築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

営業権で、移転を止める。(後編)

 

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小池都知事が「豊洲市場の安心安全」を宣言(かなりあいまい)、8月1日に農林水産省に開場認可申請がなされました。
 
同日、築地女将さん会、営業権組合なども農水省に対し「認可申請を受理しないよう」要請行動。受理しないことは不可能なようですが、農水省側も丁寧に話を聞く姿勢を持ち、会談の中で「仲卸に営業権は存在する」ということも認めたそうです。
また、この時点で営業権組合加入は149人に。築地場内・場外において、確実にその正当性が評価されてきています。
 
今回は、前回に続いて
7月21日場内講堂で行われた、第三回学習会「営業権で、移転を止める」(基調講演:明治学院大学・熊本一規名誉教授)のレポート後編。
営業権はどのような場合に主張できるのか、根拠となる豊洲の「減益」の要素となる欠陥問題などでさまざまな立場からの意見が出た、質疑応答部分です。
 
Q:営業権組合に入ったら、東京都から築地市場内での「電気・ガスを止められる」というウワサがある。
A:組合に入ったせいで不利益を与えてはいけない。電気・ガスは個別に契約しているので、特定の店だけ止めることはできないし、万が一東電が止めても、自由化されているので他社に切り替えればよい。
 
Q:「仲卸に営業権は存在しない」として、八代屠場の最高裁判決の例を出して言いふらしている人がいる。
A:同判決は移転についての補助金が適正かどうかのもので、営業権とは関係ない。
 
Q:場外でトラックを入れる業者は営業権を請求できるか?
A:場外は営業権の根拠である「許認可」を受けていない。もう一つの条件である「暖簾」があることを証明できれば。
 
Q:茶屋は東卸ではない別の組合。茶屋は営業権組合に入れるのか?
A:豊洲は茶屋そのものがない。市場としても必ず問題が起きる。同業を集めて、ぜひ加盟してください。
 
*豊洲における「茶屋」の問題*
「茶屋」とは買出し人がそれぞれの仲卸や関連で買った荷物を集積して預かる機能。これによって限られた時間に多様な商品を仕入れる効率的な動線が可能となっている。築地市場の全体図で見ると、扇形の建物から張り出した「くし型」の部分。鮮魚仲卸からターレや小車などで茶屋までの配送は平均2分。
豊洲では当初まったく茶屋機能がなかったが、仲卸棟4F買出し人駐車場にプラットフォームを設置。1F仲卸からの配送は(ターレスロープのヘアピンカーブなどで問題がなかったとしても)4~5分かかる。

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 (豊洲の駐車場に作られたプラットフォーム。習熟訓練のときの様子) 
 
前記事参照
 
それ以外の問題も、この場で茶屋業者さんから指摘が。
1:築地は半分以上茶屋でまわっている。豊洲では駐車場で代替するというが、そもそも駐車場自体が足りない(ピークのAM6~8時は絶対に不足する)。
 
2:4F駐車場には水道も氷もない(豊洲にはもともと製氷施設が設計されておらず、後付で作られたがまったく足りていない。外から買ってくるということになっている)。商品の保管だけでなく、魚を置いていた場所なのに毎日水で掃除することができない。築地は(大卸・仲卸もすべて)海水で掃除することで、ゴキブリ・虫の発生を防いでいる。ネズミがいるといわれるが、ネズミは食品を扱うところならどこでも出るし、防ぐこともできる。豊洲はまちがいなくゴキブリだらけになる。
*建築エコノミスト:森山高至さんからの指摘「豊洲の仲卸店舗を見てきてわかった問題。壁や床の構造が弱く、配管を埋めることができない(それだけでもアウト)。配管を床に這わすと、壁との間に隙間ができる。自分の家を掃除するとわかるでしょう。こういうところにゴミが溜まるのが厄介。しかもここで取り扱うのは鮮魚。ウロコもアラも大量に出る。これが詰まったら一日で腐る」豊洲コールドチェーンでもないし、HACCP認証すら取れない」
 
3:今は一日の単位で動いているが、豊洲では駐車場に置くのは30分単位で料金が変わる(仲卸等の方たちはその事実を知らされておらず、場内どよめき)。茶屋からは荷物が揃わないと出せないので、トラックをまわすこともできない。こんなことをどうやってお客さんに説明すればいいのか。
 
