築地でええじゃないか! かわら版

築地市場が豊洲に移転して5年。卸売市場が支える消費者と商店街を守るため、東京都とゼネコンの再開発事業の動向をウォッチ。

北の流通拠点:板橋中央卸売市場

ひさびさに「他の市場はどんなとこ?」今回は板橋区・高島平の板橋中央卸売市場です。

築地が移転したときに、再開発用地として次に狙われるのは、淀橋(新宿区)と板橋ではないか、という噂もありましたが、今のところ板橋は静かです。むしろ豊島のほうがエリアとしては再開発や道路事業にさらされています。

おそらく、トラック流通再編の動きがあると、東京の物流ターミナルが移動するのではないか、という話だったのかもしれません。現在2024年問題などもありながら、トラック物流はむしろさらに過密になっており、板橋の高島平エリアも東京北部の物流拠点として重要な役割を果たし続けています。

市場へのアクセスは、公共交通では都営三田線新高島平。道路は新大宮バイパス笹目通り、荒川を越えると埼玉県戸田市、西側にはトラックターミナルが隣接、浄水場の先は和光市です。

板橋市場は青果(50万トン/日/2019年)と花き、半分以上が埼玉県など都外からの買い付けだそうです。

 

周辺の様子。

笹目通りの南は高島平団地です。グランドレベルに商店街がついているのが「団地」ならでは。

この地域は徳丸田んぼの名で知られる農耕地でしたが、1956年に「大団地構想」によって開発され、その後流通拠点が増えていく中、1972年に豊島市場を分ける形で市場が開設されました(花きは1993年)。

団地といっても、人の住む団地だけでなく「流通団地」でもあります。

 

右は管理棟。巨大な鉄塔があり、規模の大きさを感じさせます。正面は花き。

 

花き棟の外です。もしかしたら置物も取り扱い商品なのかもしれませんが。

 

 

 

ところで豊洲はどうなってるの? 2023秋

 

前記事の11月上旬の築地レポートと同日ですので、少しまが開いてしまいましたが、豊洲市場の「にぎわい施設」千客万来がヤバいらしい、と聞いて、見てきました。テナントが7割埋まっていないらしい・・・

時計塔・・・川越?江戸なのに小江戸?いや、もしかして築地の時計台へのオマージュ(なわけない)?と、いきなりチープな外観にがっかりです。

場所は仲卸棟の東側・加工施設のとなり、最初駐車場になったものの地盤がゆるくてアスファルトがデコボコしたところで、そのあと「マルシェ」をやったり都バスフェスとかやって駐車場として使えなくしていた場所です。東京ガスの工場時代は廃液プール。

これはデッキから見えるところ。蔵・・・しかしサイディングの安っぽさたるや。最近東京都でおなじみの「へろへろした細い木」で緑化もされていました。

そもそもなぜ卸売市場に「にぎわい」が必要なのか。

このブログで「ほかの市場はどんなとこ?」と巡ってきていますが、市場に「にぎわい」は必要ありません。なぜならプロユースだから。

しかし市場移転決定時に、東京都と親密な山崎孝明区長が「にぎわい施設」と「ぐるり公園」を条件に。なぜか汚染地盤に温泉施設を、という話になって、万葉倶楽部に決まったところ、移転延期で万葉が降りる。大江戸温泉物語が代わりになろうとかありつつも、すでにお台場にあるから、と撤退。結局万葉倶楽部が戻ってきて、2018年の移転から大幅に遅れて2024年の2月に開業することに。

北側(運河沿い)が温浴施設で、道路側がモール「江戸前市場」になります。こちらのテナントが埋まっていない、と。一応豊洲の仲卸が店を出すのと、江東区内の名物グルメなどの店舗が入るらしいです。

温浴施設に関しては、さすがにボーリングはやめて、他から温泉水を運んでくることになったそうです。もう一度書いておくと廃水プールだっ場所。そうでなくても豊洲のシアンやベンゼンはいまだに基準値以上です。

ぐるり公園からのデッキでのアクセスもできるようです。ぐるり公園には小池都知事肝いりの船着場があるので、船で温泉に乗りつけるということなのかもしれません。あるいは温泉からクールダウンのため運河に飛び込むとか。

