築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

他の市場に行ってみよう:東久留米地方卸売市場

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コロナ・ウイルスの影響で、いろんなものが店頭から消える昨今。
買占めはしたくないけど、必要だから買いだめをしなくてはいけないというみなさん。食品や台所雑貨などを、大ロットで買える場所があります。
マスクはともかく、トイレットペーパーやお米、保存食がなくなったのは、生産よりも流通・運送の問題とも。それなら、流通の元になるところに買いにいけばいいのです。
 
そう。卸売市場
 
豊洲市場が一般立ち入りを中止、他の中央卸売市場も開放日の中止などがなされていますが、地方卸売市場という手があります。もしかすると、あなたのお宅の近くにもありませんか?
地方卸売市場なら、一般向け小売店を兼ねているところがほとんどです。つまり、営業しているかぎり、一般客でも買いにいけるはず(市場によって中止しているおそれもあるので、必ず事前にチェックはしてください)。
 
と、いうことで、今回は「他の市場はどんなとこ?」シリーズ:東久留米地方卸売市場のレポートです。品不足になるちょっと前に訪問したので、状況は変わっているかもしれませんが、今のところ営業は通常どおり続いているようです。
状況はこちらでチェック!
 

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東京には11の中央卸売市場と、12(食品8、花き4)の地方卸売市場があります。全国では中央卸売市場が64、地方卸売市場は1037で、うち民営が850、公設が187。東京の市場はすべて民営です。
成り立ちとしてはもともと卸売事業者が集まって株式会社化した民間市場が、自治体の認可をとって地方卸売市場と名乗ったり、産地市場では農協や漁協が市場を運営しているものもあります(港町で観光朝市をしているようなところ)。
 
中央との違いは許認可の制度のほか、「市場施設の目的外利用」が緩和されていることであり、一般小売の根拠と思われます。卸売市場法/条例の改定で問題となっている「商物分離・第三者販売・直荷引き・市場外取引」もすべてOK。
わかりやすい対象表はこちら。
 
 
東久留米ではなく、九州の久留米のものです。
そもそも「東久留米」ですが、東京には久留米も西久留米もありません。九州の久留米とかぶるので、東日本の久留米ということでの「東久留米」。となりの「東村山」「東大和」や「東伏見」とかと同じですね。
 
そんな武蔵野台地にある東久留米市場。
公共交通でのアクセスは西武バス(清瀬-花小金井:「グランド入口」下車徒歩1分、東久留米-武蔵小金井:「久留米西団地入口」下車徒歩5分)。新所沢街道に立地し、周辺は団地と工場と流通倉庫、あとは畑と野火止用水沿いの雑木林という環境です。

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地図を見ていただくとわかるように、市場は東京北魚(水産卸)と同じ敷地で、ケーズデンキをはさんで青果卸の東京多摩青果。もしかしたら元々はつながっていた敷地の一部をケーズデンキに貸したのかもしれませんね。

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市場ですから、朝は6:15から。正午すぎには閉まりはじめます日曜得得市も開催されていて(毎週ではない)その日は8:00からの営業だそうです。
 
入ってすぐの大東青果は「市の駅・農産物直売」なるキャッチフレーズで、入り口からして一般小売を前面に押し出しているイメージ。

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次に厨房用品や保存食品の店が多く集まり、玩具店まであります。地域のお祭などにも便利ですね。市場ですから、長靴ももちろん売っています。

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大丸のり店が運営する大丸食堂はお弁当や和菓子も販売。350円の朝定食や、500円のカレーや焼鮭定食など、かなりお安いです。遅くなるとお弁当やおにぎりが半額に。
中央付近と通路北側には市場ではおなじみ「肉のアンデス」など精肉が集まっています。大ロットのものや、高級肉、希少部位、モツなどが目立ちますが、小口の買い物もできます。

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通路をはさんで、東京北魚を中心とした水産のブロックに。丸魚もありますが、焼き魚や揚げ物といったお惣菜のパックを売ったり、お刺身などもあり、小売も充実。
これは訪れた時間(11時ごろ)が遅かったせいと思われます。築地でも足立でも最初はプロ向けで、余ったものを小ロットに切り分けて小売することはありますから。でもお惣菜があるのはご近所さんには便利ですね。

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(東京北魚。終業しているけど、市場らしさが一番わかる)

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(絵がうまい!!)
 
ご近所と思われるお客さんたちは、特に「市場」というよりは、ほんとうに普通に便利に使っている様子。あとは歩いていると、お店の方の声かけがとても多く感じました。もちろんプロのお客さんも来ていて、取り置きしていた発泡箱を台車で搬出したりもしています。
 
豊洲直送」と大書した店が水産にあったのですが、ここは豊洲まで仕入れにいって、分荷して売っているのかな。店頭にあったものが牛乳やパンだったので(場内向け売店のような)不明ですが。
 
