築地でええじゃないか! かわら版

「新宿港町行進」や築地場外、都庁前などで配っているかわら版をアップしています。転送・印刷配布ご自由にお使いください。

営業権で、移転を止める。(後編)

 

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小池都知事が「豊洲市場の安心安全」を宣言(かなりあいまい)、8月1日に農林水産省に開場認可申請がなされました。
 
同日、築地女将さん会、営業権組合なども農水省に対し「認可申請を受理しないよう」要請行動。受理しないことは不可能なようですが、農水省側も丁寧に話を聞く姿勢を持ち、会談の中で「仲卸に営業権は存在する」ということも認めたそうです。
また、この時点で営業権組合加入は149人に。築地場内・場外において、確実にその正当性が評価されてきています。
 
今回は、前回に続いて
7月21日場内講堂で行われた、第三回学習会「営業権で、移転を止める」(基調講演:明治学院大学・熊本一規名誉教授)のレポート後編。
営業権はどのような場合に主張できるのか、根拠となる豊洲の「減益」の要素となる欠陥問題などでさまざまな立場からの意見が出た、質疑応答部分です。
 
Q:営業権組合に入ったら、東京都から築地市場内での「電気・ガスを止められる」というウワサがある。
A:組合に入ったせいで不利益を与えてはいけない。電気・ガスは個別に契約しているので、特定の店だけ止めることはできないし、万が一東電が止めても、自由化されているので他社に切り替えればよい。
 
Q:「仲卸に営業権は存在しない」として、八代屠場の最高裁判決の例を出して言いふらしている人がいる。
A:同判決は移転についての補助金が適正かどうかのもので、営業権とは関係ない。
 
Q:場外でトラックを入れる業者は営業権を請求できるか?
A:場外は営業権の根拠である「許認可」を受けていない。もう一つの条件である「暖簾」があることを証明できれば。
 
Q:茶屋は東卸ではない別の組合。茶屋は営業権組合に入れるのか?
A:豊洲は茶屋そのものがない。市場としても必ず問題が起きる。同業を集めて、ぜひ加盟してください。
 
*豊洲における「茶屋」の問題*
「茶屋」とは買出し人がそれぞれの仲卸や関連で買った荷物を集積して預かる機能。これによって限られた時間に多様な商品を仕入れる効率的な動線が可能となっている。築地市場の全体図で見ると、扇形の建物から張り出した「くし型」の部分。鮮魚仲卸からターレや小車などで茶屋までの配送は平均2分。
豊洲では当初まったく茶屋機能がなかったが、仲卸棟4F買出し人駐車場にプラットフォームを設置。1F仲卸からの配送は(ターレスロープのヘアピンカーブなどで問題がなかったとしても)4~5分かかる。

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 (豊洲の駐車場に作られたプラットフォーム。習熟訓練のときの様子) 
 
前記事参照
 
それ以外の問題も、この場で茶屋業者さんから指摘が。
1:築地は半分以上茶屋でまわっている。豊洲では駐車場で代替するというが、そもそも駐車場自体が足りない(ピークのAM6~8時は絶対に不足する)。
 
2:4F駐車場には水道も氷もない(豊洲にはもともと製氷施設が設計されておらず、後付で作られたがまったく足りていない。外から買ってくるということになっている)。商品の保管だけでなく、魚を置いていた場所なのに毎日水で掃除することができない。築地は(大卸・仲卸もすべて)海水で掃除することで、ゴキブリ・虫の発生を防いでいる。ネズミがいるといわれるが、ネズミは食品を扱うところならどこでも出るし、防ぐこともできる。豊洲はまちがいなくゴキブリだらけになる。
*建築エコノミスト:森山高至さんからの指摘「豊洲の仲卸店舗を見てきてわかった問題。壁や床の構造が弱く、配管を埋めることができない(それだけでもアウト)。配管を床に這わすと、壁との間に隙間ができる。自分の家を掃除するとわかるでしょう。こういうところにゴミが溜まるのが厄介。しかもここで取り扱うのは鮮魚。ウロコもアラも大量に出る。これが詰まったら一日で腐る」豊洲コールドチェーンでもないし、HACCP認証すら取れない」
 