これは工事現場の完成予想図で、だいぶ色あせていますが、手前の人物が透けて道路の影と二重写しになっています。ほかにもあちこちでレイヤーかぶりがあり、なぜ電通だかなんだかは、このくらいはちゃんときれいな仕事をしないのだろうか。そして子どもがわかりやすいですが、たぶん白人系外国人です。ほかにも小さく描かれている人物はすべて白人でした。インバウンドオンリー?しかしフランスパンを抱えている男性も描かれ(貼り付けられ)ており、豊洲市場場外『江戸前市場』にフランスパンを買いにくる設定なのかー、とあまりの雑な仕事に呆然となりました。

別に三井不動産が自腹で雑な仕事をしているなら構わないのですが、これは東京都の、しかも特別市場会計から出ています。施設全部がです。なぜなら市場敷地内だから。

 

なぜ市場に「にぎわい施設」が必要なのでしょう。市場会計で。

築地が移転するのだから、場外の「にぎわい」が欲しい?

築地場外は、民間です。

 

「にぎわい施設」はどうしても必要!!ということで、千客万来が遅れたあいだ、仮設の「江戸前場下町」がつくられました。何度かレポートしてきたように、入り口からすぐ空き店舗です。最初ここはニンジャグッズとかキティちゃんのソックスとかスシキーホルダーとか売っていたおみやげ屋でしたが、無人のガチャコーナーになって、その後それすら撤去されました。ほかにも「休憩コーナー」「PRコーナー」などがたくさんあります。

ちゃんとお客さんがいるのは寿司屋くらいです。

外ではあいかわらずキッチンカー。「豊洲江戸祭」。でもコロッケとかサーターアンダギー。

空きスペースPRコーナーに千客万来のイメージビデオが流れていました。誰も見ていませんでしたが。芝居小屋?中は商店みたいですが・・・つくりも安いけど、この映像自体がひどく安っぽい。

大阪万博がいろいろ言われていますが、東京も負けていないですね。

 

ところで、豊洲市場の関連(仲卸棟の4F)に、初めて鮮魚が買えるコーナーがオープンしています。「食べて応援」岩手・宮城・福島の三陸常磐の鮮魚を扱っている「夢市楽座」だそうです。

どうしてすべてが日本史を間違って覚えたような恥ずかしいネーミングなのか。

そしてこのポスター、変な白い横線が入っていますよね。そう、インク切れです。

 

まじめにやらないと市場がかわいそうです。

ところで築地はどうなってるの? 2023秋

2023,11,4(土)に築地・豊洲を見てきました。

築地場外は大混雑です。あまりのことに近寄らなかったのですが、バスから見たら四丁目交差点の築地銀だこ"本店"にまで行列ができていました。東都グリルも1Fの外まで列が。「人手不足のため限定メニューで営業」だそうです。限定、というのは種類を減らしてって方の。

一時は朝だけやって閉めていた鰹節の松村さんもおおにぎわい。

並びの東京促成もきれいになっていました。外壁工事をしていて、その隣でホテル建設も進んでいたのですが、こんな形になった。ホテルは鉤型になっていて、建物は一体ではありません。バナナを熟成させる入り口もちゃんとあります。

 

さて、肝心の市場跡地。

「酸素ステーション」がなくなっています。

しかし、水神社跡地はそのまま草木に覆われています。いったいどうするのか。やはり取り壊すと祟りが?でもこの状態でも祟られるのでは?

 

ずっと残っていた、築地市場の象徴ともいえる大卸の鉄骨組がなくなってしまいました。

隅田川「テラス」の工事は21年から行われていて、勝どき橋の左右に親水テラスを作って、おそらく船着場にするのだろうと思われていたのですが。それでもこの骨組みを使って、築地市場らしさを残した設計になるのではないか、今話題の(大阪万博「リング」の)"日よけ"にもなるではないですか。

(昨年の写真。船着場にちょうどいい。もともと船で荷卸してたので)

 

そして敷地内では「酸素ステーション」以外にもなぜかまたしても整地しては盛り土する、が繰り返されています。

オリンピックの駐車場になったあと、一度アスファルトをはがして盛り土したのを、また積みなおしているようです。

三連休の中日なのに工事。そして看板は「解体」のままです。

いったいなんの工事なのか。

https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/toshi_saisei/saisei08.html

www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp

 

都市整備局のHPですが、8月31日が最終更新のままで「事業者公募は終わり、審査中、年度内に決定」となっています。

もともとの「まちづくり素案」では「国際交流ゾーン」とか「都民のなんとかのステージ」だとかで四つに全体を分割して事業化する話でしたが、結局すべて一括で「民間事業者に70年のプロポーザル」になりました。