ここはテレビでも取り上げられたし、市場からの発信も盛んなので、一般客のあいだでも相当有名になっているようです。食堂も人気で、前述の大丸と、水産の海鮮市場食堂があります。喫茶店「漕人」は今年閉店してしまったそうです。
こぢんまりした定食屋さん的な大丸もいいのですが、海鮮市場食堂は大きなコの字カウンターが二本あり、いかにも市場メシ。海鮮丼980円や刺身三点盛650円もありますが、この「まぐろリブロース(650円)」などは市場ならではでしょう。豊洲にもこんなの出すところないですよ。これは食券を買ってから、ケースに入れてあるのをセルフで取ってお店の人に渡すと温めて定食をつけて出してくれます。味噌汁もボリュームあり。

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コロナウイルス問題で、流通のあり方も問われています。話題になるのはドラッグストアのことが多いですが、生鮮食品の安定供給は、どうあるべきか。
また、市場で仕入れる街の商店や飲食店はどうなっていくのか。

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(隣の東京多摩青果)
 
大きな中央卸売市場と、それを補完する地方卸売市場という地域に密着してコンパクトで小回りのきく市場。東京が巨大消費地だからこそ、どちらも減らしてしまってはいけないものです。
 
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「江戸前場下町」徹底批判。

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2020年1月24日、豊洲市場に「賑わい創出」事業として堂々オープンした江戸前場下町」
なんと読むかわかりますか?「江戸前・じょうかまち」です。「えどまえば・したまち」と間違う人も多いですが、市場関係者からは陰で「ばか町」のあだ名が定着しているそうです。
コンセプトは"市場の城下町"で"場下町"だそうですが、そんな造語より場外でいいのでは。江戸時代に豊洲はなかったし。

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このネーミングで「わぁオシャレ」「美味しいものたくさんありそう」「最先端」「行ってみたい」と思う人はどれほどいますか(その前に読めないし)?
これは(賑わいを創出したい東京都と江東区で)懸念となっている千客万来施設」が2023年まで開場延期となったため、それまでの三年間の暫定施設として作られた仮設の商業施設。わずか三年で取り壊すものを公共の市場敷地に作ることも「ばか町」呼ばわりされる一因ですが、実際オープンした施設は、これで三年持つのかどうかあやぶまれるしろもの。「土曜マルシェ」の二の舞となることは必至。
あまりにばかばかしいのか、誰も持ち上げ(提灯記事がほとんど出ていない)も、批判もしていませんが、市場敷地内の施設です。卸売市場条例改定の方向性もあるので、ここは厳しくチェックしておきたいところです。
 
その前に、2年目を迎えた豊洲市場はどうなっているかというと、新年早々に7街区の荷捌き場で壁が30㎝ズレて陥没していることが発覚地盤沈下が急速に進行しているとみられています。
また、昨年の死亡事故が検証されないまま、エレベーター事故が再発。都は「徐行」の貼紙だけで対応してきましたが、今回はターレではなく、歩いて乗ろうとしてドアが落ちてきてはさまれてしまったそうです。
 
取引については、今年も初荷(1月5日)のマグロが1億9320万円でセリ落とされたことは報道されていましたが、その背後で、取扱い量・売り上げの沈下は止まらず。水産の入荷は、初荷翌日で1034トン、昨年の豊洲市場での(1月7日)1283トンよりもさらに減少し、連日の入荷は1300トン前後。築地ではあたりまえのようにあった2000トンを超えることはほとんどありません。
東京都が移転の根拠とした予測に、豊洲移転で取扱い量が「狭い」築地から大幅に増加する、2023年には2017年(築地)から1.6倍になる、というものがありました。これは開場前からすでに、このアクセスと動線で増やせるわけがない、と、批判されていたことです。
 
いまだに問題となっていることの一つに、買い出し人のための駐車場の不足があります。買いに来ようにも駐車場がなければどうしようもない、これで売り上げが伸びる訳がないのに、6街区のタイムズ駐車場は1時間待ちのこともあり、さらに30分400円。逆に水曜日などはガラガラになっているそうですが。そんな駐車場問題、6街区の一番手前の路面という好立地に、昨年一時的に、100台規模の臨時駐車場として開放。買い出し人からもホッとした、という声が出ていたのですが。
その場所は問題の「千客万来施設」の予定地。出店業者の撤退が相次ぎ、現状「大江戸温泉物語」の万葉倶楽部が2023年と大幅延期で開業予定、という曖昧な状況です。

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東京都は「賑わい創出」として、この空き地で「おいしい土曜マルシェ」を開催、「豊洲の魚が買えます!」と言って小さな移動販売車的なものを出したり、市場と関係ないキッチンカーを出してみたり、大物ゲストに「豊洲丼?知らないですね」と笑われてみたり。結果、集客も惨敗状態になりつつも、インパール作戦のごとく、意地で(?)続けてきました。
問題は、それが都の市場関連予算(都民の税金)をドブに捨てていることと、そのせいで駐車場(土曜だけのイベントなのに、毎日)が使えないことです。この場所は、今はなんと観光バス用の駐車場となっています。よほど買出し人に来てほしくないらしい。
 
こんな現状で、東京都が今回オープンしたのが暫定施設「江戸前場下町」。
5街区青果棟前の、こちらも交通動線としては一等地となる空き地は、千客万来施設の立体駐車場450台の予定地(この駐車場ができても施設の客向けであり、市場関係者は停められない)です。