4:駐車場に茶屋を作っても機能しない。豊洲の物流は建物そのものを壊して建て替えない限りムリだ。
 
小揚(場内の配送)業者さんからの意見:小揚の中でも、豊洲に行って機能するとは誰も思っておらず、行きたくて行くものはいない。まがりなりにもここ築地でやることに誇りをもってやってきたのだから、移転するなら、自分は辞めるしかない。もし行く場合でも移転費用は全額補償されるべきだ。

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  (豊洲習熟訓練における小揚の実演。実際はこんなものではない、と声が上がっていた)
 
 
Q:店舗の保険の更新時期と重なっている。豊洲の店舗に「床にヒビがある」「従業員の交通事情が変わるので、手厚くしたい」などの条件を言うと、保険屋さんがシブる
別の会社に交渉しようと、東京都に図面を要求したが「直接渡す」などと言って、間に入ろうとして図面を出してくれない(え~、と声)。埋立地だと保険の扱いも変わるらしい。
A:(会場から。保険会社がシブるであろう豊洲の諸問題について)
減益の予想:移転が最初決まったとき「向こうは埋立地、築地を売ったらお釣りが来るでしょ」と言ったら「汚染を浄化するので赤字になる」と言われた。
周辺環境の汚染:今、築地では隅田川から取水しているが、当初東京都の説明は「汚染があるので豊洲の水は使えない隅田川からパイプラインを引くしかない」だった。事情を知っている人からは「豊洲の土地は、東京ガスの工場を作る以前の埋立で、環境基準が低く、何でも放りこんでいた」という。
従業員の健康被害の予想:移転したら事業者の健康被害はまず、なんとなく具合が悪い、いろんなとこの体調が崩れる不定愁訴の形で出てくる。関連が証明できず、これは補償されにくい。
こんなことでは保険会社も手を引くしかない。
 
そしてもっともエキサイトした質疑が、「実際に築地に残る」という態度を取ったらどうなるか、というもの。
 
Q:もし仲卸が築地でこのまま営業すると言ったら、大卸6社(+塩干1社)はどうするのか?
A:たとえば仲卸200社が残った場合、仕入れを半分残せ、と大卸に要求できるし、向こうも無視できない。(残る事業者の)数が必要。
 
Q:仲卸のうち350社が移転、200社が残ったら、お客さんはどうするか。お寿司屋さんや5~6店舗で展開する小口のスーパーなどは「豊洲は入場に時間がかかる」「災害時が心配」といった利便性から豊洲に行けないと言っている。
A:(中澤誠・東中労執行委員長)卸売市場の「大卸→仲卸→小売」という流通の原則を切ってしまうことこそが、本当の営業権の侵害だ。(今国会で改悪された)卸売市場法はそれをやっているが、新法の施行は2年後。それまでに「これまでの市場法でやる」と業者がやってしまえばいい。
A:(小揚)大卸の従業員も豊洲についてネガティヴな話しかしない。不動産取引で儲かる上の人は知らないが、現場はそう。特に上から(豊洲の運用の)具体的なことを聞かされていないのが不安だ。自分たちは特殊課(量の少ない鮮魚の取り扱い)なので、特殊は仲卸がなくなると商売にならない。仲卸が声を揃えれば、必ず勝てる。
A:(菅原仙台中央卸売市場組合長)日本を代表する築地が、従来の市場法を守れば、新法は機能しなくなる。築地を守ることは、改悪された卸売市場法改悪を使わせない、ということで、それは必ず全国の市場に広がる。
 
すべての意見を紹介しきることはできませんが、今、この「営業権」という考え方から、築地の事業者、実際に仕事にたずさわる人たちは、それぞれの立場から、築地の機能や役目の重要性、ということを改めて考えています。
また、実際に豊洲に移転準備をしている事業者からは、具体的な検討を進めるにつれ、豊洲の欠陥がどんどん露呈してきて困ってしまっています。これもまた営業権で補償されるべきことです。
学習会では、この日の茶屋さんからの意見のように、他の業種の人には知らされていない豊洲の運用がわかったりします。
営業権組合の学習会は基本的に公開です。ぜひ注目して、実際に参加してみてください。
 
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「営業権で、移転を止める」(前)