この隅田川沿いは「水辺の顔づくりゾーン」として船着場計画があり、おもに東京都が整備するはずだったのですが、その分割案もなくなった。そして盛り土をしている中央付近の事業者はまだ決まっていない、したがって「事業案」はないはず、なのです。三井不動産読売新聞社に決まった、東京ドームが移転してくる、汐留の日テレとつながる、などの噂は、あくまでも憶測です(信憑性は高いが、公式には何も決まっていないことになっています)。

では、いったいどんな設計に基づいて盛り土や掘り返しをしているのか。

そして市場跡地は市場会計から一般会計に付け替えられましたが、それでもこの「解体工事」の主体は東京都・小池百合子となっています。つまり、税金で謎の盛り土がされ、計画なく大卸が壊されてしまったのです。

 

葛西市場と臨海公園

ちょっと前、真夏のころになりますが、葛西中央卸売市場に行ってきました。

と言ってもごはんを食べにいっただけですが。

寿司のない寿司屋として有名な「小池寿司」です。小池都知事とは関係ないです。スタミナ鉄板定食800円。その名のとおりです。寿司はないけど、メニューは豊富です。

しかし。

もう一軒あった「仙泉」がなくなっていました。小池さんの独占です(小さい喫茶がある)。

さて、市場はこれで終了。今回のテーマは、線路の反対側、葛西臨海公園です。

これがJR京葉線葛西臨海公園駅北口。

これが南口です。

この葛西臨海公園、ガラスドームを抱く水族館だけでなく、観覧車やホテルを備え、園内はパークトレインが走る広大な公園です。しかしそれだけではありません。

人工なぎさ、干潟。

池と湿原。バードウォッチングでも人気です。

とはいえ、この大自然、すべて人工です。

1972年、この状態からの東京湾再生、「葛西沖開発区画整理事業」がはじまり、公園として整備されることになります。17年をかけ、1989年、人工なぎさが完成し「葛西海浜公園」がオープン。さきほどの鳥類園は緑が成育した5年後の1994年です。

東京湾の荒廃はキティ台風の災害に加え、沿岸、内陸の工業地帯による環境汚染、それによる漁業放棄など、過酷な人災の歴史です。お隣、浦安魚市場の回では博物館でその歴史を見てきました。

そして荒廃した海を浄化し、魚介類と鳥を呼び戻し、汽水域の干潟や湿原を作り出すのには、長い年月が必要なのです。もちろん森はすべて植樹だし、公園なので園芸種の植木や花壇による緑もたくさんあります。その向こうはバブリーでトレンディーな(そういう年代にできた)トーキョーベイのウォーターフロントです。

しかし人工であっても、ここまで広大な緑のエリアを作り上げたのは奇跡と執念でしょう。先にあげた北口の京葉道路、あの排気ガスとその先の工業地帯、それらのCO2の緩和には欠かせないものです。

しかし。

今、三大樹木伐採王とされるのが、小池都知事、吉村大阪知事、そしてビッグモーター。その小池都知事の東京での三大樹木伐採事業が、神宮外苑日比谷公園、そして葛西臨海公園です。

当初、葛西臨海水族園の改築が計画されたときには、この象徴的なガラスドームの解体が危惧されていました。

www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp

樹木800本伐採、芝生を潰して太陽光パネル敷き詰め、などの危惧が早々に持ち上がったため、なんとこのサイトでは「よくある質問」「ファクトシート」などと反論する気まんまんです。

太陽光パネルは建物の上である、とされています。が、図面を見ると一番目立つのは太陽光パネルの黒色ですね。とはいえ、現在大規模な公共建築はZEB(ゼロエミッション・ビルディング)が義務づけられており、自前で電力をまかなう必要があります。しかし実際は努力義務にすぎず「ゼロ」は空論です。ましてや水族館は水の循環、温度管理、酸素の供給と、電力消費が大きな施設です。そうはいっても、始めた以上は維持しないと魚が死んでしまうのですから、ゼロエミの方に擦りあわせるわけにはいきません。

前記事・日比谷公園編でも書きましたが、外苑に始まり、東京都の樹木伐採が有名になってしまったため、東京都は「伐採」と言われることを非常に嫌がります。しかし、分館(ドームでない方)を芝生ではなく樹林のあるところに移転、現在の鬱蒼とした森の中に建つ水族館ではなく、広々とした人工空間になってしまっています。