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そもそも一般客の仲卸購入ができない豊洲市場で、観光客を呼び込むことが何の収益に繋がるのか、それが取扱い量1.6倍の算出根拠なのか、まったく不明なのですが。
 
さらにこの開業日1.24は明らかに中国の春節狙い。しかし、今年の春節インバウンドがどうなったのかは、連日の報道にてみなさんご存じの通り。
インバウンド頼みがそもそも不安定なことを露呈した上、観光でお金を落としてくれる外国人を、お財布としてしか見ないのは、移民を「安い労働力」と呼んで憚らないのと同じでは。

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結果、豊洲市場の見学コースも関連・飲食も(築地場外も)、京都並みにガラガラとなっているわけです。写真は2月8日(土)。
そもそも豊洲市場はマグロのセリ見学も面白くないし、仲卸も見られないしというのが広まるや、外国人観光客の来場はあっというまに激減。元々少なかった外国人観光客が、コロナウイルスで最低限まで減っている状況です。

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参考までに、これは同日の銀座なので、豊洲だけのことではないのですが。

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悲しいことに、この江戸前場下町(外国人には意味すら伝わらないネーミング)の開業前のイメージ図は、外国人観光客ばかりが描かれているという代物。「築地のように」外国人観光客が押し寄せてくれたらイメージアップ、売り上げアップ(市場の売り上げとはまったく関係ない)と、プレゼンされた形跡がうかがえます。
 
基本情報としては、この施設は三井不動産が整備・運営事業者として、東京都が推進する千客万来施設事業用地を活用した賑わい創出事業」として、昨年4月に選定されました。土地所有は東京都のままであり(市場敷地)「一時使用を目的とする土地賃貸借契約」の扱いで、建設費用は三井不動産の負担、利益も三井不動産のものになります。

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(場下町内の案内図とリーフレットのラック。中央紺色の場下町リーフレット以上に、左右各2コマ使ってのららぽーと豊洲のパンフがめだつ)
 
それでも実際は市場敷地なので、都の説明ではテナントは一応「関連」扱いになるらしい。そして三井からリース契約するテナントには、総額6億円の補助金が(対象はプレハブ増設や電気ガスなどのインフラ、冷蔵庫・冷凍庫、照明や什器など。築地から移転する際の市場業者に対してとはえらい違い!)。
「賑わい創出」のため、お金払って入ってもらう、それも市場会計から。どれだけ人気ないのか、豊洲市場、お金払わないと入ってもらえないような施設作って、賑わうのか。

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そんなテナントは全20軒(うち1軒の海鮮BBQ・WILD KINGDOM TOYOSUは春オープン)。
関連扱いといっても、豊洲市場の業者はかつお節の和田久(関連)、山茂(水産仲卸)、つきじ神楽寿司(飲食)、にしかわ(青果仲卸)のみ。あとは築地場外から杉本刃物漬物の吉岡屋を誘致。そして「築地海鮮丼・江戸前場下町スタイル」なる店も。築地なのか豊洲なのかどっちを売りにしているのか

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建物はまんなかにイベントガーデンをはさんで、右に物販のマルシェ、左がフードホールと分かれており、一番奥に渡り廊下というつくり。どうしてこうも、あえて狭く通りにくくしたのか、意味不明な設計。観光客がリュックしょってスーツケース引いてきたら(ロッカーはない)大混乱に。
 
まず、フードホールの方にはお寿司屋さんが三店舗、すべて立ち食い。この値段で立ち食い?

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他の店も、一番奥の「全室個室」の海鮮焼・海味(うまみ)以外は立ち食いかカウンターが中心。いまどき「いきなりステーキ」も座れる席を作る傾向にあるというのに。
マルシェ棟の入り口の築地海鮮丼にいたっては、テイクアウト専門。カジュアルさを打ち出そうとして、格差をつけてしまっているかのよう。
寿司屋以外はガーデンの赤い傘の下で江戸前の情緒を味わって食べてください、と言うことらしいが、冬なのでお客さんは敬遠ぎみ。たぶん真夏でも。そして雨降ったら最悪で、築地海鮮丼なんかどこで食べるんだろうか。

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気になったのがこの出入り口の狭さ。もしかしたら季節がいいときには開放するのかもしれないが(食品店なのでそれもあまりよろしくはない)、商業施設の通路としては異様なまでの、入る人と出る人がすれ違えない、家庭のドアのような幅。ここを丼を持って出入りしろと?
 
それに観光客にとって、食事時間は貴重な「座って休む」時間でもあります。ましてや豊洲市場のように延々歩くところに来て、立ち食いしたいだろうか。高齢者も多いし、子どもはカウンターに届かないことも。豊洲駅周辺のタワマン住民が来るとしても(駐輪場あり)、やはり子ども連れでは敬遠するのではないか。

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豊洲市場周辺では、現在「WEST SIDE STORY」が上演されている360°シアターが盛況ですが、周辺に飲食店がないのが悩み。最近DタワーというJALホテルの入るビルができましたが、そこに飲食テナントは「汐待茶屋」一店のみ。さらに豊洲市場の向かいには、オフィスビルが建設中。
この人たちなら、スピーディなランチのニーズがあるかもしれません。実際築地の場内にも多くのサラリーマンが来ていましたから。
ただし、それをして「賑わい創出」と呼ぶのはどうか。ここが繁盛しても市場の売り上げにはならないのです。

