大田市場に行ってみよう(前)
よい子のみんな~!夏休みの自由研究は終わったかな?
今年の自由研究は「卸売市場(おろしうりしじょう)」はどうだろう?
東京都なら、今話題の豊洲新市場。
今年の自由研究は「卸売市場(おろしうりしじょう)」はどうだろう?
東京都なら、今話題の豊洲新市場。
これまでみんなに美味しい食べ物を届けていた市場(市場)が、どう変わるかを調べてみるといいよ!
でも、実際に豊洲に行くのは遠いし、面倒くさいし、暑いし、見学してもよく見えないし、コンビニもないし、何といっても地面から毒のある水が垂れ流しだから保護者の人が心配するよ。
だから、豊洲には絶対行ったらダメ。
だから、豊洲には絶対行ったらダメ。
実際に行かないで、森山高至さんのブログを見て、コピペするのがお勧めだね!マンガやアニメを使った比喩(難しい言葉だね。意味を調べてみよう)もたくさんあって、わかりやすいし、乗り物大好きなみんなにも超お勧めだよ!
もちろん、卸売市場の研究なら、日本の、いや、世界の卸売市場のラスボス、築地市場を見てみないと始まらない。
でも、築地の場内というラスボスにたどり着くためには、場外という恐ろしいダンジョンが周りを囲んでいるんだ。場外ダンジョンは、最近はお魚やお寿司だけじゃなく、みんなが好きなスイーツとか、保護者の人たちが大好きなビールというトラップも増えていて、これにハマると、抜け出せなくなっちゃうんだよ!
築地市場がなくなっちゃったら、豊洲は「遠いし」「不便だし」「安全じゃないし」「ブランドないし」と言って、困っているお店屋さんの大きいお友達!あの「孤独のグルメシーズン7」で大評判の八丁堀シブヤさんみたいに、移転したらやっていけないから閉店します!と、言ってしまうのは、ちょっとだけ待って。
まずは、移転を止めること。
それでダメなら、大田市場か足立市場に行くかなぁ、と考えているなら、よい子のみんなと一緒に、大田市場を見てみよう。
秋葉原にあった神田青果市場(やっちゃば)が移転(移転って距離じゃないね。いろいろ大人の事情があったんだ)し、荏原・蒲田・大森市場と合併する形で作られました。できる時には、やっぱり移転したら不便とか、土地転がし(大人の事情)だとか、いろいろ問題が出て、反対も多かった。
それに、これだけ大きな市場が突然稼働することになるのは、うまくいくかどうかわからない、ということで、青果と鮮魚は時期をずらして開場させることになった。その間元の市場ももちろん残してね。だって失敗したら、都民のご飯が困っちゃうから。昔の人は慎重で、今より賢かったんだね。
昔(お父さんお母さんが子どものころ)は、市場はもっとたくさんあった。京成電鉄に青物横丁って駅もあるし、都内にもあちこち「青物市場」とかの地名が残っていることもあるね。ちょっと前までは、野菜は東京でもたくさん作られてたから、地域ごとの市場に運ばれ、近くのお店が買いに来ていたんだよ。だから都内にも小さい市場がたくさん必要だった。
でも、野菜も遠くから運ばれてくるようになって、地元の小さいお店や商店街も減ってしまったから、大きなトラックがどんどん搬入して、また大きなトラックで運び出すことのできる広くて(でも遠いとこにある)まとまった卸売市場が必要になってきたんだ。それが大田市場。
もちろん東京は人口が多いから、そういうのも必要だけど、小回りの利く地産地消も、両方必要なんだよね。
大田市場には、公共交通なら大森か品川からバス。早朝は本数が多いけど、昼は少ない。どっちからも20分以上かかるけど、大森の方がちょっと近いかな。保護者の人の車で行くか、近所のお店が「豊洲に行きたくないから下見に行く」なんて行ってたら、乗せてもらえるといいね。ここに毎日公共交通で行くことを考えると大変だ。
バスや車は、住宅地では見たことのないような大きな道路、周りは発電所とか倉庫とか、とにかくだだっ広いところを通ります。行き交う車もコンテナを積むトレーラーがほとんど。乗り物大好きなキミは、もうここで満足するかも。
大田市場は、東京に入ってくる貨物の要所にあるので、たしかに立地はいい。アキバのままなら、こんなに車は入れなくなってた。
バスは市場の中までどんどん入って、事務棟の前が終点。帰りのバスの時間をチェックしとこう。目の前にはターレが行きかう、青果の積み出し場があるけど、そこは働く人の場所。
見学は事務棟の2Fにあがろう。資料室があるので、そこで受付して、資料ももらおう。土曜は閉室だからパンフを取って案内図をよく見てね。特に予約は要らない。
事務棟から市場棟にはガラス張りのドームの渡り廊下でつながっている。