そして案の定、民間資本を導入するPFI-BTOで事業計画は出されています。東京都の公園はすべてPFI化しつつあります。葛西はすでにレジャー性が高く、レストランやBBQなどの収益施設も多い。

もともと人工の緑地な上、周辺住民は完全にいません。

しかし、神宮外苑が全国からの献木による造成、日比谷公園が大名屋敷の遺産と明治の洋風化の歴史を持つならば、この葛西臨海公園の森は、高度成長期・バブル期の公害による破壊と再生という60~80年代東京の歴史を象徴する森です。壊した環境を再生させ、今も続く工業と交通による環境汚染を緩和し、ヒートアイランド現象を緩衝する風の通り道となる、東京にとってきわめて重要な、まさに都市の肺といえます。

 

一方で、都市の胃袋である市場、また、同じく湾岸の風の通り道である築地ですが、こちらもいよいよ再開発が。事業者募集は終了し、現在は選考中ということですが、三井不動産×読売グループ(東京ドーム移転?)という噂がまことしやかにささやかれています。

www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp

おまけ。

筆者は魚が苦手なので水族館に入ることはできません。豊洲では横向きのマグロがここでは縦置きだ、と葛西市場とのつながりを感じたのですが、よく考えたら葛西市場は青果と花きでしたね。

日比谷公園はどうなるの?

こうなります?!

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/07/05/05.html

 

こうなったら大変ですよね。

神宮外苑が騒がれていますが、こちらでも都心の貴重な森が伐採されて、ビルの谷間の商業施設の前庭化されようとしています。どちらも東京都と、豊洲市場江戸前場下町や晴海FLAGでおなじみ、三井不動産のコラボです。

8月4~6日、園内でオープンハウスがあったので、行ってきました。

気温は35℃以上、扇風機だけのビニールテント。他のイベントの余りもののネックタオルとパンダのうちわが配られましたが、樹木を伐採してさらに東京を暑くしようとする人たちのセンスはすごいですね。

オープンハウスで「都民のみなさまの理解を深めていただく」のは、いずこも同じで、HPのPDFをパネルにして並べるだけ。都の職員から説明がきける、と言っても、パネルに書いてあるだけの紋切り型の返事しか返ってきません。

この日は再開発に反対する日比谷公園の歴史と文化をこよなく愛する会」のみなさんの企画で「オープンハウスをみんなで見る会」が開かれ、代表であり、元日比谷公園のサービスセンター職員だった高橋康夫さんによる、都職よりよっぽど詳しい解説を聞くことができました。

https://hibiyapk.wixsite.com/home

署名はこちらから。

キャンペーン · 日本最初の近代的洋風公園・日比谷公園の歴史と1000本の樹木を破壊しないで! · Change.org

(Change.orgのシステムは署名後に寄付を要求しますが、これはChange.org運営のためで、署名団体への寄付ではありません。寄付をスルーしても署名は有効です)

 

パネルの解説のあとは実地見学も!!

なんといっても気になるのはここです。

上が都の資料、下が「愛する会」の資料。

日比谷通りを跨ぐ連絡橋、左(南)側は「内幸町一丁目街区開発事業」という巨大再開発地区とブリッジするデッキ(再開発はデッキが大好き)。ここには230m級のビルが4本(NTT、帝国ホテルなど)のまんなかに「緑の空間」という人工地盤でかさあげ。公園との「一体化」は、まさに公園を民間の「前庭」化するものです。

右(左)側は既存の日比谷ミッドタウン(三井)。高層ビルの低層エリアには最初から「デッキ」に接続するようなゲートが設計されています。

「愛する会」のみなさんのおっしゃるとおり、まさに「三井の森」に。

都立公園が公道ではなく、民間ビルからのアクセスというのは、従来はなかったことだそうです。それというのも、この大手町・日比谷エリアが国家戦略特区であるから可能になったこと。

 

また、デッキ部分も「緑化する」と言っているので、明治公園-国立競技場のデッキのように、コンクリの地盤の上に植栽したものを「公園面積」に繰り入れることになるでしょう。

 

そしてデッキの公園側にはスロープとエレベーター。現在はそこにはクスノキなどの巨木が。

東京都は神宮外苑などの件の悪評で「樹木伐採」と言われることに非常に敏感になっているそうで、HPの事業計画でも「樹木の取扱いについて」として「伐採せず移植」「樹木医の診断」などと書いています。オーブンハウスでも「移植します。伐採ではありません」と言い続けていました。

 

 

現在の日比谷公園の案内図(公会堂前)。巨木があることが誇らしげに書かれています。

こうした巨木が短期間に簡単に移植ができるものでしょうか?