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対してマルシェ棟の方は、完全におみやげ店モード。みやげ処豊洲ICHIBANなどは原宿や嵐山かというセンスですが、これは高速サービスエリアなどを運営している会社が出店しているんだそう。

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(ターレーのプラモデルは築地市場仕様」。連結するねこ車は豊洲では使えない)。
あまりにベタな品揃えに、いつの時代なのかと不安になりますが、関連棟(6街区)の伊藤ウロコなどの売り上げを圧迫するのではないか。

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超高級価格のフルーツのにしかわは別として、食品販売で目立ったのが、とにかく試食を勧めることです。
かつおぶしの和田久は関連棟でも試食を勧めていますが、どこの店も通路を通るお客さん(入店する前から)にぐいぐいと試食を勧めまくっています。

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食品販売の職歴がある筆者からすれば、これは「売れなくてあせっている」と見えますし、あまり試食を押しつけていると、ゴミやお客さん同士がぶつかるなどのトラブルも生じやすいのです。
そしてこのオープン時にコロナウイルス・パニックという最悪のめぐり合わせ。みんなマスクしてますし、衛生面を気にするので、むしろ試食に手を出す人はよく食べるな、と感心するほどです。けっこう食べてましたが。
で、買っている人は少ない。店も狭いので、扱い商品自体が少ない(豊洲ICHIBAN以外は)のも買い物につながらない一因だと思います。
 
繰り返しますが、この施設や観光客誘致は市場の売り上げとは関係しません。だからといって、無駄な「賑わい創出」に東京都が固執し続け、敷地内で市場を圧迫するような事業をしていていいのでしょうか。
豊洲という僻地で展開されていることは、報道も少なく、見えづらいところがあります。
しかし、こういう事業を見過ごしていると、ここを実験台として、地方で起きているような民間への市場開放による虫食いが、豊洲以外の東京の市場にも及ぶ契機とされることも懸念されます。
 
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写真展「TSUKIJI」

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新宿駅東口地下(LUMINE)のカフェ・BERGといえば、「新宿駅最後の小さな店」、こだわりのメニュー、リーズナブルな値段、新宿駅が再開発を繰り返し、ルミネに占領されていく中で(立ち退き問題も起こりつつも)30年守り続けてきた「新宿的な文化」のあるお店です。

 

私たちの「新宿港町行進」のチラシや「築地でええじゃないか!かわら版も置いてくれましたが、店頭にはいつも「GIVE PEACE A CHANCE」のプラカード、高江などに送るための募金箱など、小さな空間に所狭しとメッセージがぎゅうぎゅうに詰め込まれています。

ギャラリーでもあります。

今月の展示は

「迫川直子写真展・TSUKIJI」

です。1月31日まで。

BERGのスタッフである迫川さんが捉えた築地市場の姿。2018年の夏の賑わいと、10月12日の「閉場後」に営業権組合でオープンしたとき、建物の内部まで入ることができて写した最後の貴重な写真です。

 

お店はいつも混んでいてカウンターにお客さんがいないということはありえないので、壁にある写真を全部見るのは至難の業ではありますが、ぜひおはこびください。

http://www.berg.jp/index.htm

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東京都は、このすばらしい築地市場文化財としての価値すら検討せず、性急に破壊し、保存されている部材の活用方法すら示していません。

 
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年末年始は市場にらっしゃい!

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年末年始のお買い物はやっぱり築地へ。
築地場外は12/29(日)の臨時営業を含め、30日(土)まで営業、31日は「自由営業」となります(開けたい店は開いているので、初詣にどうぞ)。
 
波除稲荷神社は1日0時から初詣の参拝開始。干支の守り札の配布(先着1000名)あり。7日は七草粥七福神参りも。
 
築地本願寺は31日23時から除夜会(じょやえ)、カウントダウン、ブッダ大喜利などイベントもりだくさん。1日は6:30から元旦会。
 
 
さて、そうはいっても場外だけじゃなくて、市場で仲卸さんから買いたい!という方。
卸売市場(水産・青果)の営業日も29日(日)臨時営業の30日まで、新春初荷は5日(日)。これは、ご近所の八百屋さんや魚屋さんでのお買い物にも要チェックですね。
 
豊洲では関連以外では買い物できませんので、やはり足立市場がお勧め!
足立は水産のみの市場ですが、その分関連が充実していて、野菜も肉もあります。野菜は足立産のツマ野菜など、お正月にほしいものも揃っています。水産仲卸も(ふだんから)一般に売ってくれますし、素人でも見やすい広さ。京成・千住大橋駅からすぐ。

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大田市は仲卸の開放はありませんが、こちらも関連の店舗が多く、商店街みたいになってて買いやすい。ホームパーティなどのために花き(新年は4日から、5日は休み)に行く方もいるそうです。

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あとは、東京からも意外と近い、川崎南部市場(地方卸売市場)南武線尻手駅からすぐ。水産は小売歓迎。青果は関連で買うことになります。
 
横浜本場は物販関連が少ないので、いっそ(旧)南部市場へ。ブランチ(ショッピングモール)に入った神水産もありますし、関連にも青果・水産・精肉と揃っています。花きもあります。
 
あとは、地方卸売市場が狙い目。東京にも今話題の東久留米など、小売歓迎のところがたくさんありますし、しかも近い。
来年は本サイトでも東京の地方卸売市場をレポートしたいと思います。
 
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ところで築地はどうなってるの?

