築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

下町の台所・足立市場(前)

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まずはお知らせ。
築地市場は営業してます!
築地市場[自立営業]お買い物ツアーは、現在は火・土13:00~の営業です!!
築地市場場内で「営業」を行うため、仲卸さんたちは豊洲でめちゃくちゃ苦労して仕事をされてから築地に移動してきます。予定は急遽変更になる可能性があることをご了承ください。最新情報は右リンク営業権組合のツイッター(みずのやさんツイッターにも引き続きアップされていますが、営業権組合のほうが探しやすくなりました)で直前に確認してください。
 

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年の瀬が近づき、お正月仕度の検討をはじめられたみなさん。これまでは築地に来て、場内と場外で買いまわりをしていたのに、今年はどうしよう、とお悩みではありませんか?
 
豊洲新市場の仲卸棟には一般客が入れないとされており、歳末の買出しはできるようにしてほしいという運用の変更が、現在一部の業者さんから出されているようです。が、「閉鎖型」をうたっている以上難しいと思われます。なにせ事前の都民見学会ですら、卸・仲卸のフロアに立ち入るときは都民は靴の上にビニール・カバーの着用が義務づけられたのです。ブロガーご招待や小池都知事本人などは土足だったようですが。
また、もし一般客が買いに行くことができたとしても、行きたいでしょうか。ご家族の中に「気にする人」がいた場合、せっかくのお正月の食卓が気まずいものになってしまいます。
あるいは現在、観光客から「遠い」「ものすごく歩かされる」「飲食店が混んでいる」「高い」「それでいて魅力がない」などと大いに不満の声が出ている豊洲新市場です。築地場外と買いまわりをするのも不便で、暮れのお買い物からすでに気まずいものになってしまう可能性もあります。
そうやって、豊洲での買出しをしている飲食店や魚屋さんの苦労を実体験してみる、というのもアリかもしれませんが・・・
 
そんなみなさん。私たちは「魚河岸は築地」とうたっている以上、買出し業者さんも含め、通販とかに走るよりは卸売市場の制度を維持してほしい。
そこで、ここはひとつ、足立市場はいかがでしょうか。
 
都内11市場のうち、魚を扱うのは3つ。巨大市場(シェアのほとんどは青果)の大田に比べ、敷地面積4万2000㎡の足立はこじんまりとした水産専門の市場です。取扱量は約50t。それでも大田よりやや多いくらいです。
大卸は築地の大都魚類中央魚類の支社と、東京北魚の3社。仲卸は約50店舗で大田より多いです。
隔月第二土曜に開催される「あだち市場の日」が今話題となっており、「一般客も仲卸で買えます」とうたっていますが、実はひそかにふだんの日でも買えてしまいます。もちろん年の瀬も。
 
今回は前後編で足立市場のレポートです。
 

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足立市場は北千住と南千住のちょうど中間。そのほか東武線の千住大橋駅が利用できます(徒歩3分)。南千住・北千住は築地から日比谷線ですぐです。南千住からだと千住大橋を渡って徒歩15分。北千住からだとコミュニティ・バスも利用可能です。小口の買出しの人だとこの距離はややネックですね。
 
一般客目線としては、この場所は「奥の細道出立の地」。松尾芭蕉が深川からの舟をあがり、日光街道を歩きはじめた場所として有名です。
千住の市場の歴史はなんと天正年間(16世紀!)にさかのぼり、芭蕉の時代にも商業の土地だったようです。北千住の方向に旧日光街道を向かうと、旧「千住のやっちゃば」の史跡や案内が多数あります。

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今の中央卸売市場(青果・水産)となったのは昭和20年、1945年の2月、戦争末期。なんと開業62日で空襲により全焼してしまい、それでもすぐに木造で再建されたそうです。
昭和54年に青果が北足立市場として移転したため、現在は都内唯一の水産専門市場となりました。
いきなり歴史だけでもすごい。
 

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日光街道と旧日光街道の分岐点が正門(歩行者入り口はここ一ヶ所)です。この看板も一般客ウェルカムな感じ。
まずは正門詰所に声をかけましょう。建物の配置だけでなく中のお店も全部載った案内図がもらえます。対応も親切。「仲卸で買いものできますよ」とも、ここで言われました。聞き返すと「買えない店もあるけど」とのこと。
詰所の先は立体駐車場やトラックの荷下ろし場があり、すでにターレやフォークも行きかっているので注意しましょう。

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右手に関連棟があり、その奥が仲卸棟、さらに先が卸(2Fが事務棟)で、その奥は冷凍・冷蔵倉庫など。もちろん平場。コンパクトにまとまっており、ムリのない動線が作られています(市場の動線にムリがあってはいけないんですが)。
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セリは5:30からですが、早朝は業者さんで混雑します。仲卸棟の一般立ち入りは8時以降が推奨されています。お魚が見られるのは10時ごろまで。品物は少なくはなっていますが、それでも市場らしさが満喫できます。もともと小口の販売に強いとされていて、遅い時間になると一般客でも買いやすい小ロットのパックも並びます。
 
築地とちがって鮮魚と塩干・加工のブロックがわかれており、建物南側には練り物やかわきものなんかもあります。値札がちゃんとついていて、一個から売ってくれます。
なんといっても、売り場に降りられない大田や小さなのぞき窓から見えるかどうかという豊洲とちがって、仲卸さんたちが働いている様子や買出しの様子が間近で見られるのが楽しい。

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この時間だと清掃作業もしていますので、水はねには注意が必要ですが、豊洲のように排水に問題があるなどはまったくなく、水や海水をばんばん流して清潔を保っているのも見られます。
また、店と店のあいだに間仕切りがないのも特徴です。非常にフレキシブルな運用ができそうな感じ。

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築地のように観光客があふれていることもないので、むしろしっかりと市場の雰囲気や仕事ぶりがわかりますし、さらに写真撮影もOK!
これでセリ見学でもはじめれば、観光客(特に外国人)は豊洲ではなくこっちに来るのでは?
 

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仲卸と関連の間(あと敷地北側の青果店の周辺)には、買荷保管所・茶屋があります。こちらも築地と同じく伝統的な「潮待茶屋」の名前の業者さんも。
俯瞰してみると築地と千住市場は隅田川でつながっています。築地は海運が使えましたが、こちらは古くは川の水運を活かした立地だったのではないでしょうか。
 

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活気のある現役の市場でありながら、建物や道具の随所に歴史を感じさせる足立市場。「築地ロス」の方にこそ来てほしいし、また、都民の台所にふさわしい気さくで便利な場所です。
足立市場、相当ええじゃないか!
 
次回後編では関連と、みんな大好き市場食堂のご紹介です。
 
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