現に国立競技場付近では移植されたイチョウが枯れてしまっています。

そして高橋さんから、都が信用できない衝撃の事例が。

この看板の前のにれのき広場の現状がこちらです。

公会堂とバラの咲く第二花壇の間はその名のとおりニレの巨木が23本ある土の地面でした。

2019年「埋蔵文化財の調査」として突然フェンスが立てられ、あれよというまにその内側ではにれのきを伐採。そしてフェンスがなくなったときは、地面はアスファルトに。こんな抜き打ちをする東京都。

このアスファルト地面にしたのは、見てのとおり、イベントスペースの確保でしょう。日比谷公園オクトーバーフェストが大入りで、ついには10月以外にも開催するようになりましたが、ほぼ毎週のようにこうしたフードイベントが行われています。

近隣はオフィス・官庁街なので、ビアガーデンの需要が多いのでしょうが。しかし平日の夜ならともかく、昼間も土日もやっているので、業者さんも損しているのではないか。イベントのやりすぎで、出店するお店にも独自性がなく、わざわざ高い値段の縁日フーズをこんな環境で…

この殺風景な空間は、都のオープンハウスじゃないですよ?「日比谷ビアガーデンフェス」です。こんなビアガーデン、どうですか?

東京都の計画では今年9月から10年間をかけてエリアごとに段階的に「整備」していくのですが、一番に予定されているのが、このにれのき広場に面した「第二花壇」から噴水・小音楽堂です。
第二花壇はバラが植えられ、まんなかの芝生は立ち入ることができません。景観のための芝生です。

噴水も高橋さんによると、すでにイベント時には「水がかからないように」流量を制限することもあるそうですが、計画を見ると縮小されるようです。

 

そして小音楽堂は無料コンサートなどで気軽に楽しめる憩いの場。都の計画では

・芝生地に自由に立ち入ることのできる芝庭広場

・小音楽堂のステージや観覧席の高さを下げて噴水広場と一体的に

・イベントやマルシェに活用し、イベント以外のときは広く開放

要するに、全体を「一体化」して拡げて、イベントスペースにする、ということです。こういうときにやたらとバリアフリーを持ち出して車椅子のアクセスなどと言いますが、車椅子(形態によるが)で芝生が移動しやすいでしょうか?そもそも今の第二花壇は車椅子だけが入れない、のではなく、誰も入れないのです。そのことによって芝生が守られ、結果的に周辺が憩いの空間になっているのではないでしょうか。

 

しかしこうした設計は最近の公園再開発のトレンドであるようで、下リンクでは

「最近の公園の"三大最終兵器"はスタバとデッキと芝生」

と、慶応の教授が悪びれることもなく言い放っています。ここでのデッキはおそらくウッドデッキのことで、連絡橋とは別だと思われます。カフェは、スタバ以外のチェーンが入ることもありますが、新宿中央公園南池袋公園などはそのスタイルであり、行政やデベロッパーが「成功例」「にぎわい」として持ち上げる代表です。

 

座談会:公園がそこにあり続ける意味とは|特集|三田評論ONLINE

 

2027年からの整備とされている、日比谷公園で一番森が深い、北側の三笠山エリアなども、当然樹木伐採も問題になってきますが、都の計画では周辺とまとめて「大芝生広場」となっています(パークプラザなる構造物も計画されています)。

見てのとおり、起伏のある地形は大名屋敷の築山という由緒をそのまま遺しています。

また、高橋さんの解説によると、園内に多数配置された手前の石は、100年前の開園当時に設計者の林学者である本多静六博士が江戸各地から集めてきた由緒ある石ばかりだそうですが、その調査はいまだに行われていないとのこと。

同エリアにあるテニスコート(移設)は日本初の公営テニスコートであること。

日比谷公園はそれ自体が文化財でもあるのです。

「愛する会」のツアーでは、こうした歴史・文化財の解説も充実していました。

 

同じ慶応のサイトですが、こちらは再開発論ではなく、日比谷公園の歴史をまとめたもの。

日比谷公園から考えるほんとうのまちづくり|特集|三田評論ONLINE

 

東京都の計画のあちこちには「歴史をQRコードで紹介する」とあり、要するに看板を立てるから勝手にスマホで見ろ、ということですが、現物を調査もせずに壊して簡単な解説だけを残すのでしょうか。

おりしも大阪市役所での美術品駐車場放置が問題になり、維新の会の顧問が「デジタル化して現物は処分(売却?)すればいい」と発言したことと類似に思えますが、

ここで私たち「築地でええじゃないか!」としては、思い出すべきは築地市場ではありませんか!!