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オリンピック・パラリンピックを機に、インバウンド増加といまだ言い続けている東京都と日本(写真は江東区・深川資料館通り)。
しかし、シェアの多かった韓国からの観光客が半分以上減ったのみならず、すべての国や地域からの観光客も減り続けています。
 
われらが築地も、近年インバウンド消費に支えられていたため、そのアオリは他よりも大きい。
なんといっても、海外から来て成田から直行、あるいは築地のホテルに泊まり、早朝のセリ見学がマストだ、など、世界一の魚市場を見たいという海外観光客の情熱は、日本人が思う以上でした。
市場がなくなって一年。最初はまだ移転を知らない(ときには信じたくないから、という人も)とか、場内が移転してても築地に来ればそれなりのものがあるのでは、と考えて、築地を訪れる人々がいました。が、すでに築地は観光コースのトップから外れ、せいぜいついでに寄って場外を軽く見てまわる、というレベルになっていると見えます(国内観光客も)。
 
また、場外のお店も市場直結のプライオリティを失ったため、まずは市場関係者という大きな顧客層を失い、買い出しのプロが大幅に減りました。
そして観光客相手の飲食店もメニュー削減や値上げ、逆に店頭での食べ歩き商品にシフト(客単価が下がる)という傾向があちこちで見られます。

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たとえば、東都水産直営、常に市場関係者で賑わっていた東都グリル。今や空席が目立ち、メニューも相当減ってしまいました。ついでに聞き耳を立てていると、場外や仲卸関係とおぼしいお客さんたちの話題が愚痴や閉店話ばかりです。
門跡通りの、火事にあったエリアは地主さんが新しくビルを建て、当然そこにあった店が入ると思われていたのに、引っ越し寸前で契約打ち切り
代わりに入ったのは福井から来たカニの立ち食いの店です。「築地というブランドでやりたかった」と、取材で書かれていましたが、産直をうたう店の進出は、場外が「卸売市場」と関係ない場所になりつつある象徴とも見えます。

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他にも閉店した店の跡に入るのはタピオカ屋やらもんじゃ焼きやら。市場関係者に愛された、築地閉場時にはNHKのドキュメンタリーも話題となったゆで太郎」の跡もこのとおりです。

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特にこのエリア、築地魚河岸から先、波除神社付近には観光客が足を伸ばさない傾向もみられるようになってきました。

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その築地魚河岸も次々イベントをして頑張ってはいますが、肝腎のお店の撤退が目立ちはじめています。
中央区が賃料を三倍に値上げしたのが、なんといっても痛い。そして早朝はプロ向け、としてリニューアルしたものの、そこの売り上げの伸び悩みが原因らしい。
築地魚河岸に出店した仲卸には、豊洲からわざわざ運ぶ手間とコスト、を受け入れられるかどうか、ここの店舗も支えることのできる(売り上げの落ちた豊洲での)体力の問題が、今後ものしかかってくると思われます。

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そして、場外から晴海通りを渡っての4、6丁目には仲卸関係の事業所や倉庫が多く並んでいました。当然、豊洲から遠いところに残すメリットは薄いので、今、そうした事業所が次々閉店しています。あわせて業者向け、専門的な問屋などの店も厳しい状況です。

4、6丁目にはマンション建設が進み、旭化成が「エリア最大級」をうたったアトラス築地を建設中。161戸・11階建ての巨大な建物が本願寺の真裏なので、これができると朝日が差さなくなるでしょう(本願寺阿弥陀様なので、西向きですが)。

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そして市場跡地。東京都はこの23haの土地を市場会計から一般会計に付け替え、自由に賃貸できるようにしました。オリパラ後は民間業者の開発を待つばかりの状態。多くは発表されていませんが、どの事業者が入るかはもう内定済みと想像されます。
問題のカジノ(IR)は、筆者も大いに懸念してかわら版を作成、シール投票もたびたび実施しましたが、どうやら東京都の本命は青海地区のようです。青海と連携した湾岸再開発によって、たとえば築地にコンベンションセンターがあるから青海に規制なく広いカジノを作る、などの方策は考えられますが。
 
築地のまちづくり方針案で、現在はっきり言われているのは、コンベンションセンターとラグジュアリーホテル。そして土地を四分割して切り売りしての、高層化です。朝日新聞社に朝日が差さなくなりますね。
 
移転が止められなかった以上、こうした負の連鎖は避けられないことですが、こんなまちづくりが進むと、場外もいつまで無事でいられるでしょうか
情緒ある下町風情が魅力の商業/観光地、といいつつも、東京都などが各地で進める再開発(主に商店街が狙われている)でターゲットになっている「木造密集地(木密)」「狭隘道路」「老朽建築」です。「オリンピックまで(さすがにそこまでは…)に築地の銅板建築の建物がなくなる」という人さえいます。都が伝統や歴史を大切にしないことは、市場を壊しただけでも証明済み。