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今、築地市場で話題の「営業権組合」
6月21日に仲卸有志と女将さん会により発足した新組合は、問い合わせも相次ぎ、7月20日時点で加入者が100人を突破。
そんな中、7月21日、「営業権で、移転を止める」と題した第三回学習会が、場内の3F講堂で行われました
前後編二回に分けて、その内容をリポートします。
 
会場には、場内・場外から、および一般の聴衆も含めて50人近くが集まり、「卸売市場法改悪」問題について築地と連携を深めている仙台中央市場協同組合の菅原組合長も発言者として駆けつけました。発言だけではなく「この動きを会報に書いて、全国の卸売市場に知らせるための取材」で来た、と意気込んでおられました。また、豊洲の現状については森山高至さん、水谷和子さんもフロアから解説してくださいました。
 
基調講演は前回に引き続き明治学院大学・熊本一規名誉教授原発立地や公共工事による立ち退きに対し、住民の権利を主張して対決してきた方です。
 
築地市場の移転に関して「事業者は営業権を主張できる」とする、この組合のバックボーンとなるのが
豊洲への移転を決められるのは、東卸(東京魚市場卸協同組合)などの既存の組合の総代会・理事会ではなく、各事業者(組合員)である」
ということ。事業者こそが正当な権利者であり、その社会的地位・発言権を向上することが、新組合の目的と定めました。
 
今回の先生の講義は、「東卸の総代会決議と組合員の権利」として、協同組合の定義から豊洲移転についての決定権は誰にあるのか、そして、営業権とは何か、どんな場合に発生するのか、という内容。
 
「協同組合」とは。
 まず、「中小企業等協同組合法」に基づく協同組合である東卸の意思決定は正しくはどうあるべきか、現状の理事会の決定のやり方はどう問題なのか、ということ。
 本来の法的根拠である「協同組合法」では、組合は社員(加入する事業者・個人)が決定するものであり、特に重要なことがらは総会決定が必要とされている。しかし東卸の定款そのものが「協同組合法」に反しており、総会議決の優先を排し、総会の招集のルールや議決の対象となる事項の定義も縮小した「法律違反」である。
 本来、法的には豊洲移転のような最重要事項については総会特別決議で決定されるべき(重要性の高い順に、総会特別決議>総会普通決議>総代会決議>理事会決議となる)であり、東卸が総代会決議で決めたことは「無権代理行為」という、権利のない者が「勝手に声をあげた」にすぎない。
 
こうした決定プロセスの矛盾に加えて、豊洲移転に関しての熊本先生の指摘は「一番理不尽なのは、事実上の立ち退きなのに移転費用も自腹で無理やりやらされること」。
これは移転に賛成(仲卸アンケートによればはっきり「賛成」はほとんどなく、「しかたない」という「移転容認」レベル)か反対か、の立場を越えて、移転の話が出たときからすべての事業者が負担に感じてきたことです。
そこで、上記の協同組合法に基づき、仲卸業者こそが「営業権」の権利者であるという話になります。
 
「営業権」とは。
長年の営業活動により生じた無形の経済的利益(無体財産権)。
であり、
「営業権」に基づいて、廃業や損失に対して補償しなくてはならない場合とは。
1.行政機関から特許または許認可を受けてはじめて営業することができるもの
2.創業以来長年にわたり顧客の信頼を得て築き上げた名声や信用としての「暖簾」
があり、
そのため同程度の同種事業者に比べて「高い収益力=超過収益力」を有する事業者。
 
つまり、築地の業者は
1.都から許認可を受けて開設し
2.「築地ブランド」の暖簾、立地がある
ため、営業権がある。
 
 この営業権の補償を定めたものが
「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」
(要綱とは閣議決定で定められたもので、国会で審議された「法律」に準ずるもの。この要綱は憲法29条:財産権に基づくため、重い規定)の31~33条:「営業廃止」「営業休止等」「営業規模縮小」の補償である。
 
営業権組合では具体的に「次のような場合の「補償」をさせることができます」と告知して組合員を募っていますが、その根拠となるのがこの「要綱」です。
 
営業廃止:「本当は営業を続けたかったが、やむなく廃業せざるを得ない」
 「移転費用が捻出できないので廃業を考えている」 
営業休止:「引越しに伴って、休業を余儀なくされる」
営業規模縮小:「交通アクセスが悪く、営業の規模を縮小した」
 「豊洲へ移転したはいいが、売り上げが大幅にダウンした」
 「豊洲での商売に自信がなく、退職金を割増して従業員に辞めてもらおうと思う(このケースは事業者ではなく、離職者への直接補償)」
 