築地市場も100年近い歴史のある文化財であり、当時の最先端の設計でした。欧州視察をした東京市の専門職たちが鉄骨・コンクリート・ガラスと鉄道引きこみという建築の近代日本のパイオニアであったわけです。

本多博士を中心に、近代都市計画公園の第一号を作り上げた日比谷公園と、築地市場の創造の情熱は同じです。

 

そして日比谷公園といえば、なんといっても野音(大音楽堂)です。

現在の野音は建て替えで三代目ですが、築地市場と同じように、シンプルな屋根なしのコンクリート打ちっぱなしは頑丈で年月に耐えています。昨今の手抜き工事とはちがう。

ここでもバリアフリーが前面に出され、トイレやスロープが使いにくい、と言われていますが、それならトイレを新設すれば済む話ではないでしょうか。

さすがに野音を完全室内建築にする計画ではないようですが「天候に左右されにくい」「安全に快適に楽しめる」ように屋根を拡げるそうです。それでまた「歴史をQRコードで紹介」するのでしょうが、RCサクセションなど数々の雨の中の野音伝説」は、どこにでもある「快適」な空間では生まれなかったものです。

 

野音入り口だけでなく、公園の各所に立てられたこの看板に、三井不動産はじめ再開発事業者のロゴがでかでかと書かれていることが、音楽ファンの間からも不安視されています。

オープンハウスでほかの参加者の方が都職員にこの看板のことを指摘していましたが、「それは野音100年をいっしょに盛り上げるという意味であり、野音の整備自体は東京都がやります」と回答していました。

が。

都立日比谷公園大音楽堂の再整備基本方針|東京都

こちらによりますと「民間のノウハウを活用して再整備」であり「今年度中に公募により民間事業者を選定」となっています。

はたしてそれは、整備(建て替え)だけにとどまるのでしょうか。

野音の運営自体が指定管理者、あるいはPFIになる懸念もあります。

 

江戸の大名屋敷と見附、100年前の近代化による西洋公園第一号。日比谷公園の歴史とはそれだけではありません。野音の歴史、そしてまた、日比谷公会堂浅沼稲次郎が刺された昔からの政治・社会運動の歴史もあります。野音はデモの出発点として多用され、国会のお膝元ということで「年越し派遣村」の場所にもなりました。

民間PFIになっても、そうした活動に認可が出るでしょうか?

 

公共を取り戻せ!!

都庁に声を送りましょう!!

あなたの声をお寄せください|東京都

 

追記:内幸町一丁目再開発はこんな感じです。

とにかく音がすさまじく、公園内にも響きわたっていました。公園の「整備」と同時進行によって、都心の貴重な「憩いの場」は長期間にわたって、騒音の只中に置かれることになります。

 

 

他の市場はどんなとこ? 多摩ニュータウン中央卸売市場

安倍晋三元首相が、宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と密接な関係にあることが、日本社会での同教団の伸張をまねき、そのため信者である自身の家族が崩壊したと考えた山上徹也被告が、奈良県の選挙演説会場で安倍氏を銃撃して殺害してから、1年目の2023年7月8日

 

筆者は、東京都中央卸売市場多摩ニュータウン市場を訪れました。

いったいなんの関係が・・・?

 

「旧統一教会が多摩市に土地を取得、道場建設か」としてニュースになっているあの場所。多摩市永山7-2。

そして、多摩ニュータウン市場は多摩市永山7-4。国士舘大学の隣」といわれていますが、国士舘をはさんだ、そのお隣が市場なのです。これはピンチ!!

南多摩尾根幹線道路という大通りに沿って、旧美多加堂、国士舘、市場と並んでいます。国士舘の正門前。

 

土地取得に関するあれこれはこちら。

HOME,統一教会NO!多摩市民連絡会,多摩市への旧統一教会の進出反対,目指せ5万筆の署名 ,オンライン署名,賛同人募集,世界平和統一家庭連合NO!,旧統一協会,統一教会はいらない,統一教会ノー,多摩市民連絡会

 