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(築地一丁目・上写真の建物に近づくと、テナント募集中)。

そんな築地の歴史を伝える展覧会「築地の魅力 再発見」が、12月15日(日)まで、明石町(聖路加病院の向かい)にある中央区の郷土天文館・特別展示室(明石町12-1・タイムドーム明石6F)で開催されています。入場無料。
築地がなぜ「築・地」なのかわかる江戸時代の埋め立ての貴重な資料からはじまり、居留地時代や海軍兵学校築地小劇場の時代変遷から、もちろん築地市場についても資料多数。あらためて、築地がいかに東京にとって必要とされて作られたものか、よくわかります。
ちなみにタイムドームにはプラネタリウムもあり、今はポケモンのプログラムもあるようですよ。
 
そして展覧会の関連企画として、講演会が2回行われました。
11.30(土)は築地魚市場銀鱗文庫(現在は豊洲の管理棟2階)の管理人を務める福地享子氏(銀鱗会事務局長)による「モダン建築・築地市場でした。

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主題は、モダン建築としての築地の価値、大正期に計画されたことの先進性や設計者たちの才能、海外の市場建設から学んだことの関わりなど。
しかしそれだけではなく、福地氏はファッション雑誌の編集からなんと築地の仲卸(浜長)に飛び込み、10年以上現場で肉体労働。その後、場内の紹介あって銀鱗文庫に所属するようになった方です。
資料としての収集のための取材や写真も当然貴重なものばかりですが、その背景には、働く人の目から見た築地市場という稀有な場に対する愛情が溢れていました。
当然、移転や現在の破壊には辛い気持ちをお持ちのようで、築地の写真を語るときは、感極まる話しぶりでした。時々、去年の閉場直前のことを「今の築地」と口が滑ることも。
 
こうした築地を愛する人たちの考え方として、東京都のまちづくり方針による再開発が気にならないわけもないのですが、その中に、どう築地市場の記憶を遺せるか。建築の側面からすると、そのために活かしていきたいもの、として、築地市場の部材の保存ということがあります。都は「一部保存する」と言っただけで、何をどうするかはまったく語りませんが、この講演で状況が判明しました。

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今年の夏にICOMOS(築地市場を含む、隅田川橋梁群を日本遺産に指定)と東京工業大学の主導により、アーチ型鉄骨三本分(左右)の「生け捕り」作業が実施されました。真夏に3ヶ月かけてリベットを手作業で外し、細かい部材・部品すべてを含め、保管しているそうです。
しかし、東京都がそれをどう使うのかは未定。
現在の担当者である都職員は、お父さんがリベットの業者さんだったとかで非常に鉄骨建築に理解が深く、この作業にも積極的に関わってくれたそうです。が、「都としては保存・再生に乗り気ではない」とのこと。担当者が変われば(そして都はすぐに担当を変える)どうなるかわかりません。

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(ぴんころ石。豊洲の銀鱗文庫が「20個」譲り受けたそう)。

福地氏は「フランスのレアール市場(築地より古い)の鉄骨は横浜のフランス居留地にも持ってきて建てられているが、あんな風にただ野ざらしにしては意味がない」と、少しでも歴史の伝わる生きた再生を望んでいました。
筆者は、もしかしたらただの展示資料として、小金井公園の建物園とかに建てれられてしまうのではないかな、と、懸念してしまいました。以前本サイトでも紹介したパナソニック汐留にある汐留停車場、貨物線踏み切りなどとリンクして、市場敷地に建つべきだと考えますが。
 
そして望まれるのは、それをゲートとして「市場」があってこそ、築地とは何かが正しく継承されるのではないでしょうか。もちろんすぐにこの地に中央卸売市場を建てることはできません。けれども、築地が魚市場と「まったくべつもの」になっていては、歴史も記憶も残りません。
築地市場の価値をこれからも守る」ためには、今ある場外(築地魚河岸を含む)の建築や街並みだけではなく、都内の料理人・小売店との関係性、築地で続けてきたお店のこだわり、なども守っていくべきではないでしょうか。
 
東京都のまちづくり方針(コンベンション・センター)、築地の街全体の再開発について、もちろんこうした建築関連の保存についても、築地を愛するみなさんが少しでも声をあげていくことが大切です。
そして、築地が代表していた「卸売市場」による食品流通の価値・評価を都内11市場が維持することも必要です。12月都議会の卸売市場条例改正についても、ぜひ声をあげてください。
 
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アマゾンに第三者販売解禁?! 卸売市場条例の危険な未来。

10月28日に行われた、都中央卸売市場条例改定に向けての、東京都中央卸売市場・取引業務運営協議会の議事録が公開されました。
 
 
改定案は、現行120項目の規制をほとんど廃止、第三者販売、直荷引き、商物分離を完全に規制緩和するのみならず、卸が仲卸を兼務することもできるようになる、せり人の試験がなくなる(講習のみ)など、全国の条例改定と比較しても極端な内容です。
都はこの協議会での通例である全会一致を破ってまで、12月の都議会にこの条例案を提出する予定です(条例案を含む協議会配布資料はこちら)。
 
 
ここで仲卸兼務に関して、どうかと思われる発言をしておられる水産卸の伊藤裕康氏について、少し前ですが、雑誌「東洋経済」6月29日号にすごい内容のインタビューがあるのが見つかりました。

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アマゾンの市場参入を視野、卸の統廃合、ここまで堂々と公言しているのは、むしろレアかも。
拡大して、ぜひご記憶におとどめください。
 
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豊洲市場の問題を検証してください!
卸売市場条例は現行案ではなく、市場機能を守るきちんとしたものにしてください!
 
