が生じている」市民に対し、「めきき」による商品選択や、「市民ひとりひとりがめききになっていくことをお手伝い」して、市民の食の安全に貢献するという方針を表明しています。
「いちばいち」も水産の一般購入もこうした取り組みであり、単に「賑わい」ではなく、消費者が市場に積極的にかかわってほしいという気持ちが感じられます。
地方からのちいさな取り組みかもしれませんが、それぞれの地域が自立した取り組みを行うことが大切です。こうしたことがこれからの市場のひとつのモデルとなるといいですね。
 
川崎幸市場のHPはとてもいい文章です。ぜひお読みください。
 
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