多摩市長からも公式に「解体工事の停止」が要請されているのに、7月3日からは解体工事がはじまっています。

裏はすぐ山です。「よこやまの道」という歴史ある尾根道で、ハイキングコースになっています。

さて、この建物の感じ、市場好きならおや?と思いますよね。

そう。「元食品会社」と記事では言われていますが、お菓子の卸売会社・美多加堂です。

卸売? 市場と関係があるからこの場所に? と、疑いましたが、特に周辺にはほかの食品会社があるわけではなく、たまたまこの会社だけが出店しているようです。

もとは三鷹駅前の和菓子屋さんだったのが、卸もやるようになって、埼玉や神奈川に工場を作り、手狭になってここに移転したのが1990年だそうです。多摩ニュータウン市場は1984年開設なので、食品流通の拠点化をめざそうとした動きがあったのかもしれませんね。

この土地を旧統一教会に売って、再度移転した先は八王子市東中野なので、教団関連の政治家などのあっせんがあったのではないか、と推測する記事もあるようです。

なお、美多加堂のお菓子はどんなものなのか、HPでは商品一覧がない(!!)ので不明ですが、ぼんやりした写真の中で「ブラックなんダー」なる怪しい代物があるのが発覚。あとは健康食品っぽいものとか。

なぜか似たようなデザインですが、向かいにある日本食品分析センター」。市場関係かと思われる食品の事業所はこのくらいです。しかし多摩ニュータウン市場は青果専門なので、特に関係ないか。

 

では、いよいよ市場を見ていきましょう。

南多摩尾根幹線道路に面した正面は、ビルです。事務棟でしょう。

総面積は57153平方メートルですが、取扱量(青果)は11市場のうち最小の93t。

多摩ニュータウン市場のご紹介|東京都中央卸売市場゜

現代彫刻家の関根伸夫による「発芽」というオブジェ。青果だから?

一般にひらかれた食堂はなく、関連もないので、入構はできません。

鎌倉街道側にまわっても、よくわからない。

裏山のよこやま街道に入って、ようやく市場っぽい景色を見ることができました。

実は川崎市水道局と土地を共有しています(川崎の水源地)。このあたりは、もとは神奈川県。



尾根幹線道路はまんなかに大きな緑地帯があるのですが、それを拡幅するようで、鎌倉街道の交差点も橋梁工事がはじまっています。地域の再編があり、その関係で美多加堂も移転したのかもしれませんが。

 

せっかくなので、多摩ニュータウンとは?

市場の北側にある都営永山団地です。多摩ニュータウンは最近あちこちリニューアルされていて(おもにUR)、低層のタウンハウスになったりして高級住宅地のようになっているところもありますが、ここはほんとうに昔ながらの「団地」。

高齢化・転出が進み、空き家が増えているともききます。そのため、旧統一教会の道場ができたら、信者が転入してくるのではないか。そのような懸念から、上記の市民連絡会はこの団地内が本部になっています。

ちゃんと商店街が機能していて、この日は夏祭りをしてにぎわっていました。ポスターを貼っていた「あしたや」さんは地域や障がい者に関わるNPOのようで、手作りパンを売ったり、裂き織りの実演をしたり、お祭りでも活躍していました。古本も安い。高齢化、といいますが、子どもも大勢遊んでいた。

団地のよさが保たれ、安心して暮らせるといいですね。

 

おまけ。

市場から山をくだると、東光寺という大きなお寺が。大観音像もある。禅宗の古刹のようです。こちらも教団が来るのは不安なのでは。

ところで「晴海」はどうなってるの? 2023初夏

巨大な再開発事業が進み、ビルの森となっていく湾岸エリア。

今回は築地から築地大橋、黎明大橋を渡った、都心最大タワマン群・晴海FLAGの現状を見てきました。トップ写真は竹芝桟橋から。手前が豊海水産倉庫、まんなかの黒い建物が2024年オープンの晴海FLAG、すなわちオリンピック選手村、大して高くないと思われるかもしれませんが、この真ん中に170mのタワー棟が2本建ちます。その向こうの低い建物が豊洲市場です。

最近の界隈のトピックとしては、4月の統一地方選挙中央区は区長選が無投票(現職の山本氏以外立候補せず)ということがありました。山本氏の地元である日本橋も含め、中央区は再開発だらけですが、逆にそうなるとタワマン新住民が土地のことを知らず、投票につながらない傾向もあるようです。とはいえ、23区で無投票は衝撃的です。

そして現在分譲中の晴海FLAGが「新規(タワー棟分)は1人2口までの応募」に規制すると発表。要はこれまでの分が転売目的の事業者による大量応募でむちゃくちゃになってしまったようです。都心のタワマンの多くで、こうした投機購入があるため、実質住んでいる世帯が少なく夜は真っ暗だったりしますが、特に晴海FLAGは規模が大きく、民間と東京都、中央区が贅沢な設備投資をしている割に「安い」というのがあります。

なぜ安いか?