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「民営化?!」横浜南部市場レポート

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他の市場はどんなとこ?
 
今回は市場関係者には「民営化?!」と騒がれ、また、神奈川県民には「ブランチ南部市場オープン!」とはしゃがれている、9.20にリニューアルした、横浜市金沢区元・横浜市中央卸売市場南部市場(分場/青果・水産・花き)に行ってきました。
 
正確にいうと、国の改正卸売市場法は来年6月の施行なので、民間企業が市場の開設者になる「民営化」は現行では可能ではありません。今回のリニューアルではダイワリース(どんな会社かは後述)が市場の土地の一部を使って、モールを運営することができるようになった、おそらく土地そのものも、横浜市の特別市場会計ではなく、一般会計に繰り入れ、「市場開設」ではない目的での賃貸が可能となったものと思われます(築地市場の現状)。
 
流れとしては、南部市場は、1973年に横浜市中央卸売市場南部分場として開場。2015年4月に横浜市中央卸売市場本場(ほんじょう)に統廃合して閉場。
その後、南部市場の位置づけは「本場を補完する加工・配送・流通」となっています。
水産・青果の大卸は元々、本場と同一事業者なので統合。
仲卸・関連事業者は今も同じ場所で、表面的には同じように営業をしています。本場に事業を移し、あるいは本場の「売買参加者」となって、「市場外」である南部市場で営業できる、とされ、共同での売買参加者となる名目で「南部市場管理協会」という形をとっているようです。南部市場は本場の「指定保管場所(市場外)」という扱いになっています。

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花きだけは、卸二社が協同組合を設立し、地方卸売市場として独立(場所・営業は変わらず)。

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また、関連はもともと小売をしていましたが、リニューアルで市場の所属ではなく、「食の専門店街(南部市場共栄会)」なる名前になって、より一般向け機能を強めようとしている、というのが、現状となります。

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ほかにも敷地内には市場専門のロジもあるのですが、それぞれが別の事業体となっています。
閉場による法的な位置づけの変更によって仲卸・買出しともにダメージをこうむることが少なくなるよう、なるべく元の業態を維持できるようにしているとみえました。しかし、敷地全体の様子としては、ダイワリースが前面に出ている感じですね。
 
しかし、広くて人口も多い横浜市で中央卸売市場が一カ所だけって、大丈夫なんでしょうか。横浜の首長は林”カジノ”文子市長なので心配です。
現在、横浜市でゆいいつとなった中央卸売市場本場(ほんじょう)は、神奈川駅付近の臨海部(畜産だけは少し東の生麦・大黒ふ頭エリア)にありますが、その話はまた今度。
 
「南部市場」の最寄り駅は、最近無人運転で事故があったシーサイドライン南部市場駅。始発のJR新杉田からは一駅で250円!わぁ、何かに似てますね。市場と関係ない商業施設で賑わい、とか言ってるところも…
ちなみに、JR新杉田駅(少ないけど磯子駅発も)から市営バスもあります。220円。
新杉田を離れると、工場や倉庫が広がるふ頭の風景。大通りに面して、やたら駐車場の表示が目立つのが、南部市場です。

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敷地全体はこんな感じ。ど真ん中がブランチ南部市場ですが、それは後にします。
 
まずは旧・卸売市場
ブランチのテラスから水産棟入り口をのぞむと、こんな感じです。

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船着場もあり、分場とはいえ、本格的な施設が整備されていました。1987年に全国初の海から海水をくみ上げる「活魚用海水供給施設」も。
 
また、水産部では20軒の仲卸が、毎月第一・第三土曜日は一般開放の土曜市をしているそうです。「柴口このみから聞いた」と声をかけると「海鮮つみれ汁」のサービスがあるそうです。柴口このみさんとは・・・?
 

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建物の構造は開放型でトラック通路をはさんで冷凍・冷蔵倉庫。屋上は駐車場で、連絡ブリッジで青果とつながっています。水産には「がってん食堂」、青果にも小さな食堂があります。

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その先が運輸会社と、花き。
現在のブランチの部分が大卸・セリ場だったと思われます。
 
そのブランチ南部市場

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ブランチとはダイワリースが全国で展開する、「コミュニティスペースをそなえた低層モール」ということ。「コミュニティスペース」を設けて地域に還元しますよというのが、公共インフラ用地を取得するための売り文句のようです。
ここの他にも福岡県で「ブランチ福岡下原」として福岡市東部市場の跡地を取得(市場は青果三市場の統合・移転により2016年に閉場)。ほかにも操車場や競輪場、UR、札幌月寒ドーム跡地などをつぎつぎと取得しています。
また、ダイワリースPFI事業も行っており、金沢で「にぎわいの里ののいちカミーノ」という公民館を民間施設・商業施設と統合させた運営をしています。
いわゆる「民営化」のノウハウをもっている会社ということになります。
 