実際、移転の話が持ち上がった2001年以来、迷走する計画や豊洲の汚染や建築欠陥の問題、そしてまさに熊本先生の指摘にある「移転費用自腹」という理不尽さによって、すでに廃業をしてしまった業者さんもあります。これは国が補償の説明をしていない「加害行為」にあたるため、加害があったことを「知った時点」から3年が時効(実際の加害=廃業から、ではない)となるため、すでに廃業した事業者さんも補償が請求できる、とされます。
 
そして、今、混乱の中、豊洲への移転準備をしている事業者さんこそ、営業権を主張すべきであるとして、
学習会の後半は、その「規模縮小」が見込まれる根拠としての豊洲の欠陥について、また、仲卸以外でもどのように、移転によって損失を受けるか(営業権の侵害があるか)という質疑に入っていきます。
 
(後編へ)

「営業権で、移転を止める」今週末です。

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今、場内で話題沸騰の築地市場営業権組合」
第三回学習会
講師:熊本一規先生(明治学院大学名誉教授)「営業権で、移転を止める」
今週末、7月21日(土)12:30~14:00、築地市場3F講堂。
業者でない一般の方も歓迎だそうです。
 
「大変なことになる」とまで脅す人もいるらしいのですが、「豊洲に行って大変なことにならないように」「築地に留まる権利を主張して、大変なこと(移転中止・延期)になるようにしよう」というものです。賛同する業者さんも続々増えているようです。
中央卸売市場は自治体が設立し、業者は認可を受けた店子という扱いにはなりますが、家賃を払って、なおかつ都民の食のために営業をしているのだから、当然、その場所で営業を続ける権利があります。
都内には11ヶ所の卸売市場がありますが、現在黒字なのは築地と大田だけ、と言われています。こんな条件のいい築地から「自腹で」引越し、というのがそもそもムリ筋。
また、17日に中央区役所で開かれた築地の地域向け(場外など)説明会でも、築地市場の解体計画があまりにずさんで(ただでさえ移転は地元にデメリットなのに)、ネズミなどの獣害やアスベスト、粉塵などで、場外がそれこそ「大変なことに」なりかねない、と、大紛糾。移転は、市場に直結している場外のお店の営業権にも関わってくることです。
「築地の仲卸業者が権利を主張するなんて」と思う方もいるかもしれませんが、ご自身の家の「居住権」のことを考えてみていただきたい。賃貸にしても、長年住んでいる持ち家にしても、まったく条件の違うところに「自腹で」引っ越せと言われたら困るでしょう。
 

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前回ご紹介した波除神社の獅子祭ですが、お祭のこんなひとコマにも、築地の便利さ、築地(とその地域)で営業するメリットが見えてきます。
公道でターレを使ってお神輿を運んでいいのは、築地だけです(上写真は場内です)。
もちろん近隣のお店への配達も、ターレで公道を走っていくからこそ、迅速にリーズナブルに運ぶことができます。豊洲からだと、築地場外の「マグロの一尾買い」をしているあのお寿司屋さんも海鮮丼屋さんも、わざわざトラックで(もちろんコストもかけて)配達してもらわないといけません。そのコストは、いずれ価格に上乗せされ、消費者にとっても損です。
 
移転説明会ではターレ2600台がいっせいに豊洲に移動、と簡単に説明されたようですが、引越し業者も決まらない(最大手企業がムリだとして引き受けない)状態で、実現の見通しがあるのでしょうか。
神輿がひとりで歩けるもんではありません。
**
引き続きこちらもよろしくお願いします。
連日熱中症のニュースが騒がれ、亡くなる方も出ている今年の夏。
炎天下に子どもを動員しての豊洲イベントなど、都庁の移転事業はすでに常軌を逸しています。
 
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築地は水の街

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6日に「魂抜き」が行われた築地場内の水神様の鳥居が、そんなにすぐやらなくてもいいのに、というほど素早く撤去されています。
 
水神様は文字通り、水の神様。
水というものは、人間にとって恵みであると同時に、御しがたいものであり、ときには人間の営みを破壊するほどの力をもったものである、ということを、このたびまた改めて日本のひとびとは思い知らされました。
 