東京都の公有地を評価額の10分の1以下の129億6000万円で投売りしたからですね。

都民のみなさん、覚えておきましょう。

 

裁判には勝ったけれど… ひょんなところからボロが出てきた「晴海フラッグ」問題 (1/2ページ) | ウチコミ!タイムズ | 住まい・賃貸経営 まる分かり

 

これは不動産系のサイトの記事ですが、東京都(「裁判に勝った」のは東京都、住民訴訟は控訴中)と三井不動産ら11社JVがどのような抜け道を使ったのか、かなりつっこんで書いてあります。

そもそも築地市場を壊したのも「オリンピックの駐車場にするため」であり、環状2号を開通させて選手村から国立競技場まで「10分早く着ける」ようにするため、でした。

そんな特別待遇の選手村を建てるために、東京都は土地を投売りし、なおかつ延期した2年間賃料を払っていたわけです。そして今、晴海FLAGという巨大な民間事業のためにインフラ整備を続けています。

オリンピック期間中はまったく入れませんでしたが、2年建っても環2から先、南側半分の歩道は封鎖されています(車は通れるようになった)。しかしここから臨港消防署の側を歩いて、閉鎖された客船ターミナルまで行けるようになりました。

清掃工場の前の大型工事は、商業施設になります。住民説明会が開催されたようですが、テナント等はまだ非公開だそうです。その裏にあたるのが、旧「ほっとプラザはるみ」中央区の施設で清掃工場の排熱の温水プールがありました。2020年から改修で閉まっていて「中央区晴海地域センター」として再開予定。プールはなくなります。なぜなら、タワマンには自前のプールがあるからです。

それにしても埋立地で清掃工場の近くというのは、本来なら迷惑施設で安いはず。最近は排気からの悪臭などは削減されているでしょうが、朝から清掃車が大量に走るのでは。それを踏まえて土地評価額が安い、わけではありませんが(近隣の晴海レジデンスなどと比較して)、ここに高級住宅街を作るのは、ある種の錬金術ですね。

晴海は交通の便が悪いというのもありましたが、環2に新交通(EVバス)東京BRTが開通。新橋・虎ノ門まで一発でアクセスできるように。それらの交通結節として「マルチ・モビリティ・ステーション」を整備中です。

BRTの充電や、水素ステーション、船着場もあります。小池都知事は船便がお気に入りらしく、豊洲にも築地にも船着場を作り、通勤者の船便の実証実験などもやっていました。オリンピックも選手を船で運ぶ、などという話も一瞬出ていましたが、あっさり消えたところをみると、実用性はいかがなものでしょうか。

清掃工場の向かいにあたる小中学校の整備です(中央区)。選手村の食堂だったところですね。食べ物の大量廃棄があった。

この先、道路を渡ったところが、タワー棟「SKY DUO」です。

 

【公式】HARUMI FLAG SKY DUO|毎日、感動できる眺め。

 

さっそくマンション・ポエムですが、「ぼったくり男爵」バッハ会長の

「東京に恋をするでしょう」も忘れてはいけませんね。

 

ところで、晴海FLAGには「新たな森をつくる」「森の中に住まう」といったポエムもありました。植林をする、とまで言っていたようですが・・・今のところ、緑の整備は見当たりません。森を作るようなスペースが見当たらない。街路樹とかのことかな?

小池都知事が各地でやっている樹木伐採→小さい街路樹などを植えて「緑を増やした」パターンがここでも?

いや、きっと晴海ふ頭公園のリニューアルで木を植えているのではないか。そう思ってたどりついた頃には日が沈み、湾岸の夜景をひとりじめ(あまり人は来ていない)。これが「東京に恋をするでしょう」か。

それにしても木がぜんぜんなくてフラットですね。

植林はどうするのだろう。

 

築地的には、晴海ふ頭公園のみどころはこちら。

水産庁の「開洋丸」「照洋丸」の専用埠頭です。とびうおの街灯が美しい。左奥の建物は客船ターミナル。閉鎖していて、今後は不明です。

 

そして、公園の噴水がこんなことになっていました。

オリパラはレガシー的には「The TOKYO 2020」という名称になったのでしょうか。