3:今は一日の単位で動いているが、豊洲では駐車場に置くのは30分単位で料金が変わる(仲卸等の方たちはその事実を知らされておらず、場内どよめき)。茶屋からは荷物が揃わないと出せないので、トラックをまわすこともできない。こんなことをどうやってお客さんに説明すればいいのか。
 
4:駐車場に茶屋を作っても機能しない。豊洲の物流は建物そのものを壊して建て替えない限りムリだ。
 
小揚(場内の配送)業者さんからの意見:小揚の中でも、豊洲に行って機能するとは誰も思っておらず、行きたくて行くものはいない。まがりなりにもここ築地でやることに誇りをもってやってきたのだから、移転するなら、自分は辞めるしかない。もし行く場合でも移転費用は全額補償されるべきだ。

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  (豊洲習熟訓練における小揚の実演。実際はこんなものではない、と声が上がっていた)
 
 
Q:店舗の保険の更新時期と重なっている。豊洲の店舗に「床にヒビがある」「従業員の交通事情が変わるので、手厚くしたい」などの条件を言うと、保険屋さんがシブる
別の会社に交渉しようと、東京都に図面を要求したが「直接渡す」などと言って、間に入ろうとして図面を出してくれない(え~、と声)。埋立地だと保険の扱いも変わるらしい。
A:(会場から。保険会社がシブるであろう豊洲の諸問題について)
減益の予想:移転が最初決まったとき「向こうは埋立地、築地を売ったらお釣りが来るでしょ」と言ったら「汚染を浄化するので赤字になる」と言われた。
周辺環境の汚染:今、築地では隅田川から取水しているが、当初東京都の説明は「汚染があるので豊洲の水は使えない隅田川からパイプラインを引くしかない」だった。事情を知っている人からは「豊洲の土地は、東京ガスの工場を作る以前の埋立で、環境基準が低く、何でも放りこんでいた」という。
従業員の健康被害の予想:移転したら事業者の健康被害はまず、なんとなく具合が悪い、いろんなとこの体調が崩れる不定愁訴の形で出てくる。関連が証明できず、これは補償されにくい。
こんなことでは保険会社も手を引くしかない。
 
そしてもっともエキサイトした質疑が、「実際に築地に残る」という態度を取ったらどうなるか、というもの。
 
Q:もし仲卸が築地でこのまま営業すると言ったら、大卸6社(+塩干1社)はどうするのか?
A:たとえば仲卸200社が残った場合、仕入れを半分残せ、と大卸に要求できるし、向こうも無視できない。(残る事業者の)数が必要。
 
Q:仲卸のうち350社が移転、200社が残ったら、お客さんはどうするか。お寿司屋さんや5~6店舗で展開する小口のスーパーなどは「豊洲は入場に時間がかかる」「災害時が心配」といった利便性から豊洲に行けないと言っている。
A:(中澤誠・東中労執行委員長)卸売市場の「大卸→仲卸→小売」という流通の原則を切ってしまうことこそが、本当の営業権の侵害だ。(今国会で改悪された)卸売市場法はそれをやっているが、新法の施行は2年後。それまでに「これまでの市場法でやる」と業者がやってしまえばいい。
A:(小揚)大卸の従業員も豊洲についてネガティヴな話しかしない。不動産取引で儲かる上の人は知らないが、現場はそう。特に上から(豊洲の運用の)具体的なことを聞かされていないのが不安だ。自分たちは特殊課(量の少ない鮮魚の取り扱い)なので、特殊は仲卸がなくなると商売にならない。仲卸が声を揃えれば、必ず勝てる。
A:(菅原仙台中央卸売市場組合長)日本を代表する築地が、従来の市場法を守れば、新法は機能しなくなる。築地を守ることは、改悪された卸売市場法改悪を使わせない、ということで、それは必ず全国の市場に広がる。
 
すべての意見を紹介しきることはできませんが、今、この「営業権」という考え方から、築地の事業者、実際に仕事にたずさわる人たちは、それぞれの立場から、築地の機能や役目の重要性、ということを改めて考えています。
また、実際に豊洲に移転準備をしている事業者からは、具体的な検討を進めるにつれ、豊洲の欠陥がどんどん露呈してきて困ってしまっています。これもまた営業権で補償されるべきことです。
学習会では、この日の茶屋さんからの意見のように、他の業種の人には知らされていない豊洲の運用がわかったりします。
営業権組合の学習会は基本的に公開です。ぜひ注目して、実際に参加してみてください。
 
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