水が御しがたいといえば、むしろ豊洲新市場。もともとの軟弱地盤に加え、現状の建屋の浸水壁が低いなどの問題から、地下水位が下がらず悪戦苦闘が続いています。「完了した」と言われる追加対策工事では、揚水井戸を増やしたものの肝腎の建物の下には掘れない(建物があるから)という矛盾が指摘され、効果のほども疑問。
逆に恵みの水を利用する点においても、築地では床を海水で洗浄し、衛生管理だけではなく、気温を下げる(打ち水効果。オープンな構造なのに、築地はこの真夏でもひんやりしている)、まさに人間の知恵が活きているのに、豊洲の床は海水が流せない、おまけに床の排水にも問題がある、という欠陥が新しくわかってきています。
だから早く水神様を手にいれたいと思ったのかもしれませんが、水の脅威を過小評価し、利用する知恵も排除した豊洲新市場。これが魚河岸といえるのでしょうか。
 
築地は水の恵みとともに営まれてきました。水産物を扱うことはもちろん、農作物の出来も水によって決まります。水害がおそろしいのはもちろん、農産物の不作や漁業における海難の危険もあり、また現在は少なくなりましたが、水産物や農産物を江戸/東京という都市に運ぶのには水運も大きな役割を果たしていたため、商品の流通のためにも水をなだめることが必要とされていました。そもそも、築地の土地を作ったのは住吉神社を信仰する摂津からきた海洋民でした。
 
今回は6月の波除神社獅子祭から、築地と水の関わりを見ていきます。

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今年は3日目の6月8日に「百数十年ぶり」といわれる船渡御(お神輿が船で川を進む)が開催されたことが話題となり、また、隅田川河岸にお神輿を載せた船が接岸して、水鎮祭がとりおこなわれました。
そのお神輿が船に乗り込んだのが、場内の船着場。今は使われる機会も少ないですが、もともとの「魚河岸」です(ちなみに、ふだんは見学者は入れません)。

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船といっても、いわゆる台船で、タグボート2隻が押して推進したり、絶妙なコントロールで岸に近づけたりします。
お神輿とともに乗り込んだ人々の雄姿、そしてその後ろには場内・場外の顔役の人たちが乗り込んだプレジャーボート。この方たちのうち、何人が7月の水神様移転を知らされていたのでしょうか。
本来なら、きちんとこの人たちにも了承を得て、立ち会ってもらってこその移転であるべきでした。

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今年の獅子祭は、築地だけではなく、東京のお祭としても珍しい大規模な船渡御が実現し、浜離宮に作られたお旅所から戻ってくるという、広い範囲をお神輿が巡って大いに盛り上がりました。
そのエリア、場外や周辺の人たちのいったい誰が、市場がなくなった方がいい、なくなったほうが得をする、などということがあるでしょう。
水神様のみならず、こうした幅広い関係者に対しても、この移転手続きは礼を欠いているのではないでしょうか。
 
  なお、築地本願寺の盆踊りは8月1~4日です。

水神様はまだ豊洲には行っていません。

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築地の神社といえば、先日の獅子祭で賑わった場外の波除神社。
そしてもうひとつ、波除神社とも切っても切り離せないのが、場内の水神社です。
 
先日6月27日、豊洲新市場への移転計画として、この水神社の「魂抜き」が強行されてしまいました。要するに、神様の立ち退き。
しかもこのやり方が、人間社会の通念としても大変に乱暴なもので、大いに問題となっています。

 

水神社は、後述するように神田明神の水神社の分社・遥拝所であり(神田にいる神様をここから拝む)、ふだんは無人です。お祭のときには神田明神から神職さんが来てくれます。しかし、ここはれっきとした築地市場の守り神であり、いわば築地で働く人たちが氏子。そして崇敬体(氏子会みたいなもの)は「魚河岸会」といって、多くの関係者が属しています。
先日の獅子祭で波除から水神社に遥拝に入ったときでも、このとおり。

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今回の魂抜きは、そうした人たちの合意はおろか、知らせることもなく闇討ち的に実施されました。立ち会ったのは卸と仲卸の会長。