左右の窓の下には「野菜数え唄」のレリーフがついていて、1はなんとか、4はしいたけ、とか、語呂合わせが書いてある。都内に11市場あるけど、現在見学コースがちゃんとあるのは大田だけ(他も入ることはできるよ)。作ったときに誰かが「数え唄で野菜に親しんでもらおう」と考えたんだね。豊洲の「江戸小紋のパネルで情緒を味わう」みたいにひねりすぎるよりはいいけど。
市場棟に入ると、そこは青果。大田は青果が7割以上を占めていて、鮮魚は少ない。見学コースはまず青果をぐるっと見るんだけど、到着時間が遅い(9時とか10時)と、鮮魚はどんどん閉店しちゃうから、周回のルートは無視して、建物の手前(管理棟側)の通路(順路の→は逆向きだけど気にしないで)をどんどん進んで、鮮魚を先に見よう。→(逆)は、狭い階段に続いていて(見学コース自体はバリアフリーではない)、それを登ると駐車場になっている屋上に出る。全体「ここ通っていいのかな」と思うような、ちょっと狭くて殺風景な通路だけど、大丈夫。
屋上に出ると、大田市場の全貌がやっとわかる。市場は四つの三角屋根の建物がつながっていて、この三角の屋根もさらに三角形のぎざぎざの形になっている。
これはノコギリ屋根という、工場などでもよく見られる、大きな建物に最適な自然採光をするための構造。この写真だと奥側の面が、ガラス張りになっている。築地も扇型のノコギリ屋根だけど、大田のは一直線で壮観だよ。豊洲は一部に太陽光発電パネルを載せているけど、電気代はどっちがお得なんだろう。
屋根のまんなかには突然、ちょっとオモチャっぽい野菜のオブジェがついている。左からカブ、タケノコ、ブドウ、一番右の鮮魚棟はタイだ。
これもできた時はあまり評判がよくなかったらしい。屋上からだと見上げる形になるので、よくわからないし、遠くからだとよく見えないしね。
今の時期、屋上は日射しがすさまじいことになっているから、気をつけてさっさと歩こう。青果から鮮魚までは歩いて5分もかからない。豊洲は青果から鮮魚まで25分かかるから、夏場は人が倒れるね。
鮮魚棟に着いたら、また階段を下りて、市場の上にある通路から見学できる。右側が卸で、左側が仲卸の店舗が並んでいる。筆者が着いたのは10:30だったから、卸はもうなにもなかった。一番奥が活魚の水槽だ。
その向こうはトラックが直接つけられる場内道路になっていて、ここに荷下ろしをして、セリ(5:40)をして、通路をはさんだ仲卸のお店に魚は運ばれる。
仲卸の店が並ぶ通路はそのまま積み込み場につながっているので、買ったものはターレや台車ですぐに運ばれる。動線はすごくスムーズだ。もちろんスロープやエレベーターとかで階を移動するようなめんどくさいことはないよ。
仲卸は、ぽつんぽつんと開いている店があり、わずかだけど魚も並んでいた。大田区が近い人は、がんばって早起きして行こうね。
でも、築地みたいに仲卸のお店を間近で見ることはできず、上の通路から降りることはできない。豊洲の仲卸棟見学コースみたいに、ガラス窓の下に仲卸店舗の屋根しか見えないというよりはずっとマシだけど、築地好きにはちょっと物足りないかもね。それに、一般の消費者(お店屋さんじゃない人)がBBQとか寿司パだとかのために買うことはできないんだ。築地は、11時以降ならそれができる。
鮮魚棟は1棟だけだから、見学通路を往復したら、もうおしまい。案外狭いね。
卸の会社は一社、築地の大都魚類の大田支社だ。仲卸は86店舗43業者。築地は卸7社、仲卸約500社だから、かなり少ない。取り扱い量は鮮魚と加工品が半々くらい、金額にして一日3400万円(17年平均)。これは、築地・足立・大田の都内3鮮魚市場のうちわずか2%(占有率)だって。
次回紹介する青果部門は都内9市場の占有率51%。全国でもトップだ。大田が巨大市場だといわれるけど、それはほとんどが青果。
業者が少ないということは、当然魚の種類も少ない。専門店が築地に頼る特殊(量の少ない魚)なんかはどうしても弱いよね。
あと、最初に書いたような交通アクセスを考えると、大田には大きいトラックでどーんと買出しに来る業者じゃないとちょっと難しい。築地に地下鉄や自転車で来てるようなお寿司屋さんは、大田に切り替えるのはムリそう。豊洲も同じくらい行きにくいけどね。小規模のスーパーとかで、豊洲で仕入れたくない、と思う業者さんで、大田区が近ければ、いいかもしれない。
こう書くと、大田市場がしょぼいみたいになっちゃって申し訳ないから、後編は巨大な青果と、築地にはない花き、そしてみんなお楽しみの市場メシがある関連について書くよ。
夏休みも終わるし、めんどくさいから次回は普通の文体です。