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そのコミュニティ・スペースなるものはここでは「歴史展示コーナー」と「食の交流スペース・NANBU BASE」、そして今後開業するキッズスペース付オフィス「ママスクエア」が相当するようです。
ご他聞にもれず、閑散として休憩スペースと化しています。NANBU BASEでは食にまつわるイベント、ということでしたが、案の定プログラムは少なく、来年以降「レンタルスペース」としても利用されるとのこと。週変わりの催事場と化すかもしれません。
 
ブランチ全体としても低層で、倉庫のような建物なので、仮設という雰囲気がいなめず、今は開店バブルで賑わっていますが、なにかあったらすぐに業態変更、テナント入れ替えなどが予定されているのではないか。
 

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テナントとしては大きな敷地を占めているのが、釣具の上州屋、家電のノジマ、クリエイトSDドラッグ、100円ショップのSeria、そして大型スーパーのave(エイビィ)です。
ほかはチェーン店的な飲食店がぱらぱら。実は開業時は15店舗しかオープンしておらず、実質テナント募集状態。レストラン不足をキッチンカーで補っています(キッチンカーは開設者のリスクが少ないので、豊洲でもどこでも活用されている)。
 
そんな中、市場からシフト(小売展開)をしたのが、水産の神水産」と、青果の「みなみ」、そして今後水産部の食堂「がってん食堂」がこちらに移転するそうです。
神水産」は活魚も扱い、非常に高クオリティな小売店、「みなみ」もこだわりの野菜を並べていました。

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しかし、関連(食の専門店街)も含め、見てまわると一番安いのはスーパーave。大ロットでの購入を前提とした大量仕入れ・大量陳列の展開は、一見「市場」と似てもみえますが、生鮮も輸入の規格品が多く、いわゆるコストコのよう。そしてブランチに殺到した(車で来場)買い物客が一番買っているのは、当然aveなのです。
 
南部「市場」自体はすでに閉場という扱いになってはいるのですが、お客さんは普段買い慣れている量販チェーンのノリを求めて、ブランチだけに流れてしまう。そのことが、卸売市場の機能に対する一般の理解度を下げてしまうのではないでしょうか。市場敷地を使って、市場ではない流通を展開させることには、こうしたリスクがあります。
 
関連事業者は「食の専門店街」として、一般向け営業主体に乗り出したのですが、このリスクを克服することが課題となります。
正門を入って左、ブランチと並んだ建物はリニューアルされてないので、どうしても比べると暗く見えます。

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リニューアルに際してのコンセプトは、かなり各業者さんに任されているようで、店内をリフォームした店も、そうでない店もあります。閉店してしまった業種もあり、米・冷食・漁協・のり・包装・クリーニングといった看板のところが閉まっていました。
一般向けとして変えていこうとしている点は、営業時間の延長。一応6:00~18:00の営業と表記されていましたが、従来通り14:00には閉める店も多く、このヨコカンさんは本場の場内と場外にあるお店なんだけど、本店のコンピューターと接続して決裁しているから、12:00で閉めないといけないそうです。また今後は日曜の営業もしていく、ということですが、それもお店ごとにまちまち。

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これからも業者向けの卸売を主体にしていく方針のところと、リニューアルに前向きな店がわかれていくようです。
乾物・塩干屋さんが始めた横濱屋食堂は、小売用の珍味なども前面にディスプレイし、食堂は行列。また、お菓子のアウトレットをはじめたお茶屋さん・栗田園なども。

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元の市場食堂南部亭」は、和食の蒔田、海鮮の鈴、洋食キッチンK、中華一品香の四店が入ったフードコート形式。もともとは市場だけでなく、近隣の倉庫街で働くトラックドライバーなどにも人気だったようです。
 

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最後に、近隣の様子。
南部市場のある京浜埠頭は、食品団地、木材港といった流通業の拠点ですが、ヨット倶楽部のベイサイドマリーナに隣接したホテルと、1998年にオープンした三井アウトレットパークがその雰囲気を変えました。
現在、アウトレットとホテルは2018年より建替えのため閉館。来年4月のオープンで、敷地面積32000㎡延床面積は建替え前の19744㎡から54000㎡へと1.7倍に。店舗数も170軒と二倍近くなります。

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南部市場から車で10分とかからない。開店バブルの恩恵は南部市場にも訪れるでしょうが、その後、一般客を相手にする場合はここと競合することになります。
関連で話を聞くと「洋服がメインらしい」などと安心しているようでしたが、これがオープンしたあと、ダイワリースが「南部市場」の業態をどうするのか。
アウトレット、大型スーパーという、市場流通と実際は真逆の流通と全面的に向き合うことになる、旧・南部市場。「民営化」以上のリスクを感じさせてなりません。
 [参考]
すべての市場がイオンに?
19.9.16「豊洲開場1年」シンポジウムでの北條勝貴教授の発言はこちらから。
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 12月都議会に、現行条文を大量に廃止し、ほとんどの規制を撤廃する条例改正案が提出されます。
卸売市場条例は、市場機能を守るきちんとしたものにしてください!
 
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