遥拝所といえ、85年の由緒あるお社の、しかも築地のような大きな街で大勢の人たちが信仰して支えているものを、まったく非常識・非礼なやり方です。
場内では移転するとしても、水神社は9月、といわれていて、ほんとうに今回の件は寝耳に水であったそうです。10月までの三ヶ月、「神様なし」で商売をしろというのです。
神様というと、一見非合理的で迷信じみているかもしれませんが、日本では、築地のみならず各地の市場はもちろん、老舗の百貨店や企業のビルにも屋上に神社があり、商売を守っているとされています。迷信だというなら、築地市場だけではなく、日本の企業・商業文化そのものが迷信深いのです。
 
しかも前回2017年11月移転が決定していたときは、魂抜きの儀式を(ある程度は周知の上で)行おうとしたところ、突如水神社の上の架け屋根が破れるという事態が発生。結局水神社に触れる前に移転が延期になったという顛末があります。
今回の闇討ちはそのせいなのか? 神様にまで告知なしで強行したのかもしれません。
 
では、水神様は今どこに?
今回は築地に分祀した水神様が、神田に「お帰りになった」という儀式がなされています。
豊洲新市場にはまだ水神様の遥拝所がないからです。ちゃんと設計に組み込まれているかどうか、謎ですが。できたとしてもお手水がないとか梵鐘があるとか、とんでもない欠陥がありそうな気がしてなりません。
 
そこで、今回は水神様が「里帰り」している神田明神の水神社についてです。
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   築地の水神社と同じ波の文様。

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   水盤に「魚がし」の文字。

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   水盤の縁どりも見落とせない。

ご存知「お江戸の総鎮守」神田明神は、当初は大手町にあり、神田神社という名称でした。そこに、江戸時代初期・16世紀に開設された日本橋魚河岸の守り神として、水神社が設けられ、「大市場交易神」と呼ばれていました。
元和年間(17世紀初頭)神田神社が現在の外神田に遷座し、さらに昭和8年、築地に魚河岸が移ったあとも、江戸・東京のひとびとの食を支える市場の守り神として、水神様の本殿は神田明神にあります。
江戸の鎮守の時代から現代まで、都民の食を守っている。神田明神築地市場だけでなく、旧・神田市場(歴史ある青果市場・やっちゃば)の氏神でもありました。

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   神田明神の大鳥居。明神様にちなんだものではなく、波の文様で作られているのも、水神社の占める地位がわかる。

 
しかし、築地と江戸文化はさらに深い関係があり、水神様の由縁には、日本を代表する"あの"由緒正しきご一族が関わってくるのですが、それはまた次の機会に。
 
これほどまでに江戸・東京にとって重要な神様を粗末に扱った今回の一件。豊洲新市場のずさんさ、東京都民の食をも粗末に扱おうとする体質を露呈しているのではないでしょうか。
 
水神様は、まだ神田にいます。豊洲には行っていません。築地を再整備して築地の水神社もきれいになったところに戻ってこられるのが、一番よいのではないでしょうか。 
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かわら版5号

6.16なるほど築地でええじゃないか! 新宿港町行進にご参加いただいたみなさま、沿道でかわら版を受け取ってくださったみなさま、ありがとうございました! 幸い雨も降らず、暑くもなく、さすがに築地デモには水神様のご加護がついております。この点でもなるほど築地がええじゃないか!
 
当日配布したかわら版5号を掲載いたします。
 
すごろく面は大きくプリントして実際に遊んでみましょう。おさかなやターレなどのコマを自分で工夫してみても楽しいですよ。すてきな画像が撮れたら、ぜひ#築地でええじゃないか! をつけてSNSなどに投稿してください。
 
なるほど面の下半分は、従来の3号裏面の英語・中国語と同文です。
 
印刷・転送・配布はご自由にお使いください。表(なるほど面)と裏(すごろく面)でワンセットになっています。特にすごろく面はなるほど面にリンクするつくりとなっているので、片面だけでの使用はご遠慮ください。また、部分使用や書き加えての使用(この上に「小池はやめろ」と書き込むなど)はおやめください。
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[都庁に声を届けましょう]

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6.16「なるほど築地でええじゃないか ! 」新宿港町行進かわら版をお受け取りいただいた皆さん !

 

ご存知のとおり、東京都はこの秋、築地卸売市場(場内市場)オリンピック道路建設のために壊し、駐車場にすることを計画しています。

移転先の豊洲は、ガス工場の跡地であるため土地がひどく汚染されており、東日本大震災(震度5)で液状化した弱い地盤で、追加対策を続けても地下水の水位が下がることがありません。

こうした対策費も含め、年間100億円の赤字とも言われる莫大なランニング・コスト。

そして建築そのものも、実際に働く業者さんたちの意見を聞かずに作られた欠陥だらけ、「これでは運用できない」という声が上がっています。

 

そして、築地を訪れた方ならわかるように、築地のすばらしいアクセスは市場としても大きな強みです。また、あの賑やかな場外市場との連結は、プロの買い出し人のみならず、観光客にとっても魅力です。

 

想像してみてください。

豊洲市場直送」のお魚が店頭や飲食店に出されていて、

皆様はそれを買いたいですか?

 

そこで、築地にいらして、築地を愛してくださる皆様にお願いです。

 

築地卸売市場は現在地にあってほしい」

というあなたのメッセージを、東京都に送ってもらえませんか?

あなたの声をお寄せください|東京都

あなたの立場、考え、築地を訪れた印象からの意見で充分です。

 

「嫌だけど、移転は決まっちゃったんでしょう」と黙ってしまっている方は、とても多いです。そうしてみんなが黙ってしまうと、実はみんなが嫌がっていることなのに、合意されたかのようにどんどん進んでしまいます。

 

場内・場外からは、豊洲を実際に見て、検討した業者さんたちから、今年10月の移転は無理、という声が日増しに高まっています。

今ならまだ止められます。

 

80年以上続いてきた伝統の築地市場

これは、東京の、日本のみんなの宝ものです。

この築地市場を守るために、力を貸して下さい。

 

[Send your message to Tokyo Met-gov.]

Hello everyone from abroad !

Thank you for taking our Flyer .

If you have time,it's recommended plan in Japan ,visiting Tsukiji fish market.

 

 

 You may not know, Tokyo Metropolitan Government has the plan

 to destroy the Tsukiji wholesale market (Inner market), in this autumn,

 for the construction of the Olympic road, 

and to change this place for a parking lot.

Can you believe such as destroying the Tsukiji market

 with tradition and vigor?

 

The new relocated market is built in a landfill Toyosu.

But the land of Toyosu, the Gas factory was located is still seriously polluted.

The building structures have too many problems to work,

 and the costs for running the market are awfully huge.

Many workers of the Tsukiji market think

 the Toyosu new market does not function.

 

So we would like to ask everyone who comes to Tsukiji and loves here, 

Please Help us !

While you are staying in Japan or after you go back to your home,

 please send your message 

“I wish to keep the Tsukiji wholesale market in this actual place”

 to the Tokyo Metropolitan’s Website,

Contact Us - Tokyo Metropolitan Government

or diffuse with your SNSTwitter, or Facebook, with #savetukiji.

 

Please save the Tsukiji market continuing in the future,

 that has the history more than 80 years until now.  

Tsukiji is the treasure for not only us in Tokyo, 

Japan, but for all of you in anywhere in the world.

Your voice will be a big power to SAVE TSUKIJI!

 

[東京都的網站上発送信息]

歓迎来到東京!

感謝您的光臨。

你来到築地市場

你有什么感想築地市場

 

您可能不知道、東京都政府計画在今年秋季鎖毀築地批発市場(内部市場)、用于奥運道路的建設、並将此地改為停車場。

你能相信像鎖毀築地市場和伝統和活力嗎?

 

新搬遷市場建在墳埋場、豊洲

但以前煤気工廠所在地豊洲的土地仍然受到厳重汚染。

豊洲的建築物的設計有多的問題為業務、運行市場的成本非常巨大。

築地市場的許多工人認為豊洲新市場不起作用。

 

所以我們問問来到築地並且喜歓這裡的毎一個人、請幇助我們!

 

在留在日本或回到家之後、請在東京都的網站上発送

「我希望将築地批発市場留在這個実際的地」的信息。(英文)。

Contact Us - Tokyo Metropolitan Government

你的SNS、Twitter,Facebook請発信和#savetsukiji。

 

請保存将来継続的築地市場、迄今已有80多年的歴史。

築地不僅是我們在日本東京的財富、也是世界上任何地方的所有人。

你的聲音将是一個巨大的力量為